【編集長コラム】「世界の荒鷲」坂口征二の初の評伝 誕生秘話!

「世界の荒鷲」坂口征二のすべてが書かれた評伝「最強のナンバー2 坂口征二」(イースト・プレス=2019年1月17日発売)が出版される。

ファンクラブ(FC)「荒鷲」会長・佐々木英俊さんが、坂口氏の全面的協力を得て完成させた力作で、坂口氏も「柔道、プロレス、すべての時代の自分が詰まっている」と、太鼓判を押している。

著者の佐々木さんは40年間、坂口氏を追い続けた筋金入りの「荒鷲ファン」で、実はプロレスを楽しむ「柴田会」のメンバー。知的かつ柔和な方で、お嬢さんは全国バイオリンコンクールで2位になるなど輝かしい実績を誇り、良きパパでもある。

プロレスのFC活動は、昭和50~60年代が全盛期だった。各団体、各選手にたくさんの私設FCがあり、手作りの垂れ幕による応援や会報作りも盛んに行われていた。

佐々木さんは「荒鷲」をよく知る、藤波辰巳(当時)FCのメンバー数人と、柴田会で偶然再会。共通の知り合いも多く、昔話に花が咲いていた。みなさん、当時に戻ったような無邪気な顔で懐かしそうに話しているのを見て、こちらも何だか嬉しくなった。

「プロレスは点が線になる」とよく言われるが、リング外でもまさにそうだ。

彼らの話を聞くと、試合に魅せられたのももちろんだが、子どもの頃、選手に優しく接してもらって感激し、いまだに応援している人が多い。佐々木さんもそうだ。ある選手にサインを求めたが、冷たく拒否されガッカリしていたところに、坂口氏が優しくフォローしてくれたという。

以来40年、変わらず応援し、本まで出版するとは、いかにその時の記憶が強烈だったかわかる。

現役選手の中でも、ファン時代、人気レスラーに冷たくされた記憶は残り「あれは悲しかった。対戦したらボッコボコにしますよ!」などという事例も聞く。

レスラーも人間だから、疲れている時や機嫌の悪い時など、ファンに優しく対応できない事もあるだろう。

だが、レスラーにとっては忘れてしまう些細なことであっても、ファンにとっては一生残る。例え、子どもであってもその後ろには親や祖父母、親戚、友だち・・・たくさんの人々がいる。

「プロレス楽しかったよ! 選手、優しかったよ!」と、喜んでもらうのと「プロレスに行って悲しい思いをした」とでは、天地の差だ。

佐々木さんの出版にあたり、名曲「なごり雪」を思い出した。「♪時が行けば幼い君も、大人になると気づかないまま♪」という一節だ。

ちびっこファンもいつか必ず大人になる。その時、まだプロレスが好きでいるかどうか。

佐々木さんは「一生応援できる坂口氏に出会えて、プロレスの魅力に、ますますハマった」とニッコリ。また、坂口氏もそんなファンに出会えてレスラー冥利に尽きると思う。

選手とファン、お互いの幸せがつまった素晴らしい本ができあがった。

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