王者・辻陽太の「覚悟」か、挑戦者・後藤洋央紀の「革命魂」か!? IWGPヘビー級戦は時代を背負った者同士の激突! スケールアップしたベストバウト間違いなし

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

IWGPヘビー級王者・辻陽太と挑戦者・後藤洋央紀のタイトルマッチ(9月27日、兵庫・神戸ワールド記念ホール大会)に期待が高まっている。

連日のリング上での直接対決は元より「論戦」が激化の一途。双方の主張がバチバチと熱い火花を散らしている。

互いを認めないわけではない。理解し合えるところもあるのだが、どうにも相いれない点も多い。新日本プロレスのさらなる充実を王者として実現していくための方法論が違う。それぞれの描く理想の王者像を巡るバトルと言っていい。

辻は新時代いや現世代の王者すなわちリーダーとして、言うべきことはズバリと指摘する。かつてのオーナーにもハッキリと「こうしてほしい」とマイクで公言して見せた。

試合会場でのアピールに、前オーナーも黙っていられなかった。控室の辻の元に駆け付け、激しく迫ったという。「口ゲンカになってしまった。いや、お互いに考えをぶつけ合った」と辻は振り返っている。

しばらくして、新たなオーナー企業が新日本プロレスのサポートをすることになった。辻は「これで、胸を張って時代を変えた男になれた」とニヤリ。冗談めかしてはいたが、常に正面突破でストレートにその想いを伝える辻の決起が、少なからず影響したのは間違いない。前オーナーも「辻提言」への複雑な感情を吐露している。

リング上のことだけではなく、団体の方向性にも自分の考えをしっかりと持っている。それを自身の言葉できちんと伝える努力を惜しまない。賛否両論あるにせよ、辻は若くして「動くリーダー」である。

かたや後藤はベテラン。全盛期の棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカ、内藤哲也らと激闘を繰り広げてきた。いまや棚橋は引退して社長になり、中邑、オカダは海外の団体に羽ばたき、内藤は国内の他団体に主戦場を移している。

新日本一筋の後藤にしてみれば「辻の言うこともわかるが、俺はずっとやって来たんだ」と言いたいところだろう。実際、後藤の新日本への長年の貢献度は特筆される。

辻も認めるように後藤のオリジナル技の豊富さは図抜けている。GTR、リバースGTR、GTR改、昇天、昇天・改、ゴトウ・スペシャル1、2、3、村正、牛殺し、地獄車、昇龍結界、野武士固め、後藤式、回天…まさに枚挙にいとまがない。

「G1のGは後藤のG」をもとにした「OOのGは後藤のG」も様々なバージョンを生み出している。「IWGPのGは後藤のG」と胸を張る。

「後藤革命」をぶちあげたのも、新日本のリングをより熱くしたいという想いからだということがヒシヒシと伝わって来る。ただ「後藤革命」の目的はともかく、その道筋が今一つ掴みづらく、誰もが明確に答えられないのも事実である。

何かとはっきりと物申す「令和」新時代の旗手・辻と、良い意味でプロレス的な言葉を多用する「平成」からのベテラン・後藤では、平行線が続くのかも知れない。

いずれにせよ、論戦はもちろんファイトでのぶつかり合いも激しくなっている。9・27決戦までにまた新たな火種が生まれてしまうのではないか。

最後の前哨戦となった9・23北海道・北ガスアリーナ札幌46大会では、辻がロビー・エックスを、後藤はマスター・ワトとのコンビで激突。エックスがワトを仕留め辻がベルトを高々と掲げた。

辻は「異議をありがとう。俺にとっては嬉しいこと。ただ、俺は俺の道を進む。どっちが正しいか、リングで見せてやる。それがプロレスだろ」とキッパリ。

後藤は「たくさんの元気と勇気をここ北海道でももらった。あとは勝つだけ。後藤革命を簡単に終わらせられると思うなよ」と目をむいた。

9・27神戸決戦で、辻はビッグマッチ仕様のショートタイツ姿を披露してくれるはず。後藤は出演したハリウッド映画「ストリートファイター」の全世界同時公開が10月16日に迫っている。

2024年のプロレス大賞「ベストバウト」に輝いた二人の一戦が、さらにスケールアップして戻って来る。

さまざまな要素を含んだ今回の決戦。「ニヤリ」の辻と「Gの」後藤。覚悟か革命魂か。激しいぶつかり合いになるのは間違いない。

<写真提供:新日本プロレス>

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