【新日本】邪道が「今年は荒れそうだな」と吐き捨てた極限のリング。ウルフアロン、ボルチン・オレッグ、Yuto-Iceらが絡み合う『G1』前哨戦は開始のゴング前から殺気が充満していた
真夏の最強戦士決定戦に向けた導火線には、すでに火が放たれていた。7月7日、東京・後楽園ホールで開催された新日本プロレス『タイガーマスク 引退記念試合』。
メモリアルな熱気に包まれた聖地において、第3試合に組まれた6人タッグマッチは、次期シリーズ『G1 CLIMAX』の行方を占う極めて重要な前哨戦としての色合いを濃くしていた。
STRONG無差別級王者のボルチン・オレッグ、そしてNEVER無差別級王者のウルフアロンという、圧倒的なポテンシャルを秘めたチャンピオンコンビにベテランの邪道が加わった本隊トリオ。
対角線に立つのは、Yuto-Ice、OSKAR、そして百戦錬磨の外道が組んだUnbound Co.の面々である。
注目すべきは、間近に迫った『G1 CLIMAX』において、ボルチン・オレッグとYuto-IceがAブロックで、ウルフアロンとOSKARがBブロックでそれぞれ激突するという事実だ。

試合開始を告げるゴングが鳴る前から、リング上には殺伐とした空気が充満していた。
ボルチン・オレッグとYuto-Iceが額を突き合わせて激しい視殺戦を展開すれば、ウルフアロンとOSKARも至近距離で睨み合う。

先発を買って出たボルチン・オレッグとYuto-Iceは、持ち前のパワーと打撃で真っ向から衝突。

その後も両軍は激しい火花を散らす。

外道の巧妙なインサイドワークやサミングによる介入によって本隊側がペースを乱される場面も見られたが、個々の戦闘力において一歩も引くことはない。

ウルフアロンとOSKARの顔合わせでは、巨体を揺らしてのショルダータックルや重たいチョップの応酬が繰り広げられ、館内をどよめかせた。

終盤、両軍の意地が交錯する中、試合を決めたのは柔道五輪金メダリストの恐るべき格闘センスであった。
金具剥き出しのコーナーを利用して勝負に出た外道に対し、佐藤レフェリーが厳格なジャッジで妨害を阻止。

そこへ突進してきた外道の動きを読み切ったウルフアロンは、鮮やかなカウンターの払い腰でマットに叩きつけると、間髪入れずに三角絞めへと移行し、ベテランから見事なギブアップを奪ってみせた。

しかし、この日の闘いは3カウントやギブアップだけで終わるものではなかった。
試合終了後もボルチン・オレッグとYuto-Iceはグラウンドでもつれ合うように乱闘を展開。

ウルフアロンとOSKARも互いの顔面を射抜くような視殺戦を繰り広げ、本番への遺恨をさらに深める結果となった。

バックステージに戻った選手たちの口からは、来るべきシングルマッチに向けた強烈なメッセージが次々と飛び出した。
ボルチン・オレッグは、北海道での開幕戦で相まみえるYuto-Iceに対し、自身の進化を絶対の自信とともにアピールした。
「俺は今年から生まれ変わった!最強のレスラーになってるんだ!お前は凄く強いと思うから、北海道ですぐ来い」
相手の実力を真っ向から認めた上で、逃げることなく正面衝突を要求する。
「どっちが勝つか、どっちが強いか。お前のプロレスのハイは楽しみにしてるぜ!」

対するYuto-Iceの言葉には、狂気すら孕んだ独特のプロレス観が宿っていた。
ボルチン・オレッグという底知れぬ怪物の本当の恐ろしさを、自分だけが引き出せると不敵な笑みを浮かべる。
「お前、まだ1回もプロレスハイを感じとらんだろう。みんなわかっとらんのだ、アイツがいかにバケモノなのかを。選手、スタッフ、マスコミ、そしてファン、なんならお前自身もな」
自らの手で相手を限界突破させ、さらなる高みへと連れていくという宣言は、単なる挑発を超えた異常なまでの闘争本能の表れである。
「この俺がプロレスハイ使って、引きずり出してやる。何も考えなくていい。ただ感じろ!」

一方、Bブロックで激突するウルフアロンとOSKARの舌戦も、引けを取らない熱を帯びていた。
NEVER無差別級王者のウルフアロンは、立ちはだかる長身のOSKARを、自身の競技人生における最大の壁であったフランスの英雄、テディ・リネールと重ね合わせた。
「俺があんだけ大きなヤツと闘ったのは、東京オリンピックの団体戦でフランスの代表のリネールとやった時以来だよ。そん時1回負けちまってるけどな、もう対策はしっかりできてんだよ、デケーヤツとの闘い方は」
五輪という極限の舞台での敗北経験すらも糧とし、巨漢狩りへのイメージはすでに完成していると豪語した。
「楽しみにしとけよ。ぶっ倒してやっから」

対するOSKARは、柔道界の至宝に対して容赦のない言葉を浴びせる。
「小さなウルフアロン、お前の番が来るまで、もう少し待っていろ。お前のここまで積み上げてきたものに価値があるとでも思ってるのか?そんなもの、何の意味もない」
これまでの実績を完全否定し、この日はパートナーに助けられただけだと一蹴する。
「せいぜいホンタイの連中と、お前の友達オレッグに感謝しておくんだな。アイツがいなかったら、お前のことは仕留めてた。それまでケーキでも食って、もっと太っておけ。俺がお前を投げ飛ばしてやる」
互いのプライドと存在証明を懸けた言葉の応酬。

一連の熱気と殺気を見届けたベテランの邪道が「今年の『G1』は荒れそうだな!」と吐き捨てた一言が、この日のすべてを物語っていた。
真夏の祭典で、次代を担う男たちがどのような結末を描くのか。
後楽園の夜に蒔かれた種は、まもなく灼熱のリングで大輪の花を咲かせる。
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