「五輪金メダリスト」ウルフアロンと「生え抜き」藤田晃生の激突は永遠のテーマ 他競技からのエリートへのプロレス一筋の意地
NEVER「無差別級」のベルトが似合うのは、現王者「五輪金メダリスト」ウルフアロンなのか、それとも「反逆のジュニア志士」藤田晃生なのか。
二人が真っ向からぶつかる新日本プロレス10・12東京・両国国技館大会のタイトルマッチが待ちきれない。

ウルフは2020東京五輪の柔道100キロ級で金メダルに輝いた男。他のスポーツで頂点を極めた日本の猛者が、これまでにも何人もプロレスラーに転身しているが、プロレスではなかなかナンバー1にはなれない。
柔道日本一の坂口征二は日本プロレス、新日本で大活躍したが、馬場・猪木と並び立つことはできなかった。
大相撲の横綱では、日本プロレスの東富士は力道山を支える立場から抜け出せなかった。全日本プロレス入りした輪島は人気を集めたが、話題先行に終わった。北尾もそれなりに暴れたものの、プロレスでは横綱にはなれなかった。
いったん、頂点に昇り詰めてしまうと「王者のプライド」もある。再び一から出直すのはそうたやすいことではないだろう。

「他分野の超大物はプロレスではいまひとつ」というジンクスが出来上がってしまっていた。それをぶち壊してくれそうなのがウルフだ。
デビュー戦の1・4東京ドーム大会でいきなりNEVER無差別級王座を獲得。いったんは手放したものの、再び奪取。いまやベルト姿も様になりつつある。

レスラーとしてもナンバー1になれそうな逸材であることは間違いないが、真っ向からいちゃもんをつけたのが藤田である。
ジュニアヘビー級の体格だからこその決起なのだろう。ヤングライオンから這い上がり、IWGPジュニアタッグ王座を三度戴冠。2025年のベスト・オブ・ザ・スーパー・ジュニアを制覇している。

常にヘビー級戦士とのバトルも意識してきた。ジュニアだからといってヘビーに負けたくない。それこそプロレスこそ無差別級の闘いがある。
ウルフが最高のアスリートであり、五輪の柔道を制することの大変さ、凄さはわかっている。認めるが故に、ウルフの現状が歯がゆく見えてしまう。

今年デビューしたばかりの新人とは思えない成長ぶりのウルフだが、その体のぽっちゃり感が否めない。絞り込み筋骨隆々の現在のレスラーの体型とは一線を画している。昭和の中堅レスラーを思い出すオールドファンも多いだろう。
少年時代からプロレスファンだった藤田にしてみれば「違うだろ」なのではないか。スケール感はあるが、藤田少年が熱狂したファイトスタイルではない。

藤田は柴田勝頼や石井智弘の様なゴツゴツガツガツ正面からぶつかり合うスタイルこそNEVER王者に相応しいという。
本隊で大切に育てていくのも良い。ただ、一番大切な「闘いの魂」は教えてもらうモノではない。汗と時には血を流し、這いつくばってマットのシミをなめてこそ、身についていく。

ファンも期待すればこそ、ウルフに対する厳しい声も聞かれるようになった。ウルフ本人は面白くないだろうが、全ては期待の裏返し。期待されなければファンの口にものぼらない。
藤田はウルフといい試合をするつもりはない。NEVER王座史を飾ってきた先輩レスラーたちに恥ずかしくない熱い激闘を繰り広げ、ウルフをリングに沈めるのだ。

連日の前哨戦でウルフの目つきも変わって来た。激しく攻め込んでくる藤田に触発されている。それこそ金メダリストの意地もメンツもある。
9・27兵庫・神戸ワールド記念ホール大会を、右膝負傷のため欠場した藤田だが、幸いなことに10・12両国決戦まで時間はある。ウルフへの意地で間に合わせるはず。それどころか、手負いの獅子ほど怖いものはない。

ウルフは「ケガは仕方ない。でも両国は100%で来い。俺は120%でテメーを叩き潰してやる」と豪語した。
ウルフか藤田か。NEVER無差別級ベルトが似合うのはどちらか。刺激的な試合になるのは間違いない。ワクワクが止まらない。(敬称略)
<写真提供:新日本プロレス>
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