令和のプロレス界に新たな出世ロード ノアマットでDDT所属の選手が支持拡大

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

国内留学。プロレス界に新たなルートが確立しつつある。

レスラーの出世街道と言えば海外武者修行が一般的だったが、今や他団体に「留学」する道も開かれた。

ノアの6・25東京・後楽園ホール大会でGHCヘビー級王者シェイン・ヘイストに挑んだ遠藤哲哉は、DDTからノアにフル参戦して約1年半になる。

エプロン上のギリギリの攻防など、激しいバトルの末、ベルト奪取はならなかったものの、存在感をまざまざとアピール。会場の雰囲気は遠藤推し。新王者誕生を期待するファンが多かった。

シェインと遠藤はWhite Raven Squadの同門対決であり、シェインもノアに留学していたいわば留学生仲間。かつては考えにくいタイトルマッチだった。

DDT所属の遠藤は、主戦場をノアに移している。ノアの頂点に立ったら、栄光のベルトを手土産にDDTに凱旋するのでは…大一番が決定するや、様々な声が渦巻いた。

遠藤自身が「別のことで報告したいことはあるけど」と。しながらもノア残留を明言。決戦当日、ファンは尚一層の熱い応援を送った。

ノアへの継続参戦を改めて強調した遠藤は「GHCヘビー級王座を狙い続ける」と悔しさをにじませながらも、いつものさわやかなテツヤスマイルだった。

実はノア上陸は赤っ恥を欠かされたリベンジだった。2022年6月、さいたまスーパーアリーナ「Cyber Fight Festival」大会で、当時ノアの一員だった中嶋勝彦の張り手に失神KO負け。時のKO-D無差別級王者として、これ以上ない屈辱を味わったのだ。

すでにキャリア10年でDDTの最高峰であるKO-D無差別級王座に3回、君臨していた。いわばDDTの代名詞。ありえない非常事態だった。

「一生分の恥をかいた」遠藤は、どん底から這い上がるために、あえてイバラの道に飛び込んでいった。それがノア参戦だった。

一からの出直しではなかったが、ノアの選手バスに乗り、地方サーキットにもフル参戦。一度ならずも三度もDDTの頂に立った男の決断には頭が下がる。

中嶋はノアを退団してしまったが、復讐の二文字は遠藤には似合わない。リングを離れれば、明るく優しい漢である。酒席をともにした者は、みなが遠藤推しになる。

GHCヘビー級王座を手に入れるまで、DDTファンは寂しいだろうが、ノアで頑張ってほしいところだ。

6・25後楽園大会では、DDTの飯野雄貴がやってのけた。征矢学との情熱MAXで「LOS TRNQUILOS de JAPON」内藤哲也、BUSHI組からGHCヘビー級タッグ王座を奪取。征矢との熱い「だぜ、だぜ」問答で、人気も急上昇しており「タッグ屋」の魅力を再認識させてくれた。

思えば、BUSHIも全日本プロレスから新日本プロレスにレンタル移籍から正式に移籍。内藤とともに新日本を退団し、今ではフリーとしてノアマットで暴れている。

ノアからは宮脇純太がDDTに留学している。キャリア9年ながら、今一つ爆発しきれていないが、さまざまな試合形式を経験しDDTマットで大噴火する日も近いのではないだろうか。

新日本の新時代を担う一人、大岩陵平もノア留学を経験している。期待の若手だった大岩が新日本に凱旋し、着々と地固めを進めている。

他団体のリングで学ぶことは多い。緊張感も段違いになるし、対戦相手も変わればファイトスタイルも違う。客層も異なる。刺激にも勉強にもなる。経験値は大きくアップする。貴重な機会だ。

今や世界プロレス界でも一、二をあらそうプロレス王国である日本。世界中の若者が日本マット界での修行を目指してやって来る。日本人選手も他団体で心身を鍛える新時代になっている。

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