【新日本】闘病中の初代タイガーマスク・佐山サトルが愛弟子の引退試合で奇跡のタイガーステップを披露!後楽園が感動の涙に包まれた夜

7月7日、七夕の夜。東京・後楽園ホールは、一つの伝説が幕を下ろす歴史的な瞬間に立ち会うべく、1490人(札止め)の熱狂的なプロレスファンで埋め尽くされた。

新日本プロレスが開催した『タイガーマスク 引退記念試合』。

1995年のデビュー以来、31年間という長きにわたり、黄金のマスクを被り続けた4代目タイガーマスクが、ついに現役生活にピリオドを打った。

引退試合は、タイガーマスクの系譜を象徴する特別な相手との2試合が組まれた。

1試合目の対戦相手は、AEWで活躍する“ダイナマイト・キッド”トム・ビリントン。

初代タイガーマスクのデビュー戦(1981年4月23日、蔵前国技館)の相手であり、数々の伝説的な名勝負を繰り広げた永遠のライバル、ダイナマイト・キッドさんの甥にあたる人物である。

師匠の最大のライバルの血を引く若き才能との一戦は、5分間の白熱した攻防の末、時間切れ引き分けとなった。

時空を超えた闘いは、タイガーマスクという存在の歴史の重みを感じさせるものだった。

続く2試合目は、幾多の激闘を繰り広げてきた最大の宿敵、“暗闇の虎”ブラック・タイガーIVとの対決である。

2009年の両国国技館大会で「ベルト・コントラ・マスカラ(王座対覆面剥ぎマッチ)」を戦い、正体がロッキー・ロメロであることを暴いた因縁深い相手。

この日も5分間の死闘は決着がつかず時間切れとなったが、ブラック・タイガーの強い要望により異例の5分間延長マッチへと突入。

最後は、4代目タイガーマスクが必殺のタイガースープレックスホールドを完璧に決め、宿敵からフォールを奪って自身の引退試合を勝利で飾った。

試合後に行われた引退セレモニーには、藤波辰爾、山崎一夫、獣神サンダー・ライガー、グレート・サスケ、新崎人生といったプロレス界のレジェンドたちが集結。

さらに、親交の深い巨人軍元監督の原辰徳氏、横浜DeNA元監督の三浦大輔氏、元格闘家の武尊といった各界の著名人も駆けつけ、リングサイドから熱い視線を送りながら花束を贈呈した。

そして、セレモニーの最後に登場したのが、4代目の師匠であり、「タイガーマスク」という伝説の生みの親である初代タイガーマスク・佐山サトルである。

現在、パーキンソン病とメニエール病で闘病中であり、車椅子生活を余儀なくされることも多い佐山だが、この日は黄金のマスクを被り、自らの足で力強く花道を歩いてリングへと上がった。

愛弟子へ花束を贈り、熱く抱擁を交わす師弟。

ここで、4代目がマイクを握り、師匠への最後の願いを口にした。

「佐山先生、ありがとうございます。今日は佐山先生にひとつお願いがあります。僕は佐山先生に作っていただいて、育てていただいて。最後は、どうしても佐山先生とロックアップがしたいです。それでタイガーマスクを終えたいと思います。どうかよろしくお願いいたします」

この懇願に、館内からは割れんばかりのタイガーコールが巻き起こる。

田中秀和リングアナウンサーの「夢の対決実現」という前口上に続き、レッドシューズ海野レフェリーがゴングを要請した。

ゴングが鳴り響いた瞬間、後楽園ホールに奇跡が起きた。

闘病中であるはずの佐山が、急に戦闘態勢に入り、往年の軽快な「タイガーステップ」を踏み始めたのだ。

会場全体が大きなどよめきと感動の歓声に包まれる中、師弟は力強く組み合い、ロックアップを交わした。

再びゴングが鳴らされ、時空を超えた「黄金の虎」対決は幕を閉じた。

奇跡のタイガーステップとロックアップに4代目は、マイクで師匠への深い感謝を述べた。

「自分なりのタイガーマスクを表現してきました。みなさんも夢をあきらめないで、夢に向かって突っ走ってほしいと思います」

ラストメッセージを送り、万感の思いを込めて引退の10カウントゴングを聞いた。

タイガーマスク史上初めて、デビューから一度もマスクを脱ぐことなく現役を全うした四代目。

虎一筋31年のプロレス人生は、多くの人々の記憶に永遠に刻まれることだろう。

バックステージに戻った4代目は、師匠が見せた奇跡の動きについて興奮気味に語った。

「絶対に会場に行ってロックアップしてやると言ってくれていた先生が、今日まさかタイガーステップをするとは僕も全く思ってなくて、感激というか、感動というか」

闘病中の恩師が見せた超人的な姿に、四代目は確かな希望を見出していた。

「今日のタイガーステップを見たら、『お前が辞めるなら俺はまだやるよ』っていうくらい、できるんじゃないかと。ロックアップもものすごい力で、ええっと思ったんですよ。病気はウソじゃないかってくらい力が入っていて、やっぱりタイガーマスクは違うなと思いました」

そして、師匠の完全復活を誰よりも強く信じている。

「先生も今日は絶対に行くと目標を持っていて、治るものなんだと。だから、絶対に先生は復活すると思ってます」

恩師から与えられた「タイガーマスク」という重い十字架を背負い、31年間守り抜いた男。

最後は自らが輝きを放ち、闘病中の師匠にも生きる活力を与えるという、これ以上ない恩返しを果たして、四代目タイガーマスクはリングを降りた。

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