【編集長コラム】「平成から新時代へ サバイバルレースはさらに激化」

2019年のプロレス界が動き始めた。

新日本プロレス1・4東京ドーム大会には4万人近い大観衆が詰めかけ、ここ最近の「プロレスブーム」が、すっかり定着したことを印象付けた。大歓声の中「エース」棚橋弘至が4年ぶりに IWGP ヘビー級戦を制し「1・4」の主役に輝いた。

棚橋は「オーバー40」。業界の盟主・新日本プロレスの頂点に、円熟期の男が返り咲いたことで、日本プロレス界の「アラフォー」世代が、勢いづくのは間違いない。

ただ、全日本プロレスでは、29歳の宮原健斗が3冠ヘビー級王者として君臨している。「今年を宮原健斗イヤーにしてやる」とぶち上げた。

「王道の顔」宮原の使命は、ずばり全日本プロレス&3冠ベルトに、新日本プロレス& IWGP ベルトと並び立っていたころの「栄光」を取り戻すことだ。

レスラーにとって「アラサー」時代は、まさに心身ともに充実するころ。大型選手が揃う全日マットでの宮原の「王道ファイト」には、期待が膨らむ。

とはいえ、決して平たんな道のりではあるまい。諏訪魔、野村直矢のベテラン、新世代の2人が挑戦の名乗りを上げた。ジェイク・リーも黙ってはいまい。3冠王者に休息の時はない。

ノアの GHC ヘビー王者は22歳の清宮海斗。昨年暮れ「アラフィフ」杉浦貴を下し、史上最年少 GHC 王者に躍進した。年頭の V 1戦も突破し「今年のノアの顔は俺」と胸を張る。コメントも堂々としており、肝が据わっている。

キャリア3年にして GHC王者とは、2012年の「オカダショック」以来の衝撃。24歳のオカダ・カズチカが新日本プロレスに「金の雨を降らせた」ように、清宮がノアマットに、ファンを呼んでくれるはず。

ズバリ全盛期の37歳、関本大介が大日本プロレスと ZERO1 のヘビー級王座を保持し、2冠王として団体の枠を飛び越えて大活躍している。

DDT では昨年12・30決戦で、23歳の竹下幸之介がノアの刺客・潮崎豪を退け「 D 王 GRAND PRIX 」で優勝した。

2019年の日本マット界は「オーバー40」「アラフォー」「アラサー」「20代前半」と、各世代の王者が躍動する「カオスの時代」として始まった。他の業界では、得てして世代交代の波は、一気に進むものだが、マット界では、寄せては引く波のようだ。各団体もそうだが、全体を見渡してみると、その傾向がよくわかる。

時代を味方につけた若さと勢いが勝るか、あるいはキャリアのスポーツと言われるプロレス経験値がそれを上回るか。世代闘争のせめぎ合いが、何ともエキサイティングで興味深い。

加えて、現代のプロレス界の「時計の針」は、とてつもなく早く進んでいく。「平成」が幕を閉じ「新時代」が始まる5月1日には、勢力図がどうなっているか、予測もつかない。

「平成最後」の G1、1・4のメインを制した棚橋が「平成最後の IWGP 王者」として日本マット史に、その名を残せるか「プロレスの神様」のみぞ知る。

今年はイノシシ年。誰がイノシシのように、日本マット界のど真ん中を猪突猛進するのか? 果たして最後まで走り抜けられるのか? まさにサバイバルウォー。一瞬たりとも目が離せないことだけは確かだ。

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