【全日本】2・24横浜文体ビッグマッチ 秋山準が“宮原健斗vs諏訪魔の頂上決戦”を読む!(秋山準社長インタビュー)「三冠戦の結果で今後の方向性が見えてくる」

――秋山選手は、現タッグ王者の関本選手と昨年の世界最強タッグ決定リーグ戦で組みましたよね。あのチームはリーグ戦の強力なアクセントになったと思うのですが。

「どうですかね。ボクが苦しんだだけ、みたいな(笑)。まあ、ただ出るだけじゃなくて、なにか残さないといけないと思ってるので、少しは何か残せたのかなと。ある程度の成績を収めたので、関本君も(世界タッグ王座挑戦に)“よし!”という気持ちにもなったと思うし、よかったかなと思いますけどね」

 

――秋山&関本組をまた見てみたいという声も多いかと思いますが。

「ボクの身体のダメージが大きいので(笑)」

 

――関本選手から言わせれば、「(相手をエクスプロイダーの体勢にとらえた)秋山さんが

(ジャーマンでオレごと)投げろって言うから投げただけです」となりますが(笑)。

「いやあ、確かに(苦笑)。だけど、もうちょっとフラットに投げろよって何回も言ったんですけどね、けっこういいブリッジしてたんで、ボクが真っ逆さまに落ちるという(苦笑)」

 

――関本選手は「手加減ができない」と。

「それが彼のよさでもありますけどね、まあまあ、また機会があれば(笑)」

 

――ぜひまた機会を作っていただきたいなと思います。とにかくエクスプロイダーとぶっこ抜きジャーマンの合体は絶大なインパクトがありました。

「ありがとうございます(笑)」

 

――最強タッグの秋山&関本組は後楽園でスタートしたのですが、最近の全日本プロレス後楽園大会の満足度の高さというのは業界屈指ではないかと思います。ヘビー級の迫力はもちろん、ジュニア勢が負けじと奮闘する姿。それらがうまく回転しているイメージがありますね。見たら絶対におもしろいと思わせる充実の大会が続いています。

「ありがとうございます。選手もよく頑張ってくれますし、ファンの方にもすごい喜んでいただいているのがわかるので。実際、ボクがメインに出てやってるわけではなので、完全なる充実度というよりも、(ほかの選手の試合を)見てという方の印象が強いですけど、でも、試合を見ててもみんな頑張ってやってくれてますし、いまの全日本は面白いんじゃないかと思います。さらにジェイク、野村、青柳とかが宮原に迫ってくれば、もっと面白くなるんじゃないかと思いますね」

 

――大会終了後、面白いな!すげえな!と感じながら後楽園ホールを出ていくファンがすごく多いと思うんですよね。

「SNSとかでもけっこうそういう書き込みしてくださってる方が多いので、裏切らないようにこれからもやっていかないといけないと思います」

 

――その面白さをさらに拡大していくために、次のビッグマッチ2・24横浜文体が重要になってくると思うのですが。

「そうですね。でも今年はそんなにビッグマッチをするつもりはないんですよ」

 

――というのは?

「昨年は後楽園でもちょっと波があったので、一回ちょっと抑えて、まずは後楽園でしっかりやっていける体制にしたいなと思って。無理してあまり大きい箱でやっていくよりも、ちょっと地固めをした方がいいのかなと思っています。後楽園の回数は多くなってますけども、それ以上のビッグマッチの回数はちょっと抑えて、後楽園を固めていった方がいいのかなと今は考えていますね。いままでは大きい箱を用意して、選手たちにもこういうところでやるんだという意識を持たせたりしましたけど、それよりも後楽園の空間でファンの方に確実に喜んでもらう方を多くした方がいまはいいのかなと思ったので、少し後楽園を多くしています」

――後楽園の内容は鉄板ですからね。

「今年はそこでしっかり地固めをしていきたいですね」

 

――ただ、ビッグマッチがなくなるわけではない。凝縮するということですか。

「そうなりますね」

――そのひとつが今回の2・24横浜文体。文体でなにを見てほしいですか。また、なにを見せたいですか。

「三冠戦がいまの全日本の頂上決戦ということもありますし、いまの全日本の最高のものを見せたいと思います。それにジュニアリーグ戦の決勝もありますし、いまの全日本の最高のものをここで見せられるんじゃないかなと思ってます」

 

――文体では2・7後楽園でスタートしたジュニアのリーグ戦「2019 Jr. BATTLE OF GLORY」の優勝決定戦もおこなわれます。ジュニアヘビー級戦線についてはいかがでしょうか。

「シングルのタイトルは三冠ヘビー級と世界ジュニアがありますけど、ボクはべつに世界ジュニアの試合が三冠戦より面白いよとお客さんがなれば、同じ日に2つのタイトルマッチがあった場合、世界ジュニアをメインにしてもいいと思ってるんですよ。ただ、今は絶対的に三冠の方が面白いと言ってくださるファンが多いので三冠戦をトップにおいてますけど、もしも世界ジュニアの方が面白いよとなったときには、ひっくり返しますよ。そのくらいの気持ちはあります。そうなったら、ヘビーの人間はそんなの許せないとなる。ですから、いままでの順番をひっくり返すくらいの気持ちで、ジュニアの選手にも頑張ってもらいたいなと思いますね」

 

――では、文体での決勝戦も含め、今回のリーグ戦は逆転への足がかりにしてほしいと。

「ボクはそう思ってます。そういうつもりで頑張ってもらいたいなと」

 

――最近、海外では女子のタイトルマッチがメインになったりするケースも出てきましたからね。

「ボクはやっぱりおもしろいものが最後を締めた方がいいと思うんですよ。ファンの方が望むもの。いまはたぶん三冠がそれだと思ってるんですけどね、世界ジュニアがいいとなれば、そっちでいくのも全然ありだと思ってます」

――現ジュニア王者の岩本煌史選手をはじめ、エントリーされた選手たちの奮起に期待したいと。

「ハイ、そういうことですね」

 

――個人では、社長と選手、両方の立場としていかがですか。

「社長としては、もう一度(団体を)安定させたいというのがあって、そういう方向性にしたいというのもありますし、それで今年ちゃんと上手くいかせないといけないですけども、そこで上手くいかせられれば、次の年はまた大きいところでやるのも可能だと思います。とにかく今年は会社として地固めをしたいと。選手としては、オレがどうしてもいきたい!というところが、ちょっと今はないのかもしれないですけど、今年50歳になるので記念に挑戦してもいいかなくらいの気持ちはありますよ(笑)。やるためには、やっぱり自分の気持ちですよね。身体どうのこうのよりも気持ちを上げていかなければいけない。その意味でも今回の文体での三冠戦の結果はボクもしっかり見たいと思います」

 

――ところで、秋山選手というのは“現代のプロレス名人”だと思っているんですが。

「そ、そうですか(笑)」

 

――というのも、必ずその試合のテーマに沿った闘いをする。

「そうですかねえ?」

 

――秋山選手の試合運びで、その試合のテーマ、ポイントが見えてくるという。

「……。ああ、それはそうかもしれないですね。それはシングルでもタッグでもそう感じていただければ」

 

――若い選手にとって秋山選手のプロレスはいい教材というか。

「それは若いヤツに言ってください(笑)。みんな近くにいると灯台下暗しでわからないんですよね。まあ、ボクらも近くにいた先輩たちのことがよくわからなくて、いまになってそうだよなと、わかることもあるのでね」

 

――だからこそ、秋山選手には長く現役で闘ってほしいし、近い将来、大きな試合に挑戦していただきたいなと思います。

「ありがとうございます」

 

――今年は平成が終わる年でもあります。5月から新元号に変わるのですが、老舗団体の全日本としては、“平成最後の”というところについての意識はありますか。

「ありますね。実は実際、平成の終わりでいこうかなという気もしてたんですよ。平成最後でオレがいったろうかな!という気もしてて、それも考えていたんですが」

 

――それも含めて文体のメインの結果次第ということになりますか。

「そうですね。ただ、文体の結果にかかわらず、平成最後でいこうと思えばいけるじゃないですか。それもすごく考えました。ただ、考えた結果、違うなと。現時点ではそういう結論になりましたけど、まあ、あとは文体のメインの結果次第で誰がいくのか。もしボクだったとしたら、(宮原と諏訪魔の)どっちが勝ったとしても問題なくいけるとは思うんですよ。ただ、さっきも言ったように、ボク以外の人間に関してはどっちが勝つかで(次期挑戦者が)だいぶ変わってくると思いますね」

 

――では、老舗団体でもある全日本、その“王道”全日本の現在のプロレス界における役割とはなんでしょうか。

「王道は、ボクの中では大切に残したいんですけど、王道の言葉に縛られすぎてしまうと、大きすぎてみんなやりづらいと思うんですよね。だからボクは自由にやれと選手には言ってます。もともと王道って、ジャイアント馬場さんがつけたものじゃないと思うんですよ。馬場さんがやってきた道を見て、誰かが“王道”とつけたと思うんですよね。それをボクら、まだまだ達していない人間が王道を謡うのは失礼なことだと思うので、だからそれぞれがそれぞれの道を歩いていけば、アントニオ猪木さんじゃないですけど、それに合った名前が付いてくると思います。それはそれでいいと思うんですよ。ですから、王道は一度馬場さんにお返しして、ボクらはボクらの、なんていう道になるかはわからないですけど、それを探していければいいと思うし。ただ、プロレス界としてなにかしっかりしたプロレス、しっかりしたぶつかり合いとか気持ちで見せるものを見せていければなと。そこにはリング上にリアルがないといけないと思うので。たとえば、それは悔しさであったり、そういうのを見せていければいいなと思います。その先には、なにかまたなにか名前をつけてもらえるんじゃないかと思いますけどね」

 

――それが王道だと言われれば、それはそれでよしと。

「そうです。ボクらがやってきたものが王道だと言われれば、それについてはありがとうございます、と言えますね。ただ、いま使われている王道とは馬場さんのことなので、それをボクらが使うのは失礼だと思います。とか言っておきながら、王道トーナメントで使ってますけども(笑)」

 

――確かに、名称として使っています(笑)。

「自分らでこれが王道だ、というのはないですね。自分たちのしっかりしたプロレスを見せていく。まずは、これだと思います」

(聞き手・新井宏)

 

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