【新日本】「4代目がいなければブラック・タイガーⅣも存在しなかった」ロッキー・ロメロが長年の宿敵へ捧げた感謝

2026年7月7日、東京・後楽園ホール。

31年にわたり新日本プロレスのジュニアヘビー級戦線を牽引してきた黄金の虎が、ついにリングを去る瞬間が訪れた。

『タイガーマスク 引退記念試合』のメインイベント。それは、単なる引退試合という枠を超えた、宿敵同士の魂の対話であった。

セミファイナルで行われたトム・ビリントンとの死闘が時間切れ引き分けで終わった直後、その余韻を切り裂くようにブラック・タイガーⅣがリングへ乱入する。

休む間もなくマウントパンチで黄金の虎を急襲し、そのまま引退試合の最終章となる第7試合のゴングが打ち鳴らされた。

反則や急所蹴りを交えた厳しい攻めを見せる暗闇の虎に対し、タイガーマスクも雪崩式ダブルアームスープレックスやトペ・スイシーダで徹底抗戦を見せる。

しかし、過酷な連続試合のダメージは隠せず、両者が死力を尽くしたまま規定の5分が経過。

無情にも試合終了のゴングが鳴り響く。

だが、ブラック・タイガーは攻撃をやめず、必殺の暗闇脳天落としで宿敵をマットへ突き刺した。

不完全燃焼の空気が漂う中、マイクを握ったブラック・タイガーは、20年間抱き続けてきた執念を日本語と英語を交えて爆発させる。

「チョットマッテクダサイ!」と叫ぶと、リング上の宿敵へ向かって「タイガー、オマエという存在を追いかけ続けて20年。だが今夜、スポットライトを浴びるのはオマエじゃない、ブラックタイガーだ。あと5分、あと5分だけ戦わせろ!」と、直情的な魂の延長戦を直訴したのだ。

この熱き叫びにタイガーマスクも呼応し、急遽5分間の延長戦へ突入。

再び必殺技を狙い突進してくる暗闇の虎を鮮やかに切り返すと、黄金の虎は自らの代名詞であるタイガースープレックスホールドを完璧な弧を描いて決め、3カウントを奪取。

自身の引退試合を劇的な勝利で締めくくった。

熱戦の直後、リング上ではプロレス史に残る感動的な光景が広がった。

敗れたブラック・タイガーは自らマスクを脱ぎ捨て、その正体がロッキー・ロメロであることを満員の観衆の前に明かしたのである。

ロメロは長年の宿敵と固い握手を交わし、熱い抱擁を果たす。

そして、長年自身の顔であった黒きマスクを引退するタイガーマスクへ手渡し、最大級の敬意を表した。

バックステージに現れたロメロは、素顔のまま、20年にわたる愛憎と感謝が入り混じった胸の内を吐露する。

若き日の自身を振り返り、かつてアントニオ猪木が創設したLA道場で与えられた使命の大きさを語った。


©新日本プロレス

「ありがとう、タイガーマスク。本当にありがとう。20年前、俺は猪木さんのLA道場にいた、まだ何者でもないレスラーだった。そんな俺が、ブラック・タイガーⅣになるという、この上なく大きな役目を託された」

何者でもなかった若者が、重圧を背負いながら新日本プロレスのリングで異邦人として生き抜いてこられた理由。

それは、目の前に倒すべき強大な光が存在したからに他ならない。


©新日本プロレス

「でも、4代目タイガーマスクがいなければ、ブラック・タイガーⅣも存在しなかった。これは心の底から本当にそう思ってる。今の俺があるのも、今まで築いてきたこのキャリアがあるのも、4代目タイガーマスクがいたからだ」

光と影として、何度も死闘を繰り広げてきた日々。

ロメロの言葉には、長年のライバル闘争を共に創り上げてきた戦友への深い愛情が滲む。

「この20年間、俺たちはライバルとして闘い続けてきた。同じリングに立ち、何度も激しくぶつかり合い、おたがいに血を流してきた」

引退するタイガーマスクの手元には、かつてロメロが素顔を明かした際のものと合わせ、これで2枚のブラック・タイガーのマスクが渡ったことになる。

ロメロは最後に、永遠の好敵手へ向けて惜別のメッセージと、魂の再会を誓う言葉を贈った。


©新日本プロレス

「そして今、お前の手元には俺のマスクが2枚ある……。タイガーマスク、本当におめでとう。素晴らしいキャリア、本当にお疲れさまでした。そして願わくば、この世界でも、その先でも。俺とお前は永遠のライバルだ。いつかまた、必ずリングで巡り会おう」

こうして、新日本プロレスのジュニアヘビー級における一つの偉大な時代が幕を下ろした。

だが、タイガーマスクとブラック・タイガーが紡いだライバル伝説は、プロレス史の中で永遠に輝き続けることであろう。

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