【GLEAT】「俺の中には1つの答えがあった」カズ・ハヤシが賛否を乗り越え完結させた“続きのないプロレス”
プロレス団体GLEATは7月1日、東京・SGCホール有明にて『5th ANNIVERSARY 旗揚げ記念大会SONIC WRESTLING in 有明』を開催した。
この日のセミファイナルは、2年前に現役を退いたカズ・ハヤシが、盟友・田中稔とのタッグで丸藤正道&鈴木鼓太郎組に挑むという一戦となった。
カズ・ハヤシにとっては「一日限定復帰」となる特別な一戦。
かつてジュニアヘビー級の黄金時代を築き上げた4人が同じリングに立つという事実だけで、有明の会場は深い熱気と感傷に包まれていた。
引退前に切望しながらも叶わなかった、丸藤正道との対決。

2年越しの願いを成就させたカズ・ハヤシは、スーツ姿で入場し、花道でジャケットとシャツを脱ぎ捨てる。

上半身を露わにし、闘う男の顔へと変貌を遂げた。

ゴングが鳴ると、真っ先に丸藤正道とのチョップ合戦へ。

現役バリバリのトップレスラーが放つ強烈な一撃に、カズ・ハヤシは苦悶の表情を浮かべ、思わず絶叫してしまう。

しかし、会場から湧き起こる割れんばかりの「カズ」コールが、彼の背中を強く押した。

試合は、ノアのマットで長年培われてきた丸藤正道と鈴木鼓太郎の阿吽の呼吸に、限定復帰のカズ・ハヤシ組が苦戦を強いられる展開となる。

それでも、随所で現役時代を彷彿とさせる閃きを見せた。
ロープワークを駆使した串刺しの蹴り上げから、ライオンサルトを敢行。

終盤、カズ・ハヤシは丸藤正道に狙いを定め、伝家の宝刀ファイナルカットからパワープラントへと繋ぎ、あと一歩まで追い詰める。

しかし、丸藤正道はここから恐るべき反撃を開始。
フックキックで動きを止めると、必殺の虎王、さらには腕を固定しての真・虎王を的確に顔面へ叩き込んだ。
12分33秒、大の字になったカズ・ハヤシから無情の3カウントが奪われ、一夜限りの復帰戦は黒星という結末を迎えた。

試合後、激闘を終えた4者はリング上で健闘を称え合い、深く一礼を交わす。
勝敗を超えた、プロレスラー同士の崇高な絆がそこにはあった。

バックステージに戻ったカズ・ハヤシは、過酷な激闘の疲労から「死んじゃう。いやぁ、キツイ」と息を絶え絶えにしながらも、その表情は深い充実感に満ちていた。
引退した身での限定復帰という決断には、賛否両論の意見が挙がっていたことも事実である。
しかし、彼はそのすべてを受け入れた上で、自らの信念を貫いた。
「僕の続きのないプロレスっていうのができたと思ってます。たくさんの言いたいことがあるかもしれない。いいよ、プロレスだから。それが答え1つじゃない。ただ、俺の中には1つの答えがあって、そのプロレスを今日することができました」
そして、この舞台を用意してくれたすべての関係者、ファン、そして対戦相手に最大の感謝を述べる。
「本当にこの舞台を作ってくれて、丸藤正道、鈴木鼓太郎さん、田中稔さん、みんなに感謝です。ありがとうございました」

一方、勝者である丸藤正道は、隣に立つ鈴木鼓太郎への全幅の信頼を口にしつつ、右手のリストバンドを指差した。
「俺たちの真ん中には、この緑の人も見てくれたと思うし、俺たちが組んだらこんな負けるわけにはいかないんで」
偉大なる先人・三沢光晴の魂とともに闘い、そして勝利した自負。
さらに、対戦相手のカズ・ハヤシに対しては、愛ある言葉で労をねぎらった。
「カズさん!限定復帰おめでとうございました。今日1日おしまいということでね。全然できるじゃないカズさん。もうちょっとだけ絞ればね。全然いけんじゃないの?」

丸藤正道が笑顔で去った後、鈴木鼓太郎は静かに、しかし確かな熱を帯びて語った。
長年苦楽を共にしてきた先輩との、純粋な闘いを望む言葉である。
「丸藤さん。お互い動く内、シングルマッチやりましょう」

そして、敗れた田中稔もまた、この試合を通じて新たな決意を固めていた。
「今日俺が32年プロレスをやってる中で2つだけある心残り。今日NOAHから丸藤正道選手が来て絶好のチャンスだと思ったんで、全部吐き出そうと思ったんですけど、結果負けたんで。でも1つちょっと答え出ました。この2つの心残り、誰か頼みじゃなく、俺の力で掴み取るんだと」
それぞれの胸に、それぞれのプロレスへの想いと答えを刻み込んだ有明の夜。
カズ・ハヤシの「続きのないプロレス」は、彼を見送った3人の男たちの「続きのあるプロレス」へと、確実にバトンを繋いだ。
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