「入江茂弘はまだ生きてる」渡瀬瑞基との頂上決戦で世間に突きつける“現在進行形”の生き様—8.15後楽園、2人の男が紡ぐ物語

不器用な男がプロレスだけで生きていく理由


©ガンバレ☆プロレス

――入江選手はフリーランスとして世界中で経験を積んできましたが、昔の自分と比べて一番変化を感じる部分はどこでしょうか。

入江:フリーで、1匹狼で世界を相手に闘っている……そんな風に見られることも多いんですが、実は全く逆なんです。フリーになってからこそ、周りの人たちからの「助け」や「サポート」のありがたみを、心底感じるようになりました。僕が海外に行けるのも、海外でずっと試合をさせてもらえるのも、自分個人の力じゃなくて、周りのみんなが僕をサポートしてくれたからです。それに対する感謝の気持ちは、昔とは比べ物にならないくらい強くなりました。

――レスラーとしての強みはどうでしょうか。

入江:僕のことを全く知らない海外のお客さんの前で試合をして、自分のプロレスだけで彼らを引き込み、熱狂させることができた時。それは自分にとって大きな自信になりました。「ああ、俺はこのプロレスだけで生きていけるんだな」という確信に変わった部分ですね。

――今、プロレス界には数多くのレスラーがいますが、「プロレス一本で食べていく」というのは本当に過酷で、並大抵の覚悟ではできないことだと思います。そのプロ意識の源泉は何ですか?

入江:プロ意識なんて大層なものじゃないですよ(笑)。僕はもう、普通の仕事ができない人間なんです。だから、プロレスで生きるために必死なんです。でも、それが全く苦じゃない。大好きなプロレスをして、痛い思いをして、それで生活できている。むしろ僕は、世界で一番幸せ者だと感じています。

――コンディションの維持も過酷だと思いますが、今の状態はいかがですか?

入江:この渡瀬との大一番に向けて、しっかり戻していけるように全力で調整しています。五体満足でリングに上がり続けるのは難しいですが、当日は絶対にベストな状態の入江茂弘をお見せします。

 

「勝敗」を超えた先にある、最高のわがまま


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――王者である渡瀬選手は「俺が進化し、ブレずにやってきた結果がこのベルトだ」と語っています。入江選手にとって、今の渡瀬選手を打ち破るための「勝負の鍵」は何だと考えていますか?

入江:鍵、ですか。……もうプロレスのリングに上がったら、僕も全力で相手をぶっ壊しにいくし、渡瀬にも全力で僕を潰しにきてほしい。あいつが全力で来るなら、僕はそれを上回る全力で応えるだけです。タイトルマッチの挑戦者として言うのは矛盾しているかもしれませんが、僕の中では、この渡瀬との試合において「どっちが勝ったか、負けたか」は、一番重要ではないのかもしれないです。

――勝敗以上のものがある、と。

入江:プロレスラー・入江茂弘としては、後楽園のメインで勝ってベルトを巻き、ガンプロの主役に躍り出るのが正解なんでしょう。でも、個人的な感情としては、ベルト云々よりも「聖地・後楽園ホールのメインイベントで、ベルトを間に置いて、渡瀬瑞基と2人で命懸けの勝負をする」。それ自体が一番重要なんです。

――その死闘を制し、SOG世界無差別級のベルトを巻いた暁には、王者としてどんなことをしていきたいですか?

入江:チャンピオンベルトを持っていれば、多少の「わがまま」は許されると僕は思っているんです。ガンプロには、渡瀬だけじゃなく、僕にとってかけがえのない石井慧介もいます。だから、僕がチャンピオンになったら、石井とタイトルマッチをやりたい。そして、石井、高尾(蒼馬)と組んで、かつてDDTで一緒にやっていた「チームドリフ(チーム・ドリーム・フューチャーズ)」として、ガンプロのリングに何かを残していきたい。前回ガンプロで3人で組んだ時、「なんて心地いいトリオなんだろう」って心底思えたんです。僕がチャンピオンになれば、そんなわがままだって言えるのかなって。だから、ベルトを獲ったら、またあの3人で暴れたいですね。

――かつての熱いストーリーが、ガンプロのリングで再び交差する。ファンにとってはたまらない展開ですね。最後に、8月15日の後楽園ホール大会を楽しみにしているファンの皆さんへ、メッセージをお願いします。

入江:当日は、渡瀬との誤魔化しの効かない、本当の「生の感情」のぶつけ合いになります。それを会場の隅々まで届けます。そして、皆さんに知ってほしい。「入江茂弘は、まだまだ生きているぞ」と。今も第一線で、プロレスだけで生きている僕の姿を、その目に焼き付けてください。

――本日は熱いお言葉、本当にありがとうございました。極上の試合を期待しております。

入江:ありがとうございました。全力でいきます。

***

「普通の仕事はできない。プロレスだけで生きている」——そう笑って語る入江茂弘の瞳には、プロレスというジャンルに対する狂気的なまでの愛情と覚悟が宿っていた。

過去を懐かしむ声への反骨心。可愛い後輩の成長に対する誇りと一抹の寂しさ。そして、大谷晋二郎から受け継いだ、不器用で真っ直ぐなプロレスの魂。

8月15日、後楽園ホール。そこには、ベルトという至宝を介してしか会話ができない2人の男の、愛と痛みに満ちた極上のストーリーが待っている。

「入江茂弘はまだ生きている」。

その叫びが聖地の天井に木霊する時、我々はまた一つ、忘れられない試合の目撃者となるはずだ。

インタビュアー:山口義徳(プロレスTODAY総監督)

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