【編集長コラム】「”レインメーカー”オカダ・カズチカに続け!」

秋山準、永田裕志の「アラフィフ・コンビ」がアジアタッグ王座を獲得した。秋山は全日本プロレスの社長レスラー、永田は第三世代を代表し新日本プロレスに限らず日本プロレス界の若手世代の前に「高くて厚い壁」として立ちふさがっている。

「プロレスはキャリアが大切」とはいえ、勢いに乗った若手世代の選手を退けるのは容易ではない。コンディションを調整するのは、厳しい自己規制が求められる。「回復するのに時間がかかるようになった」とは、ベテランと言われるようになった選手が口を揃える言葉だ。

それでも、シリーズに参戦し連戦をこなし、闘いながら体を直していく。プロレスラーには本当に頭が下がる。「本気」でやらなければ 、大ケガどころか命も奪われかねない。

思えば、どんなトップ選手も、簡単に頂点にたどり着いたワケではない。前世代のエースたちに何度もはね返されている。マットのシミをなめ、会場の天井を涙目で見上げて、やっと栄光に王手をかけたのだ。

何とか王座を手にしたとしても、そこからがまた大変だ。ベルトは奪うよりも守ることの方が、はるかに難しい。

「金の雨を降らせる」のが、メインイベンターすなわち王者の使命であり責務。ファンの足を会場に運ばせなければ、チャンピオンとはいえない。

若くして、一直線に時代を築き上げたのは、オカダ・カズチカ一人と言ってもいいだろう。時の王者・棚橋弘至から初めてIWGP王座を奪ったのは、新日プロ入門4年目だった。ただ、オカダは新日プロ入門前に闘龍門でデビューしており海外遠征も経験していた。他の選手と同一視は出来ないかもしれない。

かつては鳴り物入りのエリート選手以外は、インタビューもされず、黙々と雑用をこなし、中堅のポジションを経て、やっとタイトル戦線に絡めた。出世の階段を一歩一歩、着実に上るしかなかったのだ。

今では各団体で若手選手がチャンスをつかみ取ることが増えたが、一気の天下取りはまだまだ夢物語に終わる場合が多い。

ノアの超新星・清宮海斗もGHC王座取りに失敗後、トップ選手との連戦に臨んだものの、連敗している。「オカダの再来」を期待したファンは、 さぞや悔しい思いをしていることだろう。

無論、簡単に昇れる山では仕方ない。逆に、若手選手が困難にぶちのめされながらも、這い上がり、成長して行く姿を追いかける喜びは「プロレスの醍醐味」のひとつだろう。

清宮は「今年中にベルトを巻く」と、自らタイムリミットを定め、トップ取りの道を再び歩み始めた。

「ファイト一発! 海斗(カイト)一発!」

清宮始め、各団体の期待の星たちの奮起を期待したい。

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