【新日本】「俺だって新日本を背負ってんだよ!」後藤洋央紀がIWGP王者・辻陽太を粉砕し単独トップ
7月18日、北海道立総合体育センター(北海きたえーる)で行われた新日本プロレス『G1 CLIMAX 36』Aブロック公式戦。
同日の大会前には猛牛・天山広吉が引退を発表し、会場には一つの時代の終わりを予感させる感傷的な空気が漂っていた。
そんな中、メインイベントのリングで「ベテランの意地」を究極の形で体現し、新日本プロレスが抱える熱き魂を証明してみせた男がいる。
後藤洋央紀が、現IWGPヘビー級王者である辻陽太との死闘を制し、無傷の2連勝でAブロック単独トップへと躍り出たのである。
両者は今年の『NEW JAPAN CUP』決勝戦でも対戦しており、その際は辻が勝利を収めて優勝を果たしている。
後藤にとっては春の雪辱戦であり、同時に新世代の顔として団体を牽引する若き王者への挑戦でもあった。

ゴングが鳴ると、辻が若さと勢いに任せた猛攻を仕掛ける。

場外へのトペ・スイシーダや強烈な逆エビ固め、さらにはエルボーの乱打で大ベテランを容赦無く追い込んでいく。

しかし、後藤の心は決して折れなかった。

雪崩式回天やGTWで活路を見出すと、終盤は辻の必殺技であるジーンブラスターを巡る極限の読み合いへと突入する。

辻のジーンブラスターを真っ向から受け止めて昇天・改を炸裂させると、エドモンド本田を彷彿とさせる強烈な手刀から一気に形勢逆転。

最後はカウンターのフライングニールキックからGTR、そして怒涛の追撃となる新技「後藤革命」を完璧に叩き込み、若き王者をマットに沈めた。
大歓声に包まれるリング上。
後藤はマイクを握ると、ダメージで立ち上がれずセコンドの永井の肩を借りて引き揚げようとする辻の背中へ向けて、魂の叫びをぶつけた。
「辻! この新日本プロレス、お前だけが背負ってると思うなよ。俺だって新日本プロレス背負ってんだよ!」
新日本プロレスの未来は若手や王者だけのものではない。
長年団体を支え続けてきた自らもまた、その重みを背負っているのだという強烈な自負。

そして「『G1 CLIMAX』、優勝してもう一度お前の前に立ってやる。覚悟はいいか!」と、堂々たる王者への再戦宣言を叩きつけた。
辻が姿を消すと、客席からは割れんばかりの大「後藤コール」が巻き起こる。荒武者はファンの歓声に応えるように、力強く高らかに叫んだ。
「『G1 CLIMAX』最年長優勝記録更新をしたいと思います。それができるのは俺しかいねえ。なんでか分かるよな? そうだ。『G1』の“G”は後藤の“G”!」
お馴染みのフレーズで北の大地を熱狂の渦に巻き込み、堂々の勝ち名乗りを受けた。
控室へ戻った後藤の表情には、単なる一勝にとどまらない、ある種の悲壮な決意が滲んでいた。
天山の引退発表があったばかりのこの日、大ベテランの胸中には迫り来る時間のタイムリミットが刻み込まれていたのだ。
「言っただろ。年齢なんて関係ねえんだよ。この『G1』、気持ちの強い方が勝つんだ」
力強く語り始めると、自らのプロレス人生の現在地について静かに口を開く。
「先輩方が引退されていくなかで、長い時間が用意されているとは思ってないんだよ。この一戦一戦が、俺にとってホントに重要なものになってくる」
偉大な先輩たちが次々とリングを去る中、残された時間は決して多くはない。
だからこそ、一瞬たりとも無駄にはできない。今大会にかける並々ならぬ覚悟をあらわにする。
「いいか、俺の最後の快挙になるかも知れない。この『G1 CLIMAX』最年長優勝。そしてまだ全勝優勝の可能性も残ってるよな。最後まで目を離すなよ。“後藤革命”は、この『G1』を機にまた始まるぞ」
一方、敗れた辻は永井に抱えられながらコメントブースへ辿り着くと、悔しさを押し殺して勝者を称えた。
「後藤、言い訳はしねぇ。アンタの勝ちだ。アンタの覚悟が上回ったんだ……」
現王者に「覚悟」の違いを認めさせた後藤洋央紀。
去りゆく先輩たちの魂を受け継ぎ、年齢という壁を打ち破る荒武者の「後藤革命」が、真夏の最強戦士決定戦を熱く激しく染め上げていく。
<写真提供:新日本プロレス>
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