【新日本】あと一歩で栄冠逃す…上村優也が『G1』の頂を前に味わった絶望と這い上がる覚悟「俺が這い上がっていく姿を見せていく」
新日本プロレスの真夏の祭典『G1 CLIMAX 36』は8月16日(日)、東京・両国国技館にて最終戦を迎えた。
新時代の幕開けを告げるフレッシュな顔合わせとなった優勝決定戦。超満員の歓声に包まれたリングの中心で、歓喜の咆哮を上げる大岩陵平の足元には、力尽き、天を仰ぐ上村優也の姿があった。
今大会の上村の快進撃は目覚ましいものがあった。過酷なBブロックを2位で通過すると、前日の準決勝では同期であり現IWGPヘビー級王者の辻陽太から劇的な勝利を収めた。
悲願の初優勝、そして新日本プロレスの頂点へ手をかける寸前まで迫っていたのである。
対する大岩は、予選を勝ち抜いてAブロックにエントリーし、準決勝でカラム・ニューマンを撃破して勝ち上がってきた新星である。
デビューから5年に満たない若武者の勢いが、最後の最後に上村の前に高くそびえ立った。

試合は、互いの意地が正面から衝突するクラシカルなレスリングの攻防で幕を開けた。

上村は序盤から執拗なヘッドロックで主導権を握りにかかるが、大岩もパワーで対抗する。

中盤以降、上村は大岩の左腕に狙いを定め、アームドラッグからリストロック、キーロックと理詰めの関節地獄で相手の機動力を削いでいく。

大岩がドクターボムや天山スープレックスといった大技で反撃を試みても、上村は的確に腕への攻撃を返し、ライオンズシャイナーや伝家の宝刀カンヌキスープレックスで極限まで追い詰めた。

しかし、大岩の執念とタフネスは上村の想像を超えていた。
終盤、上村が腕ひしぎ逆十字固めやリストロックでギブアップを迫るも、大岩はショートレンジラリアットの強振で強引に脱出。

一瞬の隙を突いてTHE GRIPを炸裂させると、そのまま全体重を乗せた絞め技(ビッグロック)で上村の頭部と頸部を締め上げる。
脱出を試みて体勢を反転させた上村であったが、大岩のロックは外れない。

グラウンドへ引きずり込まれ、渾身の力で絞め上げられた上村は、ついに無念のタップアウト。
大岩が史上最短キャリアでの初優勝という大記録を打ち立てる代償として、上村はあと一歩のところで栄冠を逃す残酷な結末を迎えた。

試合後、バックステージのインタビュースペース。

タイチとエル・デスペラードに両肩を担がれて姿を現した上村は、満身創痍の状態で床にうつ伏せに倒れ込んだ。

やがて仰向けになり、しばらく頭を抱えていた上村は、ゆっくりと身体を起こし、インタビューバックに寄りかかって座り込んだ。
絞り出すように発した第一声には、隠しきれない絶望と自責の念が滲んでいた。

「はぁ……またやっちまった……。これが現実だと受け止めたくないけど、大岩、アイツの勢いと実力、これは本物だ! プロレスラーになって……プロレスラーになる前も、ずっとずっと、悔しい思い、もう数え切れないぐらいしてきた」
大一番での敗北。勝者を素直に認める潔さの裏には、これまでのプロレス人生で味わってきた幾多の挫折の記憶がフラッシュバックしていた。
上村は突然、崩れるように四つん這いになった。うつむきながら、自らに言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「まだまだ、まだまだなのか……。悔しい思い、たくさんしてきてるけど、この世の中には、俺よりももっと悔しい思い、ツラい思いしてきてる人、たくさんいるでしょう。そんな人に、俺が這い上がっていく姿、見せていくしかない!」
自らの悔しさを、同じように苦境に立たされている人々の希望へと昇華させる。
それこそが、プロレスラー・上村優也の存在意義であると再確認した瞬間であった。

そして上村は、ふらつく足取りながらも力強く立ち上がった。
その瞳には、敗北の涙ではなく、未来へ向けた闘志が宿っていた。

「何度だって昇ってやる! 俺は必ずまた、この『G1 CLIMAX』の決勝に上がってくる! オウ!」
頂点には届かなかった。
しかし、この真夏のリーグ戦で確かな足跡を残し、絶対王者をも破る実力を証明した事実は揺るがない。
敗北のどん底で這い上がる覚悟を決めた若武者は、この悔しさを糧にして、必ずや新日本プロレスのド真ん中へと帰ってくるはずだ。
<写真提供:新日本プロレス>
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