【編集長インタビュー】「女王」紫雷イオが「恋人はプロレス」と明言
「女王」紫雷イオが「白いベルト」ワンダー・オブ・スターダム王座V11戦(23日、東京・後楽園ホール)を前に、挑戦者・渡辺桃に「強くなっていることは認めるけど、高い壁であり続ける」と通告。ライバルは「男子であり世界」と、次元の違うバトルに挑むことを表明した。
――ワンダー王座V11は通過点ですね
イオ 桃が私に挑戦する覚悟があることは認めますが、どんなに期待感があっても、時代はそうは簡単にかわらないことを、桃とお客さんたちにわかってもらいます。
――現在はトニー・ストームが保持している「赤いベルト」ワールド・オブ・スターダム王座も第7代王者として14回の防衛を果たしています。プロレス大賞「女子プロレス大賞」も3年連続受賞しています。「逸女」は「女王」でもあります
イオ そんな事はないですよ。素晴らしい選手が次々と出て来ていますし、まだまだ頑張らないと。
――ライバルは「男子」プロレスであり、「世界」マット界ですね
イオ 記憶に残る選手でありたいし、記録も気になります。
――最近の男子プロレスでは、王座の防衛回数も二けたをマークする事が少なくなりました。かつて馬場さんがPWF王座を38回、防衛するという大記録を残しています。目指してください
イオ ハハ、ひと月に一回やっても、3年以上かかりますね。狙っていきたいですが、なかなか難しいかも。防衛記録はともかく「男女を越えた存在」になれれば、嬉しいです。とにかく「世間」にアピールしていきたい。
―― 「世間」にプロレスを知ってもらいたいといえば「逸材」棚橋弘至。「逸女」の由来である「逸材」棚橋が厳しい状況にあります。何かありませんか?
イオ 私なんかが、おこがましいですが、棚橋さんと並ぶ人なんていません。棚橋さんは唯一無二であり、私にとっては「神」そのもの。「こういう時、棚橋さんだったら、どうするのかな?」と、考えることが多いんです。ファンへの接し方、取材への対応、私服はどうする? など、迷う時に棚橋さんをお手本にさせてもらっています。棚橋さんのことですから、どんな場でもどんな局面でも、光り輝く方法を編み出すハズです。心配なんて必要ありませんよ。
――対「世界」といえば、WWEで活躍する中邑真輔はいかがですか?
イオ 素晴らしいです。独特の世界を見事に作りあげた。気になる存在です。でも、私が目指すスタイルとは違うというか、どちらかというと、中邑さんの日米を通した好敵手AJスタイルズさんが、私のタイプかと。
――WWEで活躍するASUKA(KANA)やカイリ・セイン(宝城カイリ)を、どう見ていますか?
イオ 良い刺激をもらっています。二人とも自分の近くにいて、真横からみていました。身近な存在でした。その二人が世界の舞台で暴れている。WWEは私にとっても夢の舞台。WWE流のアピールの仕方、特に女子選手のやり方は参考になります。スターダムの試合が「stardom-world」で海外にも動画発進され、日本に外国人のファンの人たちを、ちらほら見かけるようになって、いよいよ「世界」を意識しないといけないですよね。
――世界のプロレスファンの視線が「スターダム」に集まって来ているようですね
イオ 世界を視野に入れ、男子の良い所も取り入れて行きたいです。ただ「女子っぽい試合」「ザ・女子プロ」には、こだわっていきたいと考えています。根本は揺るぎません。その上でライバルは「男子プロレス」であり「WWE」です。VS世間、VS世界を常に頭に置いています。
――その意味でも、コスチュームも大切にしていますね。多彩なコスチュームを楽しみにしているファンが多いです
イオ 新しい選手がどんどん登場し、新陳代謝が男子よりも激しい女子だからこそ、マンネリを避け、常に「新鮮でありたい」と思っています。コスチュームも早め、早めに切り替えています。一ヶ月半か二か月ごとかな。一回で着なくなったモノもあるし、タイトルマッチには新しいコスチュームで登場するようにしています。
――色など、こだわりは何かありますか
イオ 好きな色は赤とか紫。上半身、下半身、できるだけ小さい布地で覆うようにしています。私のアイデアを基に女性デザイナーにお願いしていますが「攻めています」よ。ポロリは、企業努力でしないように、工夫しています。現在は30~40着を常備しています。お金はかかるけど、それこそ必要経費。この部分で惜しむ気はないですね。
――攻めのコスチュームがより一層、映える肉体、そしてベストコンデションを維持する秘訣は何でしょう?
イオ これまで、夏になると欠場することが多かったのですが、今年は大丈夫です。チャンピオンは孤独なモノ。かつては、我慢し耐えることも多かったです。ひと様に迷惑をかけたかも知れません。正直、さまざまなことから逃げてしまったこともありました。そんな時に、手を差し伸べてくれる人がいるんです。今では吹っ切れました。迷うことはないですね。やりたいことをやり、人生を、プロレスを楽しんでいます。おのずと、コンデションも整います。
――気になる選手はいますか?
イオ 新日本プロレスのSHOとYOU選手。キャリアは私の方がありますが、年が近くて、ヤングライオンのころから、注目していました。海外修行から凱旋して、競争の激しい新日本プロレスで頑張っている。チェックさせてもらっています。
――そもそも、プロレスラーに、なったのは?
イオ 器械体操をやっていたのですが、始めたのが小6と遅かったんです。言い訳にできないですが、練習でできる事が本番ではできなかった。人の視線が嫌いだったんです。体操から離れ、プロレスに出会って16歳でデビュー。当初は、やはり人の目が気になったけど、今では天職だと思っています。
――電流爆破マッチも経験しました
イオ 私のマインドにはなかった試合なんですが、私もやれることを証明したかった。結果、やはり電流爆破は「必要ない」という結論です。他の方が、好きでやることは、それは認めます。いろんな試合形式があることは、良いことです。ただ、私は自分の技術以外「凶器はいらない」という結論がでました。
――オフは何をしていますか?
イオ ネイルアートを楽しんでいます。猫も好きです。趣味はありません。
――プロレスが恋人ですか?
イオ 将来はお嫁さんになりたいですが、今は恋人はサンタクロースどころか、プロレスですね。
――「生涯現役」?
イオ 20周年を迎えられるか、どうか? 2007年デビューですから、11年。あと9年ですね。28歳になりましたが、37歳ごろまで、できるかな? プロレスを超える大切なモノが見つかるか、どうかですね。
女子プロレス界の頂点に立ち続ける「女王」紫雷イオ。「大看板」としての自負にあふれる言葉には説得力がある。VS男子、VS世界を相手にしたファイトで「女子プロレス」の認知度アップを誓っている。