【マーベラス】「いばらの道を真っ向から踏み潰されろ」長与千種が暁千華に託す“雑草のプライド”。そして彩羽匠の抗いと覚悟

「どちらかが負けたらスパーク・ラッシュ解散」。

自らの首を絞めるような極限のリスクを背負い、8月8日のマーベラス後楽園ホール大会へ向かうSareeeと彩羽匠。

そして、その巨大な壁を実力で打ち壊さんと牙を研ぐ暁千華。

【前編】では、若手の猛烈な突き上げと、長与千種代表が望んだ「ヒリヒリとした熱」について語られた。

続く【後編】では、暁千華の内に秘められた真のポテンシャルと、先日大きな波紋を呼んだ彩羽匠との「タオル投入口論事件」の真相について、長与代表の口から生々しい感情が語られる。

歴史は繰り返されるのか、それとも新たな扉がこじ開けられるのか。

決戦を前にした女たちの魂の叫びをお届けする。

▼殺伐とした前哨戦となった7.26マーベラス船橋大会 (彩羽&Sareee vs 桃野&暁)

 

【覚醒の時。エースの器と若手の逆襲】

――後編もよろしくお願いいたします。暁選手は、Sareee選手の「ただのマスコットじゃエースになれない」というマイクを聞いて、ハッとさせられる部分はありましたか? 「将来有望」と言われる枠を飛び出し、マーベラスのど真ん中に立つために、今の自分に一番足りないものは何だと分析していますか?

暁:口に出して強い気持ちを語るだけなら、誰にでもできると思うんです。大事なのは、それを自分の行動で貫いていくこと。それを私自身がもっと理解して、「暁千華」という存在を確立していかなきゃいけないと強く感じています。ジュニアの枠の中でタイトルマッチをやらせていただいたり、ベルトを任されたりもしましたけど、そのレベルで終わりたくない。ジュニアの中で一番を目指せと言われても、私は全然嬉しくないんです。どんなに高い壁でも上を狙って、女子プロレス界のトップを獲りにいきたいです。

――長与代表から見て、現在の暁千華というレスラーのポテンシャルと「怖さ」はどこにあると感じますか? 彩羽匠という完成された王者を崩すために、彼女に期待する闘い方はどのようなものでしょうか。

長与:「真っ向勝負」です。いばらの道の真っ向勝負。もう、徹底的に叩き潰されればいいんです。本当にいい花を咲かせたければ、まずは人に何度も何度も踏んでもらわなきゃいけない。雑草になって、踏まれて踏まれて踏まれまくって、そこからやっと芽が出て、小さな花を咲かせていく。そうやって初めて、自分の「花道」ができていくんです。

――踏まれることでしか得られない強さがあると。

長与:ええ。彼女の名前、「千華」というのは「千の華」という意味ですから。いろんな色に染まる千の華を咲かせるためには、今もっともっと、理不尽なくらい踏みつけられなきゃいけない時期なのかなという気はします。

 

【タオル投入事件の真実と、シンク(神紅/信紅)の運命】

――少し時計の針を戻させてください。先月の福岡大会でのAAAWタッグ王座戦、彩羽選手がSareee選手の首のダメージを危惧して「タオルを投入した一件」は大きな波紋を呼びました。試合後、長与代表からの公開叱責に対し、彩羽選手は「自分たちのやり方がある。黙っててください!」と公衆の面前で初めて師匠に牙を剥きました。あの一件について、長与代表はどのような心境だったのでしょうか。

長与:Sareeeが首のケガ明けで、いくらドクターストップが解除されたとはいえ、あれだけのダメージを負っていれば、ペアとしてタオルを投げたくなる彩羽の優しさは痛いほど分かるんです。でもね……その首の覚悟を持ってSareeeがリングに上がってきたんだったら、そのタオルは投げるなと。「それがお前たちの覚悟だろ? そこからが真のスタートじゃないのか?」と思ったんです。

――優しさゆえの行動が、プロレスラーとしての覚悟に水を差したと。

長与:とてもスマートでカッコいい闘いをしているだけなら、もう要らないんです。無様な姿を晒してでも、「それでもこいつらを応援したい!」とお客さんに思わせられるかどうか。一番の底力の見せ場であって、そこを潰すなよって。私がかつて髪切りマッチをやった時、相方(ライオネス飛鳥)は私がこれ以上壮絶な目に遭うのを見かねてタオルを投げてくれました。相方を思う優しさは十二分に分かっている。でも、私は壮絶な運命になることを覚悟してリングに上がっていた。ここで私たちが抗わなければ、私たち自身を貶めてしまう。必ずそこに爪痕を残すことが大事なんだって、経験上分かっていたからこそ、あえて厳しく言ったんです。

――その厳しい叱責に対し、彩羽選手は「クラッシュ・ギャルズとは違う!」と真っ向から反論してきました。

長与:私はかつて、里村(明衣子)に対して「神の赤」という意味で「神紅(シンク)」という言葉を授けました。そして彩羽匠に対しては「信じられる紅」という意味で「信紅(シンク)」と名付けたんです。彩羽は今、本当にいろんな人から信じられている。彼女と試合をすれば絶対に悪い試合にはならない、素晴らしい試合を弾き出すと誰もが言います。でも、そこで「おしまい」になってほしくなかった。サイレントキラーである彩羽匠が、感情を剥き出しにして泥臭く抗う姿を、私はもっと見たかったんです。だから「抗えよ!」と。抗わないと、時代なんて自分の手に入るわけがないから。あの反抗は、私にとっても一つの答えでしたね。

――師匠への反逆すらも、長与代表の手のひらの上で時代を創るための着火剤だったのですね。

長与:敵は本能寺にあるのではなく、世界にあるんですから。時代を獲るためなら、毒にも薬にもなる仕掛けをこれからもやっていきますよ。

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