【新日本】道化師の狂気か、王者の矜持か!辻陽太が『G1』でジェイク・リーの不気味な挑発を真っ向粉砕「あとは結果を待つだけだ」
新日本プロレスは8月12日(水)、静岡・アクトシティ浜松にて真夏の最強戦士決定戦『G1 CLIMAX 36』第16戦を開催した。
Aブロックの最終公式戦として組まれた第7試合では、IWGPヘビー級王者の辻陽太(5勝3敗)と、ジェイク・リー(3勝5敗)が激突した。
両者は本年2月の大阪大会において、IWGPヘビー級王座を懸けて激闘を繰り広げ、その際は辻が必殺のジーンブラスターで防衛を果たしている。
ジェイクにとっては王座戦の雪辱を期す一戦であり、すでに予選敗退が決まっているとはいえ、王者の足をすくうには十分すぎる不気味さを漂わせていた。
一方の辻にとっては、自力での決勝トーナメント進出が他力本願となっている状況下で、絶対に落とすことのできない大一番であった。

試合は、プロレスの枠組みを超えた「狂気」が伝染する異常な空間となった。
フェイスペイントを施したジェイクは、客席から王者の入場を見つめるという不気味な立ち上がりを見せる。
リングイン後も、ジェイクの奇行はエスカレートした。

辻の猛攻をしのぐと、なんとリング下からペンを取り出し、場外で身動きの取れない辻の口元へ直接ペインティングを施すという暴挙に出たのだ。
「笑顔を作ってやったんだよ!」
自身の狂気の世界へ王者を引きずり込もうとするジェイクの挑発。

しかし、新時代の頂点に立つ辻の器は、その狂気すらも飲み込んでみせた。
顔面にペイントを施されたままの辻は、怒り狂うのではなく、不敵な笑みを浮かべてジェイクを睨みつける。

背後に回ったジェイクを股下から覗き込むという奇行で応戦すると、両者の間には常人には理解し得ない危険な共鳴が生まれた。
試合終盤、互いに狂ったような笑い声を上げながらエルボーを打ち合う異常な光景に、浜松の観衆は息を呑んだ。
ジェイクが掟破りのカーブ・ストンプやチョークスラム、さらにはD4Cで王者を絶体絶命の淵まで追い詰める。

しかし、辻はカウンターのジーンブラスターで窮地を脱すると、最後はジェイクの必殺技であるFBSを間一髪でかわし、死角からのファイヤーブラスターを完璧に炸裂。
頭部をコーナーに打ちつけたジェイクから執念の3カウントを奪い取り、Aブロック突破への望みを繋ぐ貴重な勝ち点10をもぎ取った。

激闘を終え、バックステージに姿を現した辻の顔には、激しい消耗と、大仕事をやり遂げた安堵が入り交じっていた。
IWGPヘビー級王者として『G1』に臨むという想像を絶する重圧。
そして、狂気をまとったジェイクとの極限の削り合い。それらすべてを乗り越えた若き王者は、多くを語ろうとはしなかった。
「やれるだけのことはやったな。あとは結果を待つだけだ」
激しい口調で自分を誇示するわけでもなく、ただ静かに天命を待つ
。その潔い言葉の裏には、リーグ戦全戦を通じて死力を尽くしてきたという、王者としての揺るぎない自負が込められていた。
自らの戦いは終わった。あとは、他の公式戦の結果次第で自らの運命が決まる。
そのヒリヒリとした状況すらも受け入れる覚悟が、短い言葉に凝縮されていた。
一方、辻を狂気の淵まで追い詰めながらも敗北を喫したジェイクは、インタビュースペースを素通りし、ノーコメントのまま闇の中へ姿を消した。
不気味な道化師の仮面の下で何を思っていたのか。
王者の前に屈したのか、それとも別の目的を果たして満足したのか。
その真意は謎に包まれたままである。
IWGP王者の矜持と、道化師の狂気が真っ向から衝突した浜松の夜。
辻陽太が示したのは、いかなる異質な世界観をも真っ向から受け止め、最後にねじ伏せるという、王者としての器の大きさであった。
<写真提供:新日本プロレス>
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