【新日本】「最大の罪は自分への賞賛を真に受けることだ」HENAREが『G1』でOSKARの増長を粉砕
新日本プロレスが7月22日、新潟・アオーレ長岡で開催した真夏の最強戦士決定戦『G1 CLIMAX 36』第5戦。
Bブロック公式戦として組まれたOSKARとHENAREの激突は、単なるリーグ戦の1試合にとどまらず、王者から若武者へ向けた「謙虚さ」を巡る残酷な教育の場となった。
両者の因縁は深い。
6月14日の大阪城ホール大会において、OSKARはYuto-IceとのKnock Out Brothersで保持していたIWGPタッグ王座を、グレート-O-カーン&HENARE組に奪われている。
OSKARにとっては王座から陥落させられた相手への絶対的な雪辱戦であった。

3冠(IWGPタッグ、NEVER無差別級6人タッグ、ニュージーランドヘビー級)を誇示して入場したHENAREに対し、OSKARは序盤から持ち前のパワーで真っ向勝負を挑む。
しかし、場外戦で鉄柵に脇腹を強打したOSKARは、自慢の怪力を完全に発揮できない状態に陥る。

中盤、脇腹の痛みに耐えながらオーバーハンドチョップやビッグブーツで意地を見せるOSKARだったが、HENAREの猛攻は止まらない。

OSKARの必殺技ナイトメアホールドをヘッドバットで強引に脱出したHENAREは、試合中に何度も狙っていたパワーボムの体勢に4度目のトライ。

今度は完全に持ち上げ、渾身のシットダウン式パワーボムで若き巨体をマットに沈めた。
これでHENAREは勝ち点を6に伸ばし3勝目をマーク。
決着後、HENAREがOSKARを見下ろすようにベルトを掲げると、敗れたOSKARは屈辱から下からツバを吐きかけ、怒りと絶望を露わにした。

バックステージに姿を見せたHENAREは、激闘の代償として顔を血に染めていた。
しかし、その表情に怒りはなく、むしろ己の血を流させたOSKARの成長を静かに称えた。
「ウソはつかない、OSKAR。ここまで成長したお前を誇りに思う。俺に血を流させたこともだ。祖先たちは俺を見守り、この流血を祝福してくれた」
戦士としての実力を認めた上で、HENAREは厳しい言葉を投げかける。
それは、6月のタッグ王座戦でOSKARからベルトを奪った時と同じ、プロレスラーとしての精神性、すなわち「謙虚さ」の欠如に対する痛烈な説教であった。
「だが、それでも一つだけ変わらないことがある。OSKAR、この世界で最大の罪は、自分への賞賛を真に受けることだ」
周囲からの持ち上げによって自己評価を見誤ることの危険性を、HENAREは身をもって叩き込んだのだ。
「常に謙虚でいろ。人は必ず、謙虚さを思い知らされる。今日もそうだ。オーサカジョーの時と同じようにもう1度、お前に謙虚さを思い出させた。そうだろ、オスカー・ロイべ?」
そして、王者の視線はすでに次なる標的、ナリタへと向けられている。
「俺に弱点があると思うなら、狙ってこい。ここに俺の首がある。狩れるものなら狩ってみろ」と、さらなる死闘を渇望する生粋の戦闘者の顔を覗かせた。

一方、肉体だけでなく精神までもへし折られたOSKARは、インタビュースペースにたどり着くのがやっとであった。
敗北のショックからか、視線は宙を彷徨い、絞り出すような小さな声で自身の現在地を疑う言葉をこぼした。
「もしかしたら……もしかしたら……今の俺は……このOSKARは……まだ……」
最後まで言葉を紡ぐことはできず、未完成な自分を突きつけられた絶望感だけがその場に残された。
自信に満ちていた若き野心は、HENAREという高すぎる壁の前に粉々に砕け散った。
真夏の過酷なリーグ戦は、時にレスラーの自我すらも崩壊させる残酷さを持っている。
<写真提供:新日本プロレス>













