【新日本】「握手は認め合った時だ」後藤洋央紀が『G1』激闘後に怪物ボルチン・オレッグへ伝授したプロレスの真髄
新日本プロレスは8月9日(日)、群馬・Gメッセ群馬にて真夏の最強戦士決定戦『G1 CLIMAX 36』第14戦を開催した。
セミファイナルとなる第8試合では、Aブロック公式戦として後藤洋央紀(2勝5敗)と、STRONG無差別級王者のボルチン・オレッグ(5勝2敗)による初のシングルマッチが組まれた。
両者は本年1月から5月にかけて、YOSHI-HASHIを加えたトリオ「毘沙門チン」としてNEVER6人タッグ王座を保持し、共に戦い抜いた盟友である。
すでに負け越しが決まっている後藤にとっては、成長著しいかつてのパートナーにプロレスの厳しさを叩き込む、意地を懸けた闘いとなった。

ゴングが鳴ると、オレッグは規格外のパワーで圧倒にかかる。

後藤の放つ串刺し攻撃や牛殺しを力技で食い止め、逆にフロントスープレックスやボルチンズリフトで荒武者を窮地へと追い込んだ。

しかし、百戦錬磨の後藤も簡単には沈まない。

スリーパーホールドからのTKOで流れを引き寄せると、相手の突進を切り返しての村正、そしてセカンドロープを利用した一人消灯と波状攻撃を仕掛ける。

最後はラリアットの相打ちから隙を突き、伝家の宝刀GTRを完璧に炸裂させ、怪物ボルチンから見事な3カウントを奪い取った。
激闘を終え、リングを降りようとするオレッグを呼び止めた後藤は、静かに右手を差し出し、固い握手を交わした。

バックステージに現れた後藤は、かつての盟友が持つポテンシャルを手放しで称賛した。
「わかってはいたけど、やっぱりアイツは怪物だよ。あの謙虚な心があればね、アイツ、まだまだ伸びるぞ。まだまだ怪物になれる」
元タッグパートナーだからこそ分かる、オレッグの底知れぬ実力と素直な人間性。しかし、後藤が真に伝えたかったのは、技術やパワーを超えた「プロレスラーとしての心構え」であった。
「一つだけ、アイツに言いたいこと。試合前にね、敬意を持って握手をすること。それは、アマチュアレスリングの世界では当然のことかもしれない」
アマチュアエリートとしてスポーツマンシップを重んじるオレッグの姿勢を理解しつつも、闘いのリングが持つ意味の違いを厳しく説く。
「でもここは、新日本プロレスだ。命を懸けた闘い、己のプライドを懸けた闘いなんだ。これから闘う人と、握手なんかしてる場合じゃない」
ゴングが鳴る前から闘いは始まっている。なれ合いを捨て、相手を倒す闘争心だけをリングに持ち込まなければならない。それが荒武者の流儀である。
「握手する時は、今日の俺とお前のように、おたがいが認め合った時だ。それが、新日本プロレス」
戦い抜いた末に生まれる真の敬意。後藤の言葉は、急成長を遂げる未完の大器へ向けた、最高の愛の鞭であった。

一方、G1での手痛い黒星を喫したオレッグは、「一番悔しいですね」と率直な胸の内を吐露した。
タッグを組んでいた頃から後藤のオリジナル技の存在は知っていたものの、対角線に立って初めて受けるその一撃は、想像を絶するものであったという。
「後藤さんのオリジナル技を回避したりダメージを少なく受けるのが難しいですね。何が来るか、どこにダメージが来るか。一緒に組んでてああいう技があるのは知ってたけど、やっぱり経験がないから」
プロレス特有の間の取り方や、予測不能な技の軌道に翻弄されたことを素直に認める。
しかし、怪物の心は決して折れていない。
「これであきらめるわけないから。言い訳しないよね。次はオーカーンだから。今日あったこと、オーカーンにぶつけてやるね」
ベテランから身をもって「プロレスの真髄」を教え込まれたカザフスタンの怪物が、次戦でどのような進化を見せるのか。
盟友同士が紡いだ熱きプロレス道は、真夏の群馬の夜に深い余韻を残した。
<写真提供:新日本プロレス>
Pages 1 2














