【新日本】「名演技だったろ? 主演男優賞並だぜ」ジェイク・リーが古傷の右ヒザを囮に後藤洋央紀を衝撃の騙し討ち『G1』2勝目
新日本プロレスが7月21日、宮城・仙台サンプラザホールで開催した真夏の最強戦士決定戦『G1 CLIMAX 36』第4戦。
Aブロック公式戦として組まれた後藤洋央紀とジェイク・リーの一戦は、肉体のぶつかり合いから一転、背筋が凍るような心理戦の結末を迎えた。
開幕から無傷の2連勝で単独首位に立つ後藤と、1勝1敗でこれ以上の取りこぼしが許されないジェイク。
両者は今年3月の『NEW JAPAN CUP』2回戦で激突し、その際は後藤が勝利を収めている。
ジェイクにとってはこの真夏の舞台が絶好の雪辱戦であった。
さらに、決戦の地である仙台サンプラザホールは、ジェイク自身が2年前の9月に右ヒザに重傷を負った因縁の場所。

入場時、自身の右ヒザをなでながら花道を歩く姿には、過去の悪夢と対峙する悲壮感が漂っていた。
試合は序盤から激しい主導権争いとなる。

ジェイクがエプロンや本部席に後藤の顔面を叩きつけて冷酷に攻め立てれば、後藤も持ち前のタフネスを発揮し、追走式のラリアットや裏GTRで猛反撃に出る。

勝負が動いたのは終盤であった。後藤がジェイクの蹴り足を捕獲し、あろうことか古傷である右膝に対して直接GTRを炸裂させる。

場外へ転げ落ちたジェイクは右ヒザを押さえて絶叫し、レフェリーやトレーナーが慌てて駆け寄る緊急事態に。

会場全体が過去の悲劇の再来を覚悟した。

しかし、ジェイクが足を引きずりながらリングへ戻り、後藤が止めを刺そうと近づいた次の瞬間だった。

ジェイクは瞬時に痛みを消し去り、完全な死角から電光石火のFBSを後藤の顔面に叩き込んだのである。
あっけに取られる後藤から、完璧な3カウントを奪取。

試合後、右ヒザのダメージなど微塵も感じさせない軽快なステップで花道を下がるジェイクの姿に、観客はそれがすべて仕組まれた罠であったことを悟った。

バックステージに現れたジェイクは、自身の仕掛けた心理戦の大成功に酔いしれていた。
「名演技だったろ? 主演男優賞並だぜ」
してやったりと不敵な笑みを浮かべるジェイクは、右ヒザを指さしながら、自身の負った深い傷すらも勝利への布石に変えた狂気の論理を展開する。
「そして、トラウマを払拭したぜーッ! この地で、この会場で、ここブチ切れたんだよ」
過去に大ケガを負ったという事実。対戦相手も観客も知っているその「弱点」を最大限に利用し、油断を誘う究極の騙し討ち。
「私はな、トラウマだって武器にするんだぜーッ!」

一方、完全に裏をかかれ、開幕からの連勝を止められた後藤は、顔面を押さえながら憔悴しきった様子でインタビュースペースにたどり着いた。
「オイ、なんだ、最後、オイ、なんか…なんか飛んできたぞ。何が飛んできた? クソ……」
自身の放った非情な膝攻めが効いていると確信した直後に訪れた、見えない角度からの強烈な一撃。
百戦錬磨の荒武者にとっても、何が起きたのか瞬時には脳が処理しきれなかったようだ。
「アァ…誰か、ドッキリだって言ってくれよ……」
悪夢のような逆転劇をドッキリであってほしいと嘆く後藤。
肉体の削り合いだけでなく、人間の心理の隙間を突く恐るべき罠が仕掛けられる過酷なリーグ戦。
ジェイク・リーが持ち込んだ狡猾な毒によって、Aブロックの星取争いは一気に混沌の渦へと飲み込まれていった。
<写真提供:新日本プロレス>













