【編集長コラム】「『永遠のサムライ』船木誠勝 33年の思い」

「甦ったサムライ デビュー33周年記念大会」(9月30日、エディオンアリーナ大阪 第二競技場=試合開始・12時30分)で、初の自身記念大会に出陣する船木誠勝が「今の自分に何ができるか?」と、チャレンジ魂をみなぎらせている。

決して、華ばかりの33年ではなかった。

1984年4月の新日本プロレス入門。一時期、船木は当時の東北地区担当の有力プロモーターに身柄を預けられている。あまりの逸材ぶりに「他の団体や格闘技からの手が伸びないようにするためだった」といわれている。

翌1985年3月、デビュー。15歳11か月での初陣は当時の日本マット界最年少記録だった。

将来性抜群の船木とあって、4年目にはUWFにスカウトされるなど、常に話題の中心にいた。その後、藤原組からパンクラスと「若きエース」として人気を集めた。

パンクラスの代名詞となった「秒殺」という言葉は、当時を知る者の心に、甘酸っぱい波紋を今でも呼び起こす。

現在のマット界ではすっかり当たり前となった、鍛え抜かれた「ハイブリッドボディ」の先駆者も船木だった。

ヒクソン・グレイシーとの大一番では、敗れたものの、プロレスファンがいかに船木に期待していたか、改めて証明した。

潔く、いったんはプロレス界から身を引き俳優業などで活躍してが、2009年、全日本プロレスで復活。W-1、そしてフリー戦士となり、デスマッチも経験するなど、プロレスラーとしての幅を広げてきた。

3年前から、大阪に拠点を移している。ジムを開き、一方で「ユーチューバー」として、様々な発信もしている。「大阪の水が自分には合っていた」と、この3年ですっかり「大阪人」として生まれ変わっている。

多くの団体に所属した33年を振り返る船木は「今になって、その仕組みがわかる。今が一番、生きやすい。自分は一匹狼が似合っている」と、笑顔を浮かべる。

だからこそ、今が、自身初の記念大会を開催する時なのだ。

船木のレスラー人生を彩った選手が集結してくれた。船木自身は1日4試合に臨む。

真説タイガーマスクに変身し、スーパータイガーと組み、金本浩二、スーパー・ブラック・タイガー組と対戦。そしてメインイベントでは「デビュー33年記念試合」(33分3本勝負)で、AKIRA、佐野巧真、Xと11分1本勝負で立て続けに闘う。

「Xとは初対決。途中でボロボロになってしまうかも知れない。でも、それでもいい。今の自分がどれだけできるか? 自分で確かめたい。ひとつのケジメ」と、船木は真摯に現時点での自分と向き合おうとしている。

33周年はあくまで通過点。今回、オファーを出したものの、スケジュールなどが合わず、闘えなかった選手もいる。「彼らと対戦するためにも、40周年を目指す」という船木がどうなっていくのか? 

その答えを見つけるためにも、9・30大阪決戦は見逃せない。

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