七夕の夜に舞った奇跡のステップ。4代目タイガーマスクが31年間守り抜いた「黄金の十字架」と、師匠への極上の恩返し
■ 豪華絢爛なる顔ぶれと、黄金の虎を生み出した「神」の降臨

試合後に行われた引退セレモニーは、4代目がプロレス界に刻んだ足跡の大きさを物語るような豪華な顔ぶれとなった。
藤波辰爾、山崎一夫、獣神サンダー・ライガー、グレート・サスケ、新崎人生といったプロレス界のレジェンドたちが次々とリングに上がり、労いの言葉をかける。

さらに、交友の深いプロ野球界から巨人軍元監督の原辰徳氏、横浜DeNA元監督の三浦大輔氏、そして元格闘家の武尊氏といった各界の著名人も駆けつけ、熱い視線を送りながら花束を贈呈した。
だが、この日のクライマックスはまだ先に用意されていた。

セレモニーの最後に登場したのは、4代目の恩師であり、「タイガーマスク」という伝説の生みの親である初代タイガーマスク・佐山サトルである。
現在、パーキンソン病とメニエール病という重い病と闘っており、車椅子生活を余儀なくされることも多い佐山だが、この日は違った。

黄金のマスクを被り、自らの足で力強く花道を歩いてリングへと上がってきたのである。
愛弟子へ花束を贈り、リングの中央で熱く抱擁を交わす師弟。
その美しき光景に、会場からは温かい拍手が降り注いだ。
■ 後楽園を揺るがした奇跡のタイガーステップと、魂のロックアップ

ここで、4代目がマイクを握り、師匠への最後の願いを口にした。
「佐山先生、ありがとうございます。今日は佐山先生にひとつお願いがあります。僕は佐山先生に作っていただいて、育てていただいて。最後は、どうしても佐山先生とロックアップがしたいです。それでタイガーマスクを終えたいと思います。どうかよろしくお願いいたします」
この切実な懇願に、館内からは割れんばかりの「タイガーコール」が巻き起こる。

田中秀和リングアナウンサーの「夢の対決実現」という前口上が高らかに響き渡り、レッドシューズ海野レフェリーがゴングを要請した。
カーン!というゴングが鳴り響いた瞬間、後楽園ホールに奇跡が起きた。

闘病中で歩行すら困難なはずの佐山が、急にスッと戦闘態勢に入り、往年の軽快な「タイガーステップ」をリング上で踏み始めたのだ。
全盛期を彷彿とさせるステップに、会場全体が地鳴りのようなどよめきと感動の歓声に包まれる。

そして、師弟はリングのど真ん中で力強く組み合い、ガッチリとロックアップを交わした。
再びゴングが鳴らされ、時空を超えた「黄金の虎」対決は静かに幕を閉じたのである。

奇跡のタイガーステップとロックアップを胸に刻んだ4代目は、マイクで師匠とファンへの深い感謝を述べた。
「自分なりのタイガーマスクを表現してきました。みなさんも夢をあきらめないで、夢に向かって突っ走ってほしいと思います」

ラストメッセージを送り、万感の思いを込めて引退の10カウントゴングを聞いた。
デビューから一度もマスクを脱ぐことなく現役を全うした4代目。
虎一筋31年のプロレス人生は、多くの人々の記憶に永遠に刻まれる歴史となった。















