チャンスの神様は前髪しかない 「闇落ち新世代」成田蓮はIWGP世界ベルトを掴めるか

【柴田惣一のプロレス現在過去未来】

新日本プロレスで悪の限りを尽くすHOUSE OF TORTURE(H.O.T)の最終兵器・成田蓮がIWGP世界ヘビー級王者ザック・セイバーJr.から栄光のベルトを奪い取り、新日本の新時代抗争に決着をつけるのか。

成田は9・28兵庫・神戸大会のタイトル戦に向け連日、H.O.Tの仲間とともにザックのTMDKと火花散らす前哨戦を繰り広げている。マイクによる「口撃」に加え、反則攻撃を当たり前の様に繰り返す悪の軍団。成田にしてみれば、これほど心強い仲間はいない.

SHOが「TMDKよ。いやTMど田舎」と口火を切れば、成田も「クソガイジンチャンピオン。テメエが俺に勝てるわけがない。神戸で俺がそのベルトを巻く。そのベルトを持っていいのはこの俺だけなんだ」と口汚くののしる。

北海道シリーズでは、勢いに乗るTMDKに押され気味だが、ファイト内容より目立つこともあると言われるマイクのド迫力はH.O.Tが勝っている。これは紛れもない事実。会場から巻き起こるブーイングに「カエレ」コールも彼らにしてみれば声援そのもの。反則プレーにいよいよ拍車がかかるばかり。

ザックは2度目の戴冠、通算6度目の防衛戦だが、王者としてH.O.T勢とのIWGP世界戦は初めてとなる。1対1の真っ向勝負など端から頭にはない黒い軍団である。ゴング前の集団暴行など朝飯前。ゴング後にも折を見ては乱入し、レフェリーの死角を突いて成田をサポートするはずだ。

もちろんTMDKも黙ってはいないだろうが、集団プレーの悪の連携と切れ味ではH.O.Tが二歩も三歩も先をいっている。いくら実力者ザックとはいえ、多勢に無勢である。新日本ナンバー1の証しを守り抜くのは容易ではない。

しかも成田は意地でも負けられない。辻陽太、上村優也、海野翔太、大岩陵平ら新日本の新時代を担うライバルたちとの出世レースで、いささか影が薄いのだ。

チームでの暴れっぷりに注目が集まるH.O.Tの一員ということもあるだろうが、成田個人としてスポットライトを浴びにくい。先のG1 CLIMAX35でも5勝4敗と勝ち越しはしたものの決勝トーナメントには進出できなかった。ベスト6に生き残った辻、海野の後塵を拝したのは悔しい限りだったろう。

シングルタイトルといえばNJPW WORLD認定TV王座を保持したことはあるが「IWGP」ベルトとは無縁なまま。新世代の出世レースから抜け出すために「闇落ち」したのだろうが、結果を出せないでいるのが現状。本人は何とももどかしいだろう。

変型のフェイスバスター「DOUBLE  CROSE」を決め技としている。「裏切り」「寝返り」「欺く」を意味するダブルクロス。

鈴木みのるやエル・デスペラードとユニット「ストロング・スタイル」を結成し、H.O.Tと渡り合っていた時期もある。それが寝返ったのだから、ダブルクロスそのものだろう。

黒くなって約2年。悪の軍団のメンバーがすっかり板についているが「キン肉マン」や「仮面ライダー」「ウルトラマン」シリーズの大ファンだという。正義の味方ではなく、悪の戦士に憧れていたのかも知れないが、少しばかり気になるところ。

ザックvs成田の勝者が10・13両国国技館大会で、G1覇者KONOSUKE TAKESHITAの挑戦を受けることになる。新日本、DDT、米AEWの3団体所属のTAKESHITAだが、新日本生え抜きの新世代戦士たちが、ザックvs TAKESHITAのIWGP世界戦となれば、どんな気持ちで見守ることになるのだろうか。

ザックとのタイトルマッチは、成田がひと皮もふた皮もむける大きなチャンス。 ただ、チャンスの神様は前髪しかないという。アッという間に通り過ぎてしまうもの。そして人生においてチャンスは何度もない。成田は逃さずモノにできるか。

漢・成田蓮の男の志に期待したい。

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