【新日本】「イッポン!」ゲイブ・キッドが『G1』で五輪金メダリストを皮肉る快勝劇!ウルフアロンは悔しさ滲ませノーコメント
新日本プロレスが7月22日、新潟・アオーレ長岡で開催した『G1 CLIMAX 36』第5戦。
Bブロック公式戦の第6試合で、NEVER無差別級王者ウルフアロン(2勝0敗)とIWGP GLOBALヘビー級王者ゲイブ・キッド(2勝1敗)の初シングルマッチが実現した。
柔道の五輪金メダリストからプロレスラーへと転身し、破竹の快進撃を続けるウルフと、狂乱のファイトスタイルで業界を席巻するゲイブ。
両極端なバックボーンを持つ両王者の激突は、ゲイブのインサイドワークとプロレスラーとしての矜持が勝る結末となった。

入場からゲイブの盤外戦は始まっていた。
自身は青い柔道着をまとい、ウルフには白い柔道着を投げつけて着用を強要。
ゴングが鳴るや否や、頭部への噛みつきや脱いだ柔道着での殴打といった反則を躊躇なく繰り出していく。

対するウルフは怒りに身を任せることなく、「オレはプロレスラーだよ!」と咆哮。

柔道着での報復を自制し、裏投げや雪崩式変型ハリケーンドライバーといったプロレスの業で真っ向から応戦してみせた。
得意の逆三角絞めでゲイブを追い詰める場面もあったが、ゲイブは非情な急所攻撃で脱出。

一瞬の隙を突いてO-KNEEを叩き込むと、最後は必殺のドリル・ア・ホール・パイルドライバーで五輪金メダリストから完璧な3カウントを奪取した。

勝利後、リング上で「イッポン!」と絶叫し、自身のGLOBALベルトを蹴りつけながら退場したゲイブ。

バックステージに姿を現すと、そのベルトを叩きながらウルフの経歴を皮肉交じりに称賛しつつ、プロレス界における絶対的な格の違いをアピールした。
「お前は自国を代表して勝利を収めた。オリンピックに出て、文字どおり頂点を獲った。俺を出し抜いて、勝つことができると思ったかもしれない。まあ、かなり良い線を行っていたということは認めよう」
だが、ゲイブにとって五輪の栄光は過去の遺物にすぎない。
「これこそプロレスの金メダルだ。この業界に15年いる者にとってのな。レスリングを始めて6ヵ月、道場の練習を入れても1年か。本物の前では何の価値もない。俺が最強なんだ」
さらにゲイブの矛先は、ウルフの精神性へと向けられる。
肉体を極限まで鍛え上げたエリートアスリートには、這い上がってきた泥臭い人間だけが持つ「自己嫌悪」という葛藤が欠けていると指摘した。
「ウルフ、お前はどんな過酷な訓練だって乗り越えられる。だが、鏡の自分を見て、その姿に嫌気が差し、逃げ出そうと思ったことはあるか? 腑抜けの日本人は精神的な葛藤について、何もわかっちゃいない」
そしてゲイブは、自身が狂気に満ちたファイトスタイルに行き着くまでの、知られざる苦悩の日々を吐露し始めた。
「1年半の間、俺は起きて鏡の自分を見て、そこに映る姿が嫌だった。自分の頭が『ケニーとの試合、あれがピークだった。あれ以上はもう良くならない』って言い聞かせてくるんだ」
底知れぬ絶望と自己否定。
しかし、狂犬はその暗闇から自らの力で這い上がってきた。
「ある日、俺は自分を見て言ったんだ!『第一に、お前は世界一セクシーなハゲ男だ! 第二に、お前は史上最高のレスラーだ!』それが俺なんだ! これが俺の生き方だ」
精神的な死地を乗り越えた男に、迷いはない。
その視線は新日本プロレスの枠すら超え、はるか先の頂点を見据えている。
「10年かかるかもしれない。でも俺は世界王者になるまで止まらない。IWGPのことを言っているんじゃない。俺が言っているのはAEW世界王座だ」
カメラに向かってマッスルポーズを決めると、同盟関係にあるクラウディオ・カスタニョーリやマリーナ・シャフィールにメッセージを送り、意気揚々と控室へ消えていった。
一方、プロレスラーとしてのプライドを示しながらもプロの洗礼を浴びたウルフは、無言のまま会場を後にした。
五輪の頂点を知る男と、精神のどん底から蘇った男。
交わるはずのなかった2つの人生がリング上で衝突し、プロレスという競技の奥深さと残酷さを浮き彫りにした長岡の夜であった。
<写真提供:新日本プロレス>
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