【新日本】後藤洋央紀が『G1』でYuto-Iceから公約通りの3カウント奪取「俺は最高にハイを感じたよ」

新日本プロレスは8月12日(水)、静岡・アクトシティ浜松にて真夏の最強戦士決定戦『G1 CLIMAX 36』第16戦を開催した。

第6試合に組まれたAブロックの最終公式戦では、後藤洋央紀(3勝5敗)と初出場のYuto-Ice(4勝4敗)による初めてのシングルマッチが行われた。

両者ともにすでに決勝トーナメント進出の可能性は消滅している。しかし、この一戦には単なる消化試合には収まらない熱が帯びていた。

後藤は前哨戦の直後、今大会でまだ一度もフォール負けを喫していない若武者に対し「俺がしっかり3カウントを奪う」と完全決着を予告。

一方のIceにとっても、初出場のG1を勝ち越しで終えるための重要な試金石であった。

試合は、ゴングが鳴るやいなやIceが猛烈なラッシュを仕掛ける展開となる。

顔面への張り手や場外での激しいフェンス攻撃、さらには客席への投げつけなど、若さと勢いに任せた猛攻でベテランを休ませない。

後藤も村正やバックドロップ、さらには代名詞である牛殺しや裏GTRで反撃の狼煙を上げるが、Iceのスピードと打撃の雨あられに押される時間が長く続いた。

終盤、IceはバズソーキックやAMBITIONといった大技を立て続けに繰り出し、勝負を決するべく必殺のCruellaの体勢に入る。

しかし、荒武者は一瞬の隙を見逃さなかった。

カウンターの低空ドロップキックでIceの動きを止めると、そこから流れるように伝家の宝刀「後藤式」で捕獲。

電光石火の丸め込み技にIceは肩を上げることができず、後藤が宣言通り3カウントを奪い取って意地の4勝目を挙げた。

試合直後、レフェリーに抗議しつつも、最後は後藤に指を突き立てて再戦をアピールしたIce。

圧倒的な攻勢を見せながら一瞬の丸め込みで敗れ去った結末は、若きストライカーにとってプロレスの奥深さと恐ろしさを骨の髄まで味わう経験となったに違いない。

バックステージに現れた後藤は、肉体のダメージを感じさせない充実した表情で、この電撃決着がもたらした熱狂について語った。

「最後の丸め込み決着、あいつがどう思ってるか、それはわからないけどね、俺は最高にハイを感じたよ」

力と力のぶつかり合いだけがプロレスではない。相手の猛攻を耐え抜き、一瞬の閃きと技術で勝利をかすめ取る。それもまたプロレスの醍醐味である。

「見てるお客様がどう感じたか。それはいまの俺にはわからないけど、今日この結果、今日のお客様の歓声が、これもプロレスハイのうち。俺はそう思う」

Iceが提唱してきた「プロレスハイ」という概念に対し、後藤は満員の観衆がどよめく一瞬の熱波をもって、ベテランなりの解答を提示してみせたのだ。

一方、勝ち越しを逃したIceは、自身の敗北を素直に受け止めるしかなかった。

「負けた。ああ、やっぱ、強えな、後藤。でもあいつ、プロレスハイを感じたんじゃないのか? こういうのがあるからよ、『G1』は面白え。オイ、9分9厘、俺が攻めてたろ、最後。やっぱ強えわ、後藤」

試合の主導権を握りながらも勝ち星を逃す。その理不尽さすらもG1の魅力であると語るIce。

そして、タッグ戦線での活躍が目立っていた自身の立ち位置を振り返り、シングルプレイヤーとしてのブランド確立に対する手応えと悔しさを入り交じらせて吐露した。

「この『G1』を経てよ、よく言われてただろ、『Yuto-Iceはタッグ屋だ』とかよ。現にどうや? 俺のブランドは上がったか、この『G1』で? でもよ、負け越しだ。この初『G1』負け越しってのをよ、カネにかけて、また来年、『G1』に帰ってくるわ」

屈辱をバネに、さらなる飛躍を誓う若武者。

その視線はすでに次なる戦いへと向けられている。

「さあ次は、何しようかな、オイ? 俺はよ、常にだ、カネになること、強いヤツとやれることを考えとるからな、オイ。ただよ、試合中だけは、お前らはよ、この俺も含めてだ、何も考えなくていい。ただ感じろ。Let’s get high! チッチッ! Big up!」

後藤洋央紀の老獪なテクニックと、Yuto-Iceの止まらない野心。

勝敗の枠を超え、二人がリング上で共有した熱狂は、浜松の夜に確かな爪痕を残した。

<写真提供:新日本プロレス>

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