七夕の夜に舞った奇跡のステップ。4代目タイガーマスクが31年間守り抜いた「黄金の十字架」と、師匠への極上の恩返し

■ 師から弟子へ、そして弟子から師へと還る生命の輝き

バックステージに戻った四代目は、驚きと興奮を隠しきれない様子で語った。

「まさか今日タイガーステップをするとは僕も全く思ってなくて。ロックアップ、皆さん見てもらったと思うけど、もの凄い力が入って、『えーっ!?』って思ったんですよ。先生一流のジョークなのかな、この長年の病気はと思うぐらい、本当に力が入ってて、やっぱりタイガーマスクは違うなと思いましたね」

そして、師匠からかけられた言葉に、涙が止まらなかったという。

「『お前、最高だよ。とにかく今日までやってくれてありがとう。もう俺もこんな嬉しいことはない』って言ってくれて。それはこっちのセリフですよね。先生が来てくれて、ここまでのことをしてくれるなんて、本当に嬉しい。僕のやっぱり師匠だなと思いました」

歴代最長の31年。その道のりは決して平坦なものではなかった。

デビューから数年後、マスコミやファンからの批判に晒され、「俺はタイガーマスクをやっていていいのか?」と深く思い悩んだ時期があったという。

「何度も佐山さんに『辞めたいです』と電話したことがあります。そのたびに『なんで俺の真似をするんだ。お前は俺になんか絶対なれないんだから、なんでお前は今までやってきたシューティングとコラボしたタイガーマスクというのをやらないんだ』と常に言われて、『あっ、そうか。自分のオリジナルのタイガーマスクをやればいいんだ』って思った時に、吹っ切れた部分はありました」

偉大すぎる「初代」の影と戦い続け、ついに自分だけのオリジナルを確立した四代目。だからこそ、彼は最後までマスクを脱がなかった。

「最初は山口百恵さんみたいにね、マスクを置こうと思ったんですけど、佐山先生にその話をしたら『脱がないでいい。脱いだら大変だよ』って。簡単に脱いで終わりとか、そういうことはできないなと思いますね。僕はタイガーマスクでデビューしてタイガーマスクで終わるというのが、僕の一つのプロレス人生じゃないかなと思います」

恩師から与えられた「タイガーマスク」という重い十字架を背負い、誰よりも長く、31年間守り抜いた男。

最後は自らがリング上で眩いばかりの輝きを放ち、闘病中の師匠の心にまで生きる火を灯してみせた。

これ以上ない極上の恩返しを果たし、四代目タイガーマスクは四角いジャングルから去っていった。

引退後も、タレント活動などでタイガーマスクとしての活動は継続していくという。

漆黒の闇を切り裂き続けた黄金の虎よ、本当にお疲れ様でした。

その誇り高き生き様は、これからもマット界で永遠に語り継がれていく。

<写真提供:新日本プロレス>

Pages 1 2 3 4

◆プロレスTODAY(LINEで友達追加)
友だち追加