【大日本】“女性初”のデスマッチ王座挑戦へ!山下りなが明かす王者アブドーラ・小林の「でかいNO」を糧にする強靭なメンタルと、天下分け目の一戦へ懸ける想い
■ アブドーラ・小林の「でかいNO」は、大日本プロレスの歴史そのものだった
―― そして今回、大日本プロレスというデスマッチの老舗団体において、ついに大一番を迎えます。団体を象徴する王者・アブドーラ・小林選手が保持する「BJW認定デスマッチヘビー級王座」への挑戦。女性として初の快挙ですが、率直な心境はいかがですか?
山下: もちろん最高に嬉しいですし、「ついにここまで来たか」という思いです。でも、挑戦権を得ただけでは終われません。これは「一発獲り(一発勝負)」だと思っています。1回で獲りきらないと、今お客さんが作ってくれているこの熱狂は絶対に続かないし、切れてしまう。だから、絶対に1発で仕留める覚悟です。
―― このタイトルマッチが正式に決まるまで、小林選手からは何度も厳しい言葉で挑戦を拒まれてきました。門前払いを食らっていた時期は、焦りや苛立ちはありませんでしたか?
山下: 私が「挑戦するんじゃないか」という空気が会場に漂い始めた時、小林さんは本当にでかい「NO」を叩きつけてきたんです。「この女が大日本プロレスに上がって、俺の前で調子に乗るんじゃねえ」と。その言葉を聞いた時、私は反発するどころか、「確かにそうだよな」と心の底から納得してしまったんです。
―― 納得、ですか。
山下: 大日本プロレスの歴史って、イコールで小林さんや伊東竜二さんたちじゃないですか。彼らが「女をこのデスマッチの神聖なラインに入れない」という一線を命懸けで守り抜いてきたからこそ、大日本プロレスという団体の歴史と重み、希少価値が保たれてきた。その事実を、あの短い言葉の中で強烈に突きつけられたんです。「ああ、お客さんが『山下行け!』と言っているその場の流れだけで、簡単に挑んでいいものじゃないんだな」と、私自身が深く理解しました。
―― それでも、山下選手は決して引き下がりませんでした。
山下: だって、こんなに楽しいものを簡単に諦めるわけにいかないじゃないですか だから、あの手この手で小林さんにラブコールを送りました。時には「老害!」と挑発してみたり、小林さんの試合に奇襲をかけてみたり。私にとって、小林さんからの拒絶の言葉すら、大日本の歴史の一部なんです。だから、小林さんから「授業」を受けているような気持ちでした。
―― 拒絶を「授業」と捉えていたと。
山下: ええ。「次はどんな言葉が飛んでくるんだろう」「どんな試練を与えられるんだろう」と、毎回小林さんとのカードが組まれるのが楽しみで仕方なかった。リングの上ではバチバチにやり合いますけど、内心では「もっと暴言でもなんでも言ってこい、全部私の糧にしてやる!」と思っていました。だから、この間ついに「お前の挑戦を認める」と言ってくれた時は、本当に嬉しかったです。
■ 後楽園ホールとレモンサワー。王者への独自のアンサー

―― 小林選手から「6月26日の後楽園大会で一番目立ってみろ」という過酷な条件を課され、それを見事にクリアして今回の挑戦権を得ました。あの日の試合で、伊東竜二選手と一緒に小林選手に「レモンサワー」をぶっかけた行動は大きなインパクトを残しましたが、あれにはどのような意図があったのでしょうか?
\大日本プロレス後楽園ホール大会配信中/
🩸山下りな@wryyyyna66
試合中に消えた山下りな
なんと後楽園ホール名物のレモンサワーと共に登場🍋🍋🍋🍋「レモンサワーいくぞーーー!!」
🎦YouTubeメンバーシップ、BJW COREで生配信中#bjw pic.twitter.com/Y4wYJAj5Eo
— BJW CORE (@bjwcore) June 26, 2026
山下: 小林さんからの「一番目立ってみろ」という課題に対して、ただ過激な凶器を使ったり、ちまちました小細工をするのは違うなと思ったんです。そんなことをしたら、メインイベンターとしての器じゃないと自分で認めるようなものですから。小林さんが大日本の重い「歴史」をぶつけてくるなら、私はたった数年かもしれないけれど、自分の「歴史」をぶつけようと考えました。

©大日本プロレス
―― ご自身の歴史、ですか。
山下: 私にとってのデスマッチのルーツ、その分岐点は「後楽園ホールの南側席で、ベロベロに酔っ払いながらレモンサワーを飲んでデスマッチを見た日」なんです。あの日にデスマッチを見て、「最高だな」と心から感動して、明後日の自分の試合も頑張るか、と気合を入れ直した。だから、私の歴史は「後楽園ホールとレモンサワー」にある。切れたり刺さったりする凶器ではありませんが、私のルーツをぶつけるという気持ちで、あの日レモンサワーを持ち込みました。
―― アブドーラ・小林という巨大な歴史に対し、自分自身の原風景をぶつけるというアンサーだったのですね。その姿勢がファンにも伝わり、現在の大日本プロレスの会場は異様なほどの熱気に包まれています。
山下: 本当に! 今の大日本の会場の熱量って、アメリカのデスマッチ会場の熱狂にすごく近いんですよ。若いファンからお酒を飲んでいるおじさんまで、そして女性ファンからも「行けー!」ってものすごい声援が飛んでくる。それは過剰なヤジじゃなくて、選手への熱と期待感なんです。この異様なほどの熱気、大日本プロレスが今最高に盛り上がっているという空気が、たまらなく楽しいんです。この火を消してしまうのは絶対に許せない。だから、7月31日のタイトルマッチは、この熱狂を大爆発させるための「天下分け目」の一戦になると思っています。
―― この一戦に懸ける想いが伝わってきます。
(【後編】へ続く。デスマッチが救った「死にかけていた魂」と、女性初という肩書きを逆手に取る強かさ。そして未知の景色へ――)

<インタビュアー:山口義徳 / プロレスTODAY総監督>
















