レジェンドと呼ばれる男になれるのか GHCヘビー級ベルトを見据える内藤哲也の大勝負 清宮海斗を相手にリボーンなるか

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

プロレスリング・ノア侵略を目論んだ「制御不能男」内藤哲也が正念場を迎えた。

7月18日のインデックス大阪大会で、内藤は清宮海斗とGHCヘビー級王座次期挑戦者決定戦に臨む。実は昨今の勝負どころで黒星続き。5・2東京・両国国技館大会でOZAWAに敗れ、さらには6・25東京・後楽園ホール大会で、GHCタッグ王座から陥落している。決め台詞「トランキーロ(あっせんなよ)」を、自分自身に言い聞かせているのではないだろうか。

7・18大阪大会でGHCヘビー級王者シェイン・ヘイストに挑戦するOZAWAには「俺の下につけ。ロス・トランキーロス・デ・ハポン(L・T・J)はTEAM 2000Xの下部組織になれ」と言われ放題。OZAWAのTEAM 2000Xとは、メンバー数の違いもあってか、残念ながら旗色が悪いのは事実だ。

新日本プロレス時代からの盟友・BUSHIと保持していたGHCタッグ王座を、赤丸急上昇の情熱MAX(征矢学・飯野雄貴組)に奪われたのも痛い。結成1か月半あまりの情熱MAXにタッグの奥深さを教えてやりたかったが「だぜ、だぜ」と言い合う熱波のようなコンビの勢いに飲み込まれてしまった。

それでも、内藤は7・18大阪大会の清宮戦に気持ちを切り替えた。7・5後楽園ホール大会では、L・T・Jトリオで出陣し内藤本人が高橋碧を仕留め、アレハンドロを下しALL REBELLION解散を宣言した清宮の前に登場。マイクで舌戦を繰り広げた。

「滑舌の悪さを指摘されてしまった。余裕があるんだな。お客様の視線を釘づけにしている。さすがだ」と清宮を褒め殺し。その上で清宮戦の先のGHCヘビー級ベルトを見据える。

ノア上陸当初はコンディション不良を指摘されていたが、ここにきて調子は徐々に上向いている。全盛期復活とまではいかないが、44歳なりのファイトをこなせるようになってきた。

馬場も猪木も、藤波辰爾、長州力、ジャンボ鶴田、天龍源一郎、武藤敬司、棚橋弘至…時代を背負った男たちも、個人差はあるが誰もが通った道である。いつまでも20代、30代の様にはいかない。

どうしてもスタミナ、スピード、回復力は落ちるが、それを補うかのように百戦錬磨のキャリアを積んだインサイドワーク、うまさとずるさ、間合いの取り方、すかし方などさまざまなものが身についてくる。ベテランの域に達する40代には40代の闘い方がある。

モデルチェンジに成功した者は、レジェンドとしてその名をプロレス史に刻まれることになる。内藤も今こそ分岐点に立っていると言っていい。

5・2両国大会のOZAWA戦ではTEAM 2000Xの介入もあったが、清宮戦では正々堂々と戦えるはず。今現在の内藤の真価が発揮されるだろう。

内藤は若いころから、団体やプロレス界の行く末を俯瞰で見られる男だった。各選手の個性、試合内容、決め技、団体の方針、売り出し方…あらゆる要素を冷静に分析し改善点を口にしていた。自分のことだけで精一杯のはずなのに、内藤の器の大きさに驚かされたものだ。

若き頃から40代半ばに訪れるであろう「リボーンの時」を想定していたはず。円熟の試合運びで、清宮をいつの間にか追い詰め絡めとる。ニュー内藤の戦略が楽しみで仕方ない。

もちろん厳しい現実を突きつけられるかも知れない。OZAWAにコケにされ、Yoshiki Inamuraの自由奔放さに、いささか面食らったりもした。若きエースの座から追いやられた「狂乱の貴公子」清宮も、したたかさを身に着けてきている。

新日本からノアに主戦場を移して半年。最初は物珍しさもあり、ある意味お客さんだったが、内藤に慣れてきたノアファンの目も厳しくなっている。

また、内藤本人も当初はファイトスタイルはもとよりマットの硬さやファンの違いなどあらゆることに戸惑いもあっただろうが、両団体の違いにも順応できている。数々の闘いを経験して来た内藤は、ここで終わる男ではない。モデルチェンジを果たした内藤哲也を刮目せよ。(敬称略)

<写真提供:プロレスリング・ノア>

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