【新日本】ウルフアロンが鮮やかな逆三角絞めで真夏の祭典『G1』へ初出陣「闘ったYOSHI-HASHIさんの気持ちを持っていく」
新日本プロレスは6月23日、東京・後楽園ホールにおいて『Road to G1 CLIMAX』第3戦を開催した。
超満員の熱気で包まれた会場の熱を最高潮に引き上げたのは、セミファイナルである第6試合に組まれた『G1 CLIMAX 36』Bブロック出場者決定戦である。
2年連続9度目の本戦出場を狙う生え抜きのベテランYOSHI-HASHIと、真夏の祭典への初切符を目指すNEVER無差別級王者ウルフアロンによる、初のシングルマッチが行われた。
プロレスの厳しさを熟知するYOSHI-HASHIと、柔道出身という異例のバックボーンからプロレス界の頂点を狙うウルフアロン。
両者のイデオロギーが正面から衝突した一戦は、互いの長所を削り合う死闘となった。
試合序盤からYOSHI-HASHIは、ウルフアロンの強大なパワーと投げ技を封じるべく、徹底した足攻めを展開する。
場外での鉄柱攻撃やフェンスを用いた無慈悲なショットガンドロップキック、さらには膝十字固めなど、プロレスならではのインサイドワークと泥臭いラフファイトで王者を苦しめた。
対するウルフアロンも、パワースラムやハイフライフロー、V1アームロックといった力強い攻めで応戦し、互いに一歩も引かない激しいシーソーゲームが続く。
終盤、YOSHI-HASHIが渾身のKUMAGOROSHIやスワントーンボムを炸裂させ、勝負を決定づけようと必殺のカルマを狙った瞬間であった。
ウルフアロンは柔道家としての本能を爆発させ、一本背負いの要領でカルマを鮮やかに切り返すと、そのまま流れるように逆三角絞めへと移行する。
完全に逃げ場を失ったYOSHI-HASHIの動きが止まり、浅見レフェリーが試合をストップ。柔道の技術をプロレスに見事に昇華させたウルフアロンが、激戦を制して『G1』初出場を決定した。
試合終了のゴングが鳴り響く中、ウルフアロンはリング上で倒れ込むYOSHI-HASHIに向かって深々と座礼を行い、死力を尽くした相手に最大の敬意を表した。
敗れたYOSHI-HASHIはノーコメントのまま、セコンドの肩を借りて無念の退場となったが、客席からはその熱闘を称える惜しみない拍手が送られていた。
激戦を終え、バックステージに姿を見せたウルフアロンは、プロレスラーとしての成長を実感する充実した表情を浮かべていた。
百戦錬磨のベテランとの初対決を振り返り、プロレスの奥深さを学んだことを率直に口にする。
「YOSHI-HASHIさん、ありがとうございました!YOSHI-HASHIさんの技術、気持ち、パワー、全てこの肌で実感することができました。今日のこの試合でプロレスラーとして、またひとつレベルアップしたように感じます」
新日本プロレスのリングで長年生き抜いてきた男の技術と魂を全身で受け止め、それを自身の糧とした王者の言葉には、確かな説得力が宿っていた。
続いて、アマチュアスポーツの頂点を極めた者ならではの、勝負に対するシビアな哲学を語り始める。
「この勝負の世界は、トップを目指すうえでは全ての人間を倒していく。要するに、自分以外全てに勝たないといけない。ということは、自分以外は全員敗者になる世界です」
プロレスというエンターテインメントの枠組みの中にあっても、闘いである以上、勝者と敗者の明暗は残酷なまでに分かれる。
その厳しさを再認識したうえで、敗れ去った本隊の仲間たちの思いを背負う覚悟を静かに語った。
「この世界で闘ってきたYOSHI-HASHIさんの、これまでのキャリアを全て感じることができましたし、全ての新日本プロレスの選手……本隊の選手ですね。本隊の選手の、『G1 CLIMAX』に出られなかった人のぶん全て、まあ背負えるほど僕は出来た人間じゃありませんけど、それでも今日闘ったYOSHI-HASHIさんの気持ちは、僕が『G1 CLIMAX』に必ず持って行きます。ありがとうございました」
敗者の無念を背負い、真夏の過酷なリーグ戦へと足を踏み入れるウルフアロン。
異競技の頂点からプロレスのリングへと身を投じたNEVER無差別級王者は、YOSHI-HASHIとの魂の交錯を経て、また一つプロレスラーとしての厚みを増した。
熱き思いを胸に挑む『G1 CLIMAX 36』の舞台で、金メダリストがどのような新風を吹き込むのか。その闘いから目が離せない。
<写真提供:新日本プロレス>
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