「満場一致で最高のボヤキ三冠王者」宮原健斗が支える全日本プロレス その魅力とは
「最高の三冠王者」宮原健斗が「満場一致で最高のボヤキ王者」にバージョンアップ。全日本プロレスを新たな魅力で引っ張っている。
2・23東京・大田区総合体育館大会の斉藤ジュンとのV5戦を前に「答えはノーだ」「ノーと言えるのもチャンピオン」「俺にとってアウェイだ。だから挑戦は受けない」と挑戦拒否を表明。どうなってしまうのだろうかと、ファンをハラハラとさせた上で「俺も社会人だから」と会社の決定を承諾。結局は受けるところが宮原らしい。
「かかって来い!」「誰の挑戦でも受ける!」など、威勢の良いセリフで挑戦者を圧倒してきたこれまでのチャンピオン像を一新させてしまった。三冠王者といえば、王道・全日本の最強の証し。歴代王者たちは王者らしい振る舞いを心掛けていたはず。

宮原はファンに問いかけるマイクで新風を呼び込んでいた。「どうですかー!?」「どちらが王者にふさわしいですか?」「挑戦を受けるべきでしょうか?」そして「最高ですかー!?」などと客席に問いかけてきた。
決め台詞は「最高」「満場一致」で、平成から令和を彩る新時代の三冠王者らしさを発揮しながらも、いわゆる王者らしさを保っていた。
試合巧者であり、激しい頭突きなどハードな攻撃で客席を沸かせる。そしてしっかり防衛。安定感もあり、キャリアを重ねて貫禄も出て来た。
それがここにきてのボヤキ節である。ボヤくボヤく。ファンの支持を集めているのに、あえて自分から敷居を下げ、挑戦者を持ち上げていく。そこには全日本愛がこめられている。
三冠戦線を盛り上げ、全日本への注目度を上げたい。自己中のような言動は見せかけであり、全日本をもっともっと大きくしたいという熱い想いにあふれている。

食事会では「これからも全日本をよろしくお願いします」「ぜひとも全日本を話題にしてください」…まるで営業部員の様だ。プロレスとは違う話をしていても、間ができると「全日本を…」と始まる。
どうしたら全日本が盛り上がるのか。常に考えているのだろう。新日本愛で定評のある棚橋弘至・新日本プロレス社長と同じ匂いを感じてしまう。
しかもONとOFFの切り替えがスムーズにいかないのか、常にONのような気がする。24時間、自分自身のプロデュースだけでなく、若手選手はじめ王道戦士のことを、そして全日本のことに頭を巡らせている。
彼に私生活はあるのだろうか。しばしば疑問が浮上してくる。表も裏もない。全日本がすべてなのかも知れない。
現在、7度目の三冠王座に君臨しており、諏訪魔の最多戴冠記録8回に迫っている。最多通産防衛記録31回を持ち、最多連続防衛記録10回は川田利明と並んで首位タイ。ジャンボ鶴田、天龍源一郎、スタン・ハンセン、三沢光晴、川田、田上明、小橋建太、武藤敬司、佐々木健介、秋山準…日本マット史を飾ってきたそうそうたる歴代三冠王者史の中でも、その存在感は増すばかりだ。

2・23東京・大田大会のジュンとのV5戦が迫っている。ジュンの弟・斉藤レイの復帰戦も決まっている同大会。宮原の言うように、斉藤兄弟に注目が集まるだろう。
宮原にとっては「アウェイ」のリングになるだろうが、それこそ宮原の狙い通り。会場に詰め掛けたファンの前で「ボヤキ」がさく裂するはず。
ボヤキながらも、しっかり仕事をする往年の名作アニメ「ヤッターマン」の「ボヤッキー」のようだ。
熱い絶叫や自分語り、決めゼリフ、あるいはあえて無言など、各選手が個性を発揮させるマイクアピールはいろいろだが、多様性の時代にあってもボヤキは唯一無二であり、何より斬新だ。

2・1沖縄・那覇大会では鈴木秀樹、田村男児とトリオを結成し、ジュン、安齊勇馬、井上凌組と対戦。ジュンの目の前で井上を得意技シャットダウン・スープレックス・ホールドで仕留めた。
この日は全日本と沖縄を「最高」とアピールしたが、決戦までにどれだけボヤくのか、目が離せないところ。
「満場一致で最高のボヤキ王者」宮原健斗が、王道マットを支えている。(敬称略)
<写真提供:全日本プロレス>
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