【新日本】「先生と言ってもおかしくないぐらいの人たち」タイガーマスクが引退前夜に邪道・外道・東郷らへ捧げた最大の敬意

7月6日、東京・後楽園ホールで開催された新日本プロレス『Road to G1 CLIMAX』最終戦。

翌日に現役引退を控えるタイガーマスクにとって、この日は31年にわたるプロレスラー人生における最後の前哨戦であった。

第3試合に組まれたのは「タイガーマスクファイナル3WAYトルネードタッグマッチ」。

タイガーは邪道とタッグを組み、石森太二&外道組(Unbound Co.)、金丸義信&ディック東郷組(HOUSE OF TORTURE)という、長年新日本プロレスのジュニアヘビー級戦線をともに牽引してきた熟練の猛者たちと相まみえた。

リング上は、三つ巴ならではの目まぐるしい攻防が展開された。

悪のユニットたちの反則殺法や巧みな連携が交錯する中、特筆すべきは長年の恩讐を超えた瞬間であった。

試合中盤、タイガーは組んだ邪道のみならず、対戦相手である外道とも阿吽の呼吸で一時的な共闘を見せる。

金丸を逆さ吊りにすると、かつての悪の連携を彷彿とさせる強烈な一撃をタイガー自らが叩き込み、場内を大いに沸かせた。

最後はディック東郷の無法な介入から、金丸のウィスキーミストを浴びせられ、無念の3カウントを聞く結果となったものの、勝敗を超越した温かい空間が聖地を包み込んでいた。

試合後、リング中央でマイクを握った黄金の虎は、集まった観衆に向けて深々と頭を下げた。

1年前の引退発表から駆け抜けてきた日々を振り返りつつ、翌日の引退試合に向けて静かに闘志を燃やす。

「いままでのタイガーマスクを精一杯ぶつけて、いまできることを精一杯がんばってみなさんにお見せしたい」と、最後の対戦相手となるダイナマイト・キッドの甥であるトム・ビリングトン、そして宿敵ブラックタイガーとの大一番へ向け、タイガーマスクという看板を背負い続けた31年間の集大成をファンへ余すことなく見せる覚悟を語り、大きな拍手とともにリングを後にした。

舞台裏では、歴戦の友たちによる粋なやり取りが繰り広げられた。

この日、純粋なタッグマッチで初めてタイガーの横に立った邪道は、「最後に組めて本当に嬉しい」と感慨深げに喜びを語る。

しかし、そこは海千山千のベテラン。

感傷に浸るだけではなく、「明日の試合は、邪道&外道&竹村組対タイガーマスクの3対1でやる」と、かつての抗争相手の名前を出して冗談めかし、引退を控える猛虎へエールともとれる不敵なメッセージを残して去っていった。

盟友からの言葉を聞いたタイガーは、苦笑いを浮かべつつも、その表情には深い感謝が滲んでいた。

「これが邪道&外道マジックなんですよ」と、長年リングで味わってきた真髄に舌を巻く。

この日の対戦相手であった外道やディック東郷、そしてパートナーの邪道は、自身のプロレス技術を高める上で欠かせない存在であり、「先生と言ってもおかしくないぐらいの人たち」と最大の敬意を表した。

試合を決した金丸の反則攻撃については、「あのウィスキーはもう勘弁してくれ」と苦言を呈しつつも、それこそが無法者たちのブレない流儀であると真正面から受け止める。

話題が翌日の最終戦に及ぶと、表情は一気に勝負師の顔へと引き締まる。

初対決となるトム・ビリングトンへの期待感、そして最後まで牙を剥いてくるであろうブラックタイガーとの激闘を予想し、「ブラック・タイガーも最後だからと言って手を抜いてくることもないし、とてもやりがいのある2人」と、引退という感傷に浸る余裕はないと断言した。

最後までコンディションを整え、道場での練習から始まる「いつも通り」の一日としてリングへ上がる決意を示している。

試合中に見せた珍しい連携攻撃についても、すべては邪道や外道の手のひらの上であったと笑い飛ばす。

「20何年間、あの2人には翻弄されまくってます」と、熟練の技と絆に感謝しつつ、いよいよ迎える最後の戦いへ向け、黄金の虎は静かに牙を研いでいた。

<写真提供:新日本プロレス>

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