【新日本】鉄板仕込みの隙を突くFBS!ジェイク・リーがノーDQマッチでエル・ファンタズモに激勝「私から一つアドバイスをあげるとしたら」
新日本プロレスの上半期を総括する6月14日の大阪城ホール大会『DOMINION 6.14 in OSAKA-JO HALL』。
その第2試合で行われたノーDQ(反則裁定なし)マッチは、勝負の世界の残酷さと滑稽さが同居する、ある種の喜劇的な結末を迎えた。
リング上では、エル・ファンタズモとジェイク・リーによる血で血を洗う遺恨清算マッチが展開された。
6月7日の大田区大会でジェイク・リーからイスごと顔面を蹴り抜かれたエル・ファンタズモが、場外カウントも反則もない完全決着ルールを要求して実現した一戦である。

ゴング前から大量のイスがリングに投げ込まれ、試合は開始早々からチャンバラ劇へと突入した。

エル・ファンタズモが巨大ラダーから決死のプランチャを放てば、ジェイク・リーは強烈なチョークスラムで相手をイスの山へ叩きつける。

さらにセコンドの邪道による竹刀攻撃など、あらゆる凶器が飛び交う無法地帯となった。
しかし、試合の趨勢を決定づけたのは、大技の応酬ではなく、あまりにも初歩的な「準備の手間取り」であった。

終盤、エル・ファンタズモは邪道から鉄板が入った小袋を受け取り、自らのリングシューズに仕込んで必殺のサドンデスを狙う。
だが、ここで痛恨のミスを犯す。シューズの靴紐をほどくのに手間取り、凶器のセットに予想以上の時間を費やしてしまったのだ。

歴戦の猛者であるジェイク・リーが、その隙を見逃すはずがない。
靴紐に悪戦苦闘するエル・ファンタズモの顔面へ強烈なFBS(フロント・ハイキック系の打撃)を突き刺すと、逆にその鉄板入りのシューズを奪い取って相手を殴打。

そのままフロントネックロックで絞め上げ、レフェリーストップによる勝利をもぎ取った。

試合後、バックステージに姿を現した勝者のジェイク・リーは、腹を抱えて笑い転げていた。
狂気に満ちた死闘を終えた直後とは思えない、相手の失態に対する容赦のない嘲笑である。

報道陣を指差して「お前、靴紐をほどくのに、どれぐらい時間がかかる?」と問いかけ、数秒という答えを引き出すと、エル・ファンタズモの無様さを徹底的にこき下ろした。
「何秒かかってんだよ!私から一つアドバイスをあげるとしたら、最初から仕込んでりゃそんなことにはならなかったんだよ。わかるだろ?最初から、仕込めば、よかったんだよ」
凶器の使用が許されるルールであれば、入場前から仕込んでおくのが定石である。
ジェイク・リーは怒りや憎しみではなく、相手の詰めの甘さを嘲笑うことで、完全なる精神的優位性を示してみせた。
「やべえ、ツボに入っちゃった」とよろめきながら去っていくその後ろ姿は、不気味なまでの余裕を漂わせていた。

一方、自らのミスで屈辱的な敗北を喫したエル・ファンタズモは、咳き込みながら無念の表情でコメントスペースに現れた。
「この数ヶ月、コンディションも身体も徹底的に作り上げてきた。だから復帰戦がこんな形になるとは思っていなかった」と悔しさを露わにしつつ、丸めたテーピングを床に叩きつけた。
「普段からリスクを恐れずに闘ってきた俺が、よりによって今日、一番大きなリスクを背負い、一番報われない結果を迎えることになった。シューズのひもがからまってサドンデスを狙えなかった。そのリスクが俺の敗因になってしまった」
言い訳無用の敗戦。以前の自身であれば周囲の環境や不運を嘆いていたかもしれないが、今のエル・ファンタズモは違った。
「実力不足なんじゃないか」「新日本にいるべき人間じゃないんじゃないか」という自己卑下を自ら打ち消し、「俺はここにふさわしい人間だ」と前を向く。
目前には、メキシコCMLLのアレナ・メヒコ大会、AEWの猛者たちが集う『FORBIDDEN DOOR』の可能性、そして真夏の祭典『G1 CLIMAX』が控えている。
最下位が続くG1への出場権獲得へ向けて、今回の敗戦を「肩慣らし」と位置づけ、肉体の仕上がりには確かな手応えを感じていた。
「悪くないよ。次だな、ジェイク・リー。ありがとう、このクソ馬鹿野郎。でもあの蹴り、そしてチョークは本物だ。みんな、気をつけろよ。アイツは強い」
最後は勝者の強さを素直に認め、他のレスラーたちへ警告を発した。
一瞬の隙と靴紐の絡まりが生んだ残酷な結末。
しかし、この屈辱的な敗北は、エル・ファンタズモが次なる大舞台へと飛躍するための、苦くも不可欠な教訓となったはずである。
<写真提供:新日本プロレス>
Pages 1 2















