崖っぷちのBASARAを託された男、中津良太新社長の覚悟と改革「就任理由は、経営が悪化してるからです」

【プロレスリングBASARA独占インタビュー】「会社が潰れる」―崖っぷちからの逆襲。中津良太新社長、覚悟の所信表明

「新社長に就任した経緯ですか? ズバリ言うと、もう経営が悪化しているからです」

新社長の第一声は、あまりにもストレートで、危機感に満ちていた。プロレス界で唯一無二の“変で面白い”存在感を放つ、プロレスリングBASARA。その未来を託されたのは、団体の至宝・ユニオンMAX選手権の現王者でもある、中津良太だった。

木髙イサミからバトンを受け継ぎ、新社長、プロレスラー、そしてバーの店長という三足のわらじを履く男。その背中には、団体の存続という重すぎるほどの期待がのしかかる。中津はこの難局をどう乗り越え、BASARAをどこへ導こうとしているのか。

社長として、王者として、後楽園ホール決戦を前に、胸の内にある熱い覚悟とこれからのBASARAを、語ってもらった。

『伐折羅・弐佰捌拾伍~磨杵作針~』
日時:2025年8月3日(日)10:45開場/11:30開始
会場:東京・後楽園ホール

■「パワポケみたい」―経営悪化からのV字回復シナリオ

――この度はプロレスリングBASARA新社長へのご就任、おめでとうございます!驚きと共に、新しい風が吹くのではと期待しております。

中津:こちらこそよろしくお願いします。

――単刀直入にお伺いします。新社長就任に至った経緯を、ズバリ教えていただけますか。

中津:ズバリ言うと、もう経営が悪化しているからです。「前社長(木髙イサミ)どうしてるんだ」って話ですけど(苦笑)。まあ、これは多分、誰が頑張ってもそうなったかもしれないですけど、やっぱり会社の社長が変わるっていうことは、まあ、そういうことじゃないですか。

――新体制への移行は、収益改善が最大のミッションである、と。

中津:そうですね。会社の中で“改革”を起こすというか。多分、今まで通り回り道をやってると、もう潰れていく一方なんで。一発ギャンブルじゃないですけど、ドンッと流れを変えてやるために、今回、社長に就任しました。これまでの木髙イサミ社長体制から、新たに僕が社長、塚本拓海が営業部長、そして中野貴人会長と選手会長という三人の首脳陣で回していく、という感じになりました。

――ご自身が社長に就任されてから、まだ1ヶ月少しとのことですが、何か心境の変化や、目に見える変化はありましたか?

中津:そうですね……社長就任と同時に、8月3日に後楽園ホールのビッグマッチが控えているので。「社長になってどうだ」とか、気持ちが変わったという前に、とりあえず、忙しいは忙しいですね。

――ご自身が店長を務めるバーBASARA直営プロレスバークラッチの仕事もありますし。

中津:お店の仕事プラス社長業もやるので、何かをじっくり考える暇もない、というか。怒涛のように押し寄せる日程を、自分で作ってる感じですね。まさに、自分で自分の首を絞めながら、それを成長の糧にしていく、という。

――まさに経営者の姿ですね。その姿を見て、周りの選手の意識に変化は感じますか?

中津:恐らく、変わってくれているだろう、と信じたいです。会社の社長が変わるイコール、会社がヤバいぞ、というのは会見でも言いましたし、公の場では言えないぐらいの言葉でも、選手たちには伝えてあるので。「本当に、このままだと団体がなくなりますよ」と。だから、結構みんな、ケツに火がついて頑張ってくれてる人が多くなったんじゃないかな、と思います。

――BASARAは、兼業レスラーの方も多いと伺っています。

中津:そうなんです。うちはプロレスラー専業だけじゃなくて、普通に堅い仕事をしながらプロレスラーをやっている選手が多い。だから、どうしても「団体がなくなるぞ」って言われても、最悪、なくなっても生活ができてしまう人が多いんですよね。でも、そういう人たちが辞めずにずっとBASARAにいるっていうのは、やっぱり「BASARAでプロレスをしたい」からだと思うんで。その場所が「いよいよ、本当にヤバいぞ」っていうのが、多分みんなに伝わってきてくれてるんじゃないかな、と思います。

――その危機感が、団体の新たなエネルギーになる可能性もあるわけですね。

中津:リング上での面白さは、今までと変わりません。うちは、みんな面白いんで。それ以外の部分、例えばSNSでの発信だったり、営業活動だったり、そういうのを普段やらない人でも、積極的にやってくれたりしていますね。

――社長ご自身も、行動で示しているとか。

中津:僕がSNSがすごく苦手で、Xとか全然更新できないタイプなんですよ。でも、6月の大会終わりに、みんなの前で宣言したんです。「8月3日の後楽園大会に向けて、この俺が毎日ツイートします」と。「俺が1日でもやらなかったら、お前らもやらなくていいです」ぐらいまで言い切って。だから、今、ちょうど毎日やってます。社長が行動で示さないと、誰もついてこないと思うんで。

――その覚悟、素晴らしいです。今は睡眠時間も削って、という状況ですか?

中津:寝てないですね(苦笑)。まあ、肝臓の数値(ガンマGTP)は、だいぶ上がってますけど、死にはしないんで。今やらないと、もったいないんですよ。この、体制が変わったタイミングが、一番注目してもらえる時なんで。もう、これ(8.3後楽園)が終わったら死んでもええわ、とは思ってないですけど、それに近い心情でやっています。

――そこまで自身を突き動かす原動力は何なのでしょうか。

中津:なんでしょうね……意地だけ、じゃないですかね。でも、ちょっと大変なんですけど、楽しいところもあるんですよ。たぶん、今のBASARAは、これ以上下がらないので。あとはもう、上がっていく一方なんで。その過程って、ちょっとドラマ性があって面白いじゃないですか。もし、これが本当にV字回復していったら、って思うと。僕、ずっと野球をやってて、『パワプロクンポケット』(パワポケ)っていうゲームが大好きだったんですけど、パワポケって、こういう話が多いんですよ。潰れかけの高校野球部とか球団を、自分が主人公になって、甲子園優勝とかリーグ優勝に導いて、ハッピーエンド、みたいな。今の自分を、ちょうどそのシナリオに重ね合わせている感じですね。底辺からの逆襲劇、面白いじゃないですか。

■BASARAの未来図。「やってこなかったことを、全部やる」

――新社長として、これからのBASARAを、どのような団体にしていきたいですか?

中津:そうですね。とりあえず、BASARAはまだ小さなインディー団体なので、知らない人が多い。なんなら、プロレス関係者の、レジェンド級の方とかにご挨拶に行っても、意外と知られてなかったりするんです。だから、所属選手全員が、「BASARAの○○です」という、その看板だけで生きていけるようにしたいですね。新日本プロレスの選手が「新日本の○○です」って言ったら、「おお!」ってなるじゃないですか。ああいうブランド価値を、BASARAという団体に持たせたいです。

――そのために、具体的に取り組もうとしている課題はありますか?

中津:まず、一番はお客さんに来ていただくことなんですけど、それと同時に、うちが今までずっとやってこなかったことも、これからはやっていこうかな、と。

――やってこなかったこと、ですか。

中津:うち、全くスポンサーをつけてないんですよ。親会社があるわけでもなくて、スポンサーもゼロ。たまに、マッチスポンサーがつくぐらいだったんです。これがBASARAのやり方なのかなって、僕も思ってたんですけど、そうじゃないらしくて。だからもう、ちょっとゲスい話ですけど、真っ当に、ちゃんとお金稼ぎにどんどん走っていかないとダメだな、と思ってます。

――新しい視点での営業活動が始まっていくわけですね。

中津:はい。新潟プロレスさんとか、九州プロレスさんとか、すごく上手いじゃないですか、スポンサー営業が。そういう、今まで自分たちがやってこなかったことを、積極的に学んで、取り入れていかないと。幸い、僕らの周りには、興味を持ってくれそうな経営者の方もいらっしゃるかもしれない。そういうところにも、どんどんアプローチしていきたいですね。

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