【編集長コラム】「エビスコ」神谷の「魂のスピアー」
橋本大地とコンビ「大神」を組み、大日本プロレスのタッグ戦線で大暴れする神谷英慶。先の最侠タッグリーグ戦では、惜しくもV2を逃し、準優勝に終わったものの、そのパワフルなファイトは迫力満点だった。
かつては「線の細い紅顔の美少年」という印象だった神谷も、今では完璧なヘビー級体型を誇っている。
神谷はよく食べる。レスラーといえば、大食い、大酒飲みのエビスコ揃いだが、今一番食べるレスラーは神谷かも知れない。以前から「スケジュールが合えば、大食い選手権にも出たい! 体を大きくするために頑張って食べています」と繰り返している。まだまだ大きくなるかも知れない。
得意技のひとつがタックル。「タックル」を「スピアー」ということも増えたが、神谷の場合は「体当たり」あるいは「ぶちかまし」が、しっくりくる。現役時代、スピアーを十八番としていた新日本プロレスの井上亘氏と同席した時には、体当たりの先輩を眩しそうに見ていた。
井上氏も神谷に「あれはテクニック云々とかではなくて、気持ちでぶつかって行かないといけない技。とにかく思いっきりぶつかって。自分の全てを相手にぶつけるつもりで。それが一番大事」と、極意を伝授していた。
「はい! はい!」と一生懸命、井上氏のアドバイスを聞いていた神谷。その後、破壊力が増したのは言うまでもない。
「明日のことなんか考えていないのではないかと思うぐらいの、すさまじい体当たり」と、称される神谷の体当たりは、まさに「魂の体当たり」といえる。
決して今風の技ではない。昔ながらの伝統的な技。だけど、説得力のある技。今後とも「魂の体当たり」を大切にしてほしい。
(写真:伊藤ミチタカ氏)