政岡泰志の【ホゲーッ!昭和プロレス愛宣言】第3回

「お前はタコになってんのか!」昭和の頃、先輩レスラーが後輩レスラーに理不尽に殴りかかった時の台詞だそうです。何という面白い言い方でしょうか。自分は役者をやってますが、なかなかこんな面白い台詞には出会えない。「お前はタコになっているのか!」真似すると思う。半分疑問が入っているところが良い。そもそもプロレスは名言の宝庫です。

長州力の「俺はお前の噛ませ犬じゃない」(本人が試合では言ってないらしいけど)、ラッシャー木村の「こんばんわ」。橋本真也の「時は来た」。どれも心に響く。あ、三沢光晴の「お前達の好きにはさせねえよ絶対」を今思い出した。ゼロワンの旗揚げ戦だ。2001年の三月だ。マイクアピールしない三沢選手の滅多にないマイクアピールだから逆に趣きがあったなあ。そして、「お前はタコになっているのか!」意味は分からない、ただ気持ちは分かる、何故か。プライベート?な発言とはいえプロレスらしい。

自分も一人で台詞ぽく言ってみたけど、かなりのテンションが必要だと判明しました!何故か面白いレスラー言語。言葉を扱う商売ではないはずなのに。いや、案外大事なのかもしれない。優れたプロレスラーというのは言語感覚も鋭いのかもしれません。もちろん己の体一つで相手とそして観客と戦っているわけだけど、楽しませたり興奮を煽る要素も必要なわけで、やはりそれには優れた言語感覚が備わっていなければならないのかもしれない。

ディック・マードックのブレーンバスターなんて見てると言葉として頭に伝わってきてたもんなあ。実際マードックは声に出してもいたけど。ブレーンバスター!もちろん、実際の語彙とかは小説家とか評論家とかのようにはいかない。だけど、そんな文章のプロが思いもつかない台詞が、時としてプロレスラーには吐ける。心に、響く。そりゃあんたプロレス好き過ぎだからだよと言われるかもしれませんが、全くその通りなんですが、最近、こんな剥き出しの言葉を聞いてない気もするのです。匿名の不平不満ばかりだ。

そこに、「お前はタコになってんのか!」。人と人とのふれあいだ。理不尽になぐりかかってはいけないけれど。真似するだろうなあ自分。お芝居の稽古場で、飲み屋で、路上で、熱くなったフリをして!フリ?いや、フリしなくっていい!熱くていい。昭和生まれなんだ、堂々と「お前はタコになってんのか!」とさけびます。誰にかは未定。

※写真は、政岡出演映画「素敵なダイナマイトスキャンダル」より。

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