【CIMOのプロレス観戦記】2019年プロレス大賞MVPと女子プロレス大賞の予想

年間流行語大賞も「ONE TEAM」が大賞と発表され年末が近づいてきた。
2019年のプロレス大賞MVPを予想したい…
(あくまでも筆者の個人による予想となりますのでその点ご了承ください)

※プロレス大賞は、東京スポーツ新聞社が毎年12月に発表する、その年活躍したプロレスラーを表彰するイベント。審査員には東スポ以外のスポーツ新聞(現在はサンケイスポーツ、スポーツニッポン、デイリースポーツ、東京中日スポーツ、日刊スポーツ、スポーツ報知の6社)・プロレス雑誌(現在は週刊プロレスのみ)の記者、フリーのプロレスライター、元井美貴(FIGHTING TV サムライキャスター)なども含まれている。

基本的に賞の選考は、各賞毎に審査委員からノミネートを受け付けた後に、ノミネートされた候補に対する投票を実施し、過半数を獲得したものが受賞者となる。1回目の投票で過半数を得る候補がいなかった場合は、通常得票上位の3候補による第2回投票を実施。それでも過半数を獲得する候補がいない場合は2回目の投票の上位2候補による決選投票となる。状況によっては第2回投票を飛ばし、いきなり決選投票に移行する場合もある。なお審査委員からのノミネートがない場合には「該当者なし」となる場合もある。

授賞式は都内のホテルにて行われる。―Wikipedia参照

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<CIMOによる2019年プロレス大賞MVP予想>

◎ 宮原健斗(全日本プロレス)
〇 オカダ・カズチカ(新日本プロレス)
▲ 清宮海斗(プロレスリングノア)
☆ 竹下幸之介(DDTプロレスリング)

1人1人、私の選考理由をみていきたい。

◎ 宮原健斗(全日本プロレス)

2.19 ジャイアント馬場没20年追善興行のメインで勝利。棚橋とマイクで締める
4.29 チャンピオンカーニバル優勝
10.21 三冠ヘビー級王座を8度目の防衛
(防衛相手はKAI、諏訪魔、野村直矢、石川修司、ヨシタツ、ゼウス、野村直矢、ジェイク・リー)
11.15 ザ・デストロイヤーメモリアルナイトでメインで勝利。1人マイクで締める

宮原健斗が今年大賞を獲らないと「逆にいつだったら獲れるのか?」と思ってしまう程に圧倒的な2019年度の成績である。昨年10月21日に横浜文体でゼウスを相手に三冠ヘビーを獲得し、2019年は1.3のKAI戦を皮切りに8度の防衛を重ねてきた。その中には三冠王者としては史上7人目となる春のチャンピオンカーニバルの制覇も含まれており(三冠王者としてのチャンカン制覇者は18年ぶりの快挙)秋には王道トーナメントを制したジェイク・リーの挑戦をはねのけ丸1年三冠ベルトを守り続けた。

既に2016年に記録した自身の最多防衛記録にも並んでおり、今後の防衛ロード次第で自身の防衛記録を塗り替えていくこととなる。このまま防衛を積み重ねていくと、歴代最多防衛記録である川田利明の10回を塗り替えることも不可能ではない。

また節目となるイベントでもメインを務めてきたのが宮原健斗である。2.19両国国技館の「ジャイアント馬場没20年追善興行」ではメインの試合に登場。棚橋弘至との現代プロレスにおける陽キャラ同士で輝きを放ちながら勝利。昨年MVPの棚橋に「宮原選手は本当に宝だなと思いました。本当に明るい光を放っているので、まるで昔の棚橋、いやボクを超える素材になるんじゃないかなと思います」と言わしめた。更に11.15の「ザ・デストロイヤー・メモリアルナイト」では武藤敬司、獣神サンダーライガーらレジェンドとタッグを組み3人による足4の字固めで勝利。最後も大会を1人でマイクで締めた。

そんな宮原健斗の特徴はなんといってもナルシスト感ただよう入場。宮原健斗コールをこれでもかと浴びながら太陽のごとく颯爽と入場。ファイトスタイルは躍動するバネを活かした獣の様な伸びやかな姿で相手の得意技をブラックアウト(ニーリフト)で切り返す。フィニッシュはシャットダウン・スープレックス(ダルマ式ジャーマン)で試合後はこれでもかと健斗コールを煽ってから「最高!」のマイクで場内を健斗コール一色に染め上げる。

令和の宮原健斗は早くから「MVP候補」と自らを語り、ことあるごとに自身が「MVP最有力」であると自負してきた。10.24のジェイク・リー戦では「MVP確定」とアピール。宮原健斗の中ではMVPの受賞は決定事項である。CIMOのMVP予想でも本命に宮原健斗をあげたい。

健斗の腰に巻かれたジャンボ鶴田から紡がれ始めた日本の至宝ベルトは2019年まぶしく光り続けている…

〇 オカダ・カズチカ(新日本プロレス)

3.24 長岡。ニュージャパンカップ制覇
4.6 ニューヨーク・マジソンスクエアガーデンでジェイ・ホワイトを下しIWGPヘビー戴冠
4.12 声優の三森すずこさんとの入籍を発表
10.14 IWGPヘビー級王座を4度目の防衛
(防衛戦の相手はSANADA、クリス・ジェリコ、鈴木みのる、SANADA)

レインメーカーは国内、海外を問わず飛躍した。春先のニュージャパンカップを制すると4.6米国マジソンスクエアガーデン大会でジェイ・ホワイトを破りIWGPヘビーのベルトを約10カ月ぶりに奪い返した。その後、かねてより交際が噂されてきた声優の三森すずこさんと入籍。公私ともに充実した1年ともなった。

以前は試合後のマイクアピールも外道との2人3脚であったが、2018年9月に外道はオカダを裏切りバレットクラブのジェイ・ホワイトと結託。オカダは1人でマイクをするようになったが、その内容も貫禄がついてきて自信満々だ。

11月時点でIWGPヘビーのベルトを4度防衛。いまや新日本の圧倒的なチャンピオンはオカダ・カズチカとなっている。来年1.4の東京ドームではG1覇者の飯伏幸太の挑戦を迎え撃つ。業界の圧倒的王者たる新日本プロレスの王者として堂々たる1年を過ごしたオカダはプロレス大賞MVPの対抗候補となる。

▲ 清宮海斗(プロレスリングノア)

4.30 横浜。「俺はお前の噛ませ犬じゃない」と拳王からタッグ決裂宣言
7.27 川崎。中嶋勝彦の挑戦を退け5度目の防衛。その後、N-1 VICTORYへの不参加表明
9.16 大阪。武藤&秋山とトリオを結成
11.2 両国。N-1覇者の拳王からGHCヘビー級王座を6度目の防衛
(防衛戦の相手は拳王、マサ北宮、丸藤正道、杉浦貴、中嶋勝彦、拳王)

2018年12月に杉浦貴に勝利し史上最年少(22歳5か月)でGHCヘビー級王座のベルトを巻くと2019年を王者として駆け抜けた。プロレスリングノアは2019年3月10日よりリデットエンターテインメント株式会社を親会社として再スタート。ロゴやリングマットの色も緑から白へ一新しGHCベルトのデザインも一新された。

そんな時代の大きな変化の中で“新生ノア”を象徴する若き“超新星”チャンピオンとして清宮海斗は躍動した。2018年にはシングルリーグ&タッグリーグも制覇しヘビー級のグランドスラムを達成しており、超新星としてのインパクトを残していた清宮が、3月10日の新生ノア旗揚げ戦ともいうべき大会で、“ノアの象徴”の丸藤正道を撃破。ノア新時代の到来を感じさせるチャンピオンロードを歩んでいる。

6月には「三沢光晴メモリアル」大会のメインで杉浦貴の挑戦を迎え撃つ。ノア強さの象徴である杉浦をも倒すことで清宮は限界を突破し王者としてのオーラをまとっていく。7月の防衛戦で中嶋を撃破するとその後、ネーミングをリニューアルすることとなったN-1 VICTORYへのエントリーを「11.2の両国に集中する為」と不参加表明。

そんな清宮に「清宮はリデットに祭り上げられて自分でプロデュースできてない。俺が感情を引き出す」と否定するN-1覇者の拳王を11月の最大のビッグマッチ11.2両国大会で撃破。このビッグマッチ前には10.22に拳王によるダイビングフットスタンプで首を負傷し防衛が危ぶまれたがケガを乗り越え見事に防衛してみせた。

現在23歳と非常に若い清宮がチャンピオンとして輝けば輝くほど新生ノアの輝きは増していく…

☆竹下幸之介(DDTプロレスリング)

2.17 両国。メインイベントで佐々木大輔を破りKO-D無差別級を3度目の戴冠
5.19 後楽園。KING OF DDT2019トーナメントを制覇
6.24 新木場。ALL OUTと仙女との全面対抗戦。KO-D6人タッグを奪還
7.15 大田区。遠藤哲也を破り、KO-D無差別4度目の戴冠
8.26 後楽園。TAKAYAMANIAⅡでノアGHC王者の清宮海斗と6人タッグで初対決
11.3 両国。メインイベントでEXTREME級王者HARASHIMAとの2冠統一戦に破れる

両国国技館大会を年間3回開催できるDDTにおいて、その強さを誇示したのが竹下幸之介である。KING OF DDTトーナメントを制してKO-D無差別のベルトを取り戻した強さは伊達ではない。団体内でのフィジカルの強さは圧倒的で“竹下を倒せるものなどいるのだろうか?”と思わせる程、1枚も2枚も上を行く力強さと安定感を見せた。

高校生でデビューした竹下はデビュー当時は線が細かったが、日体大でウェイトリフティング部を立ち上げ本格的にビルドアップ。ボディビル大会にも出る等、真摯に身体と向き合いその筋肉を成長させてきた。

現在の竹下は無理に摂生して絞ることもせず大いに食べて身体を大きくするフェーズに入り、身長187cm体重105㎏の目に見えて厚みのわかる堂々たる肉体となった。更に2019年はサウナに開眼。サウナでフィジカルの疲れと精神面を整えるサウナボーイとなった。夏にはフラワーアートとのコラボも実施。

アスリートレスラーとしてDDT内で敵なしとなり、黒潮イケメン二郎や青木真也、仙女・里村明衣子など外部の選手との戦いを積み重ね、王者として他団体や海外にも積極的にうってでたいとアピールした。

肉体の充実と共にプロレスオタクとしての分析力も研ぎ澄ませている。本人曰く「竹下ほどプロレスを観ている人もいない」「プロレスマイスター」と自称するほどのプロレスマニアで古今東西のプロレス映像をみて日夜研究を重ねている。竹下はどの団体のどの選手とでも名勝負を繰り広げられると自負できるほどの自信をみなぎらせていた。

更に強さだけでなくDDTならではの文科系プロレスにも取り組むところが竹下の“ザ・フューチャー”たる所だ。DDTグループのぽっちゃり女子プロレス8.20新木場では今成夢人と竹下母の恵子さんを賭けてリング上で戦い、最後には感動の展開を演出するなど笑いから涙まで懐の深さをみせた。数年前は心もとなかったメイン後の締めのマイクも今ではすっかり板についている。

今後の心配点はケガである。11.3両国でのHARASHIMAとの2冠統一戦前に腰にケガを負い、ベルトも失ってしまった。まだ24歳の竹下には輝かしい未来が開かれている。その充実した選手人生を謳歌する為にも大ケガを負うことなく、身体を大事にしてプロレス界を盛り上げていってほしい。竹下には期待しかしていない。

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【過去のMVP受賞者】
* 2018年 – 棚橋弘至
* 2017年 – 内藤哲也
* 2016年 – 内藤哲也
* 2015年 – オカダ・カズチカ
* 2014年 – 棚橋弘至
* 2013年 – オカダ・カズチカ
* 2012年 – オカダ・カズチカ
* 2011年 – 棚橋弘至
* 2010年 – 杉浦貴
* 2009年 – 棚橋弘至
* 2008年 – 武藤敬司
* 2007年 – 三沢光晴
* 2006年 – 鈴木みのる
* 2005年 – 小島聡
* 2004年 – 佐々木健介
* 2003年 – 高山善廣
* 2002年 – ボブ・サップ
* 2001年 – 武藤敬司
* 2000年 – 桜庭和志
* 1999年 – 武藤敬司
* 1998年 – 小橋健太
* 1997年 – 蝶野正洋
* 1996年 – 小橋健太
* 1995年 – 武藤敬司
* 1994年 – 橋本真也
* 1993年 – 天龍源一郎
* 1992年 – 高田延彦
* 1991年 – ジャンボ鶴田
* 1990年 – 大仁田厚
* 1989年 – 前田日明
* 1988年 – 天龍源一郎
* 1987年 – 天龍源一郎
* 1986年 – 天龍源一郎
* 1985年 – 藤波辰巳
* 1984年 – ジャンボ鶴田
* 1983年 – ジャンボ鶴田
* 1982年 – タイガーマスク
* 1981年 – アントニオ猪木
* 1980年 – アントニオ猪木
* 1979年 – ジャイアント馬場
* 1978年 – アントニオ猪木
* 1977年 – アントニオ猪木
* 1976年 – アントニオ猪木
* 1975年 – ジャイアント馬場
* 1974年 – アントニオ猪木

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<CIMOによる2019年女子プロレス大賞予想>

◎ 木村花(スターダム)
〇 雪妃真矢(アイスリボン)
▲ Sareee(ディアナ)
☆ 里歩(AEW)
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◎ 木村花(スターダム)

3.21 大田区大会の試合後にWRESTLE-1からの退団発表。同25日にスターダム入団発表
4.14 ドラフト会議2019で多国籍軍(仮)を結成。後に正式名をTokyo Cyber Squadとする
5.6 新木場。木村花の魔法で米山香織の化身、DEATH山さん。を召喚する。以降、大人気に。
5.16 TCSの3名(木村花・小波・ジャングル叫女)でアーティスト・オブ・スターダムを戴冠
6.16 写真集「FLOWER」を発売。マカオで「セクシー&ファンキーな世界観」の撮影
7.24 写真集「CRAZY」を発売。前写真集が好評につき緊急発売となる
9.22 5★STAR GP 2019優勝
10.22 「TERRACE HOUSE TOKYO 2019-2020」の第20話に新メンバーとして登場

スターダムに2019年の4月から正式所属となった木村花は登り竜の如く大いに輝き暴れまわった1年と言えるだろう。黒だった髪色をピンクに変えて4月のドラフトで新ユニットTokyo Cyber Squad(TCS)を結成。サイバーな世界観は大会ごとに色鮮やかさを増しユニットとしての人気を確固たるものとしてきた。

更に夏のシングルNo.1決定戦である5★STAR GPを制覇。ユニットリーダーとしてのカリスマや発言力だけにとどまらず、シングルでも勝負ができる力強さをみせつけた。残念ながらその後の赤いベルトへの挑戦は失敗に終わってしまったが、いずれシングルでのベルト戴冠も夢ではないだろう。

その言動や飛翔の仕方は新日本プロレスの内藤哲也のロスインゴベルナブレスでの活躍と同様といえば普段は男子プロレスを中心に見ているファンにもわかりやすいだろうか。Tokyo Cyber Squadという花がリーダーのユニットを作り、個性豊かなメンツや外国人を含めて独自の言語感覚で常に会見では話題を提供し盛り上げる。

更にいってしまえば、メディア露出も棚橋級である。2019年秋にはNetflixで人気を博する恋愛リアリティ番組“テラスハウス”の住人として登場。プロレスと世間をつなぐ役割をすると共に彼女のパーソナリティが世間を賑わせているのも確かな所。

更に更に新日本の選手に例えるならば今年の飯伏幸太の経路にも似ている節がある。4月に団体に正式入団。真夏のシングルNo.1決定戦を制して団体内の自分の立ち位置を確固たるものにしたその姿はまさにゴールデンスター飯伏幸太の2019年と重なるところがある。つまり

木村花=内藤哲也のカリスマ+棚橋弘至のメディア訴求力+飯伏幸太の鮮烈さ

という図式が成り立つのではないかと考える。

スターダムには他にも白いベルトをV7と守り通した星輝ありさや4月にニューヨーク・マジソンスクエアガーデンでWOH王座戦を行い、11月に赤いベルトをNo.1ガイジンのビー・プレストリ―から取り戻した岩谷麻優もいるが圧倒的な輝きを放った木村花をここでは女子プロレス大賞候補としてあげておきたい。今年でなくともいずれ大賞をとれる逸材である。

何しろ22歳とまだ若い。女子プロレス界の輝かしい未来 “ザ・フューチャー”と呼んで差し支えない存在。それが木村花である。

〇 雪妃真矢(アイスリボン)

3.17 千葉。世羅りさとのタッグでリボンタッグを地元凱旋興行で戴冠
5.1 横浜。令和元年初日にトライアングルリボンを戴冠。アイスリボン3冠女王となる
5.7 TBS”その他の人に会ってみた”に「名門女子大学を卒業した”その他さん”」として出演
5.12 OZ後楽園。別人格の雪妃魔矢が安納サオリとの正危軍タッグでOZ認定タッグ戴冠。4冠に
6.30 テキーラ沙耶を下しICE×∞王座を3度目の防衛
8.3 大阪。藤本つかさとフルタイムドロー。規定によりICE×∞王座を剥奪される
8.29 マーケティングイベント「BACKSTAGE2019」に藤本つかさと共に登壇
9.14 横浜文体。ICE×∞王座決定トーナメントで世羅りさを破り優勝。無冠から王者に返り咲く
9.23 世羅とのタッグでテキーラ沙耶&ジュリアからリボンタッグを奪還
10.14 山手線プロレス参戦
10.26 フジテレビ「全力脱力タイムズ」に安納サオリと共に出演

雪妃真矢にとって2019年は激動の1年であった。

前年大みそかにICE×∞初戴冠を果たすと3月にリボンタッグ、5月にトライアングルと団体内のベルト3冠を総なめにした。更には別人格で参戦しているOZでは安納サオリとのタッグでタッグベルトを獲得し、一時期は(赤・青・黄・黒)の4種類のベルトを同時に持っていた。

アイスリボンのエースとして一時代を築いたと思うのも束の間、夏には失速し無冠にまで落ち込み、自分でも自分がみえなくなるほど自信を喪失してしまう状況となった。しかしそこで終わらないのが今年の雪妃真矢の強さ。9月の文体で行われたICE×∞トーナメントの決勝で盟友の世羅りさを破りシングル王者に返り咲くと同月23日にはその世羅とのタッグでリボンタッグを獲得。2冠王として返り咲いてみせた。
※リボンタッグは11.3に藤本つかさ&つくしのドロップキッカーズに奪われ現在はICE×∞のみ

メディア露出も5月にTBSテレビでその半生を追う番組企画に出演。10月末にはフジテレビに安納サオリと共に「地下アイドルとキャバ嬢がプロレスをする」という役で出演しファンを驚かせた。

2018年に大賞を受賞した藤本つかさは「女子プロレスを広げていこうという団体の姿勢が評価された」と受賞理由を語ったが、その意味では同様にアイスリボンを支える大きな屋台骨の一つである雪妃真矢が女子プロレス大賞を受賞しても何の不思議もない。アイスリボンは10月にテキーラ沙弥の引退興行が大会で流れ、その翌日にはジュリアが電撃退団するなど激震にも見舞われたが「プロレスでハッピー」を合言葉に女子プロレスを広げていこうと草の根の活動を粘り強く続ける姿勢は変わらず継続中だ。

10月の山手線プロレスへの継続参戦も勿論だが、8月にはマーケターが集う虎ノ門ヒルズのイベント「BACKSTAGE2019」に女子プロレス界を代表する1人として藤本つかさと共に登壇し、女子プロレスの未来について展望を語った。

有名私大をでて銀行職員からプロレスラーとなった異色の経歴の雪妃真矢が輝きを放った2019年の最後を飾るのに、女子プロレス大賞の受賞は物語の締めとしてうってつけである。

▲ Sareee(ディアナ)

3.24 川崎。WWWD世界シングル次期挑戦者決定リーグ戦で井上京子を倒し優勝
4.16 後楽園。里村明衣子からシングルで勝利
5.12 後楽園。アジャコングに挑戦しWWWD世界シングル王座を戴冠
6.2 新宿。Marvelousのエース彩羽匠と20分ドロー
6.8 新潟。仙女王者の橋本千紘とのWタイトルマッチ戦を制しディアナ、仙女のシングル2冠王者に
7.4 WWEのCOOトリプルHのラブコールでWWEのスカウト陣が獲得調査に乗り出していると発覚
9.14 横浜文体。前年女子プロ大賞の藤本つかさに日本海式竜巻原爆固めで敗れる
10.6 後楽園。藤本つかさに裏投げ5連発で勝利。リベンジを達成する
12.3 新宿。自主興行でスターダムの岩谷麻優とタッグ戦でドロー。来年のシングル戦を誓う

日本の女子王者が世界へ。Sareeeは2019年に一気に大物食いを実現し、女子プロレス界の最前線へと躍り出た。

昨年WWWDのベルトを奪われたアジャ・コングの壁を超えることができるかが大きなポイントだった年始から春先。2月新木場ではデスマッチルールで血みどろにされて叶わず。しかし3月に挑戦者決定リーグを制し、4月に里村超えも果たすと5月にアジャから逆転勝利。

仙女の橋本千紘とのWタイトルマッチを制しディアナ&仙女のシングルベルト2冠女王となると女子プロレス大賞を獲ることを明言し、昨年の受賞者アイスリボンの藤本つかさにも8月に挑戦を表明。9月に敗れるも10月のディアナ後楽園で得意の裏投げ5連発でリベンジを果たした。

更には12月に自主興行を行うと他団体とは絡まないイメージのスターダムの赤いベルトの王者・岩谷麻優とタッグ戦で激しく火花を散らし、来年にはスターダムでの両者のシングル決戦が行われる気運も高まっている。

そんなSareeeの気の強さと力強さに海を渡った業界最大手のWWEも食指を動かし始める。6月に日本で両国国技館2days大会を行った際に、WWEのCOOで団体を代表するトップレスラーのトリプルHが参戦。その来日の一つの目的がSareeeとの面会、調査であったと言われている。来年にも海を渡る可能性がささやかれるSareeeには残された時間で女子プロレス大賞受賞を!という思いが強い。

団体をまたぎシングル王座を戴冠し、女子プロレス界に君臨する里村・アジャを撃破し、仙女の橋本千紘、Marvelousの彩羽匠、アイスリボンの藤本つかさ、スターダム岩谷麻優と激闘を重ねてきたこの2019年のSareeeの1年は確かに女子プロレス大賞受賞をするのにふさわしい活躍であったといえよう。

一つ成長の余力をあげるとすればアイスリボンの藤本つかさとのシングルの際に当の藤本から指摘のあった「女子プロレス大賞を狙うものとしての懐の深さ」であろうか。マイクでの挑発は勿論、まっすぐにぶちあたっていくSareeeの姿もその魅力の一つであるが、若さや勢いだけでない、かわし・はったり・プロレス脳といった魅せる力をつけマイクやリング以外の部分でも更なる懐の深さを持てるようになれば「女子プロ界に完全に敵なし」となれるであろう。その部分はまだ伸び代として楽しみな部分でもあるといえる。

☆ 里歩(AEW)

7.2 新宿。我闘雲舞を退団
7.24 スターダムに登場。継続参戦を始める
8.10 後楽園。ハイスピード王座をDEATH山さん。に勝利し戴冠
10.2 ワシントン。ナイラ・ローズに勝利しAEW女子初代王者となる
11.3 DDT両国でケニー・オメガとのミックスドマッチのパートナーとして登場

里歩にとっては大いなる飛躍の年となった1年である。我闘雲舞のエースとして長らく君臨してきたが、今年はその我闘雲舞から7月に卒業。同月にスターダムに登場すると翌8月にはハイスピード王者となった。

更に海を渡ったAEWも活躍の場とし、10月のワシントン大会でナイラ・ローズとの初代AEW女子王座戦を制し2本目のベルトを獲得した。我闘雲舞で十数名の観客の前で戦っていた里歩が、数千人から1万人以上を動員するAEWのリングに主戦場を移し、そこでチャンピオンとなるとは、そのギャップに驚かされる。

さらに珠玉といえるのはケニーオメガとのミックスドマッチのパートナーである。AEWの女子部門を推し進めていきたいケニー・オメガはアジアを中心にスカウト活動を続けていくことも視野に入れている。まだ未開発な“ミックスドマッチの可能性を広げていきたい”と話し、今後もミックスドマッチを展開していく展望を語っている。そのパートナーとして行動を共にするのが里歩である。11.3両国でも曲者アントーニオ本多と東京女子のエース山下実優を相手に堂々たる試合を展開してみせた。

その幅広さと世界も視野に入れた活躍のスケール、ドラマチックさを加味すると女子プロレス大賞の大穴に里歩を推したくなる。

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【過去の女子プロレス大賞受賞者】
* 2018年 – 藤本つかさ
* 2017年 – 紫雷イオ
* 2016年 – 紫雷イオ
* 2015年 – 紫雷イオ
* 2014年 – 該当者なし
* 2013年 – 里村明衣子
* 2012年 – 愛川ゆず季
* 2011年 – 愛川ゆず季
* 2010年 – 高橋奈苗
* 2009年 – さくらえみ
* 2004年~2008年 – 該当者なし
* 2003年 – 浜田文子
* 2002年 – 中西百重
* 2001年 – 伊藤薫
* 2000年 – ラス・カチョーラス・オリエンタレス(下田美馬・三田英津子)
* 1999年 – ライオネス飛鳥
* 1998年 – 神取忍
* 1997年 – 平成裁恐猛毒GUREN隊(イーグル沢井、シャーク土屋、ライオネス飛鳥)
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プロレス大賞の発表は例年12月の中旬に行われる。読者諸氏も自分だったら誰を選ぶか予想して欲しい。発表のその日まで想像を膨らませることも、プロレスファンの楽しみの一つであり、贅沢な時間なのだから…

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