「最高」宮原健斗から三冠ベルトを奪い「最高のイケメン」安齊勇馬となるか 「王道」の命運を左右する8・29東京・大田大会を占う

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

「最高」か「イケメン」か。プロレスの神様はどちらにほほ笑むのか。三冠王者・宮原健斗と安齊勇馬のともに負けられない三冠戦(8月29日、東京・EBARA WAVE アリーナおおた 大田区総合体育館)が迫っている。

連日のように、前哨戦で火花を散らす2人は、8・23福岡・久留米市の地場産くるめ大会で、8人タッグ戦で激突。安齊が宮原の目の前で羆嵐をガムシャラ(ランニングニーアタック)で仕留めている。すでに待ったなしの2人の攻防は、いよいよ激化する一方だ。

王者・宮原はすでに三冠ヘビー級王座・最多通産防衛回数36を保持しているが、最多連続防衛回では第62代王者の時に川田利明と10で並んでいる。現・第76代王者としてV8を達成。安齊を退けてV9そしてV10、V11と新記録を目指している。戴冠回数も7で諏訪魔の8に次いでいる。

いわば「ミスター三冠王者」であり、すなわち全日本プロレスの顔といえるのが宮原である。実際「最高」をアピールする勇姿への声援は大きく、じっくりと時間をかけた入場は大盛り上がり。勝利後のマイクも沸き、会場人気も選手会長に相応しい。

 

ところが、ここにきて「イケメン」安齊が宮原の地位を揺るがしている。今年5月の恋愛リアリティ番組「バチェロレッテ・ジャパン」出演を機に「イケメン」にスポットライトが集まった。

それまでも「プロレス界一のイケメン」と評判を呼んでいたが、一気に世間に浸透。それまでプロレスには興味がなかったであろう女性を中心に、新たなファンを呼び込んだ。

確かに入門当時から目立つ容貌だった。デビューして間もない頃、取材を兼ねて食事に出かけた。アーケード商店街を歩いていると学生や主婦、果ては老婦人まで幅広い年代の女性たちが振り返り「格好いい」「ハンサム」などの褒め言葉が聞こえた。

今やイケメンに拍車がかかり、明らかに安齊を応援する支持層によって、後楽園ホール、新木場ファーストリングなど都内の会場を始めとして観客数が増加。安齊の一挙手一投足に黄色い声援が飛び交っている。

さすがに宮原も安齊効果を認めざるを得ないが、人気はともかく実力ではまだまだ負けられないところ。安齊の顔を踏みつけるなど「イケメン」潰しに集中している。

ただ、安齊はすでに一度、2024年に三冠ベルトを腰に巻いている。デビュー2年、24歳10か月で第72代王座を獲得。

最年少戴冠記録を塗り替えている。実はそれまでの最年少記録は宮原の26歳11か月だった。

この時は5回の防衛を果たし約半年、王座を守ったが、正直、まだまだ人気先行と言わざるを得なかった。ベルト姿が似合う前に陥落してしまった感がある。

あれから2年、安齊はアジアタッグ王座こそ保持したが、雌伏の時を過ごしている。全日本の一角を占めてはいても、先頭集団の中にいたとは言い難かった。

ところが、リング外での人気が爆発すると「地位が人を作る」というが、その顔に自信がみなぎり、全身からオーラを発せられるようになったのだ。

もともと、一度は三冠王者に就いた男である。2年の月日の間に着々と地力をつけていた。体幹がしっかりし、得意のガムシャラを放っても、自らの態勢が不安定になることはなくなっている。

何より、会場の声援が後押ししてくれる。もちろんここ数年の全日本プロレスをけん引してきた「最高男」宮原のサポーターも多いが、安齊の「イケメン・フィーバー」には勢いがある。

写真集を出版し、番組やイベント出演で人気を築き上げており、映画やドラマなどのオファーも殺到している。残るはリング上で結果を出すこと。ずばり三冠王座に返り咲き、名実ともに全日本の頂点に君臨するしかない。

新日本プロレスでは大岩陵平がG1 CLIMAXを制し、IWGPヘビー級王者・辻陽太とともに新時代到来を確定させた。ノアでは新日本OBの内藤哲也がGHCヘビー級王者を獲得して、様々なウネリが巻き起こり、風雲急を告げている。

満員マークを連発して活気づく全日本。8・29大田決戦も安齊人気で満員になるのか。そして「王道」を担うのは宮原か、それとも「最高のイケメン」安齊なのか。最高かイケメン貴公子か。どう転んでも熱闘間違いなしだ。

<写真提供:全日本プロレス>

Pages 1 2

◆プロレスTODAY(LINEで友達追加)
友だち追加