【阿部史典インタビュー】“やりすぎくらいがちょうどいい”イズムで2度目の参戦、ケンドー・カシンと予測不可能な一騎打ち!「読めないからこそ、逆に楽しみです!」ストロングスタイルプロレス12・17後楽園

――必要なとき以外はあえて出さないと。

「そうです。やったところでほかのみんなと同じだからやらなかったということじゃないですか。いまも一緒に練習したりするんですけど、マジですごいなと思いますね」

――そのすごさがいまでは理解できると。

「理解できます、ホントに」

――リビングレジェンドと言えば、ストロングスタイルプロレスとは初代タイガーマスク選手が主宰するリングです。ただ、初代タイガーマスクをリアルタイムでは知らない世代ですよね。

「知らないです。ボクらの世代って、初期パンクラスとかUWFとかの映像を単体で見るんですよ。だから時間軸がわからない。ふたつ見たとしたらどっちが先?みたいな。ネットで調べてやっとわかる。試合のおこなわれた時間軸がわからないんですよね。ボクら世代って過去の映像をYou Tubeで見たりするじゃないですか。それを見てから時間軸を整理するんですよ」

――そういったなかで初代タイガーマスクの映像も見たと。

「ハイ、もちろん見ました。ありきたりの言い方になるんですけど、やっぱりすごいですよね。ああいう時代にああいう選手っていない。ホントすごいですよね。ありきたりの軽い言葉しか出てこないんですけど、とにかくすごい。佐山(サトル=初代タイガーマスク)さんってすごいです。こんな自分が言ってしまっていいのかと思うくらい。佐山さんと言ってる自分が怖いですもん(苦笑)」

――名前を出すのもおこがましいと。

「恐れ多いです、ホントに(苦笑)」

――そのリングに連続参戦することになって、いかがですか。

「光栄です。ホントに光栄です。興奮します」

――今回、12・17後楽園ではシングルマッチ、しかもケンドー・カシン選手との対戦になります。初遭遇になりますよね。

「ハイ、ボクは初遭遇です。タッグでもないです。会場で一緒になったことがあるくらいですね」

――どんなイメージですか。

「キャリアを経て、いまはつかみどころのないイメージがありますね。共通点には鈴木(秀樹)さんがいて、鈴木さんもすごいカシンさんからインスパイアされているようなイメージがあります。のらりくらりしているような、つかみどころがない。そんなイメージです」

――いままで闘ったなかでは誰に近いですか。

「インスパイアされているからといっても鈴木さんとはまた違いますね。なんでもできるんでしょうけど、激しいことをするようなイメージはない。もうそういうのはやめているんでしょうね。ボクは(カシンが)自由なことをしてくる人だと思うので、自分もなにも考えずに自分がやる自由なものをぶつけたいなと思います。とくになにも考えていないですね」

――現段階では試合のイメージもしていない。

「ハイ、イメージもできないですね」

――そのときにならないとどうなるかわからない?

「ホントわからないです。たぶん向こうも、このカードに対してなにも思ってないじゃないですか。べつにひとつの試合があるくらいにしか思っていないでしょうから。若手がチャンスだと思ってガンガンいくよりかは、自分もあえてそういう気持ちでいこうかなみたいな感覚です。そこまで気構えるのではなく、あえてたくさんある試合の中のひとつという。別に手を抜くとかじゃなくて、いつも通り自分は100%で挑むんですけど、対戦相手に対してなにかを考えるようなスタンスではないのかなと思います」

――リング上でぶつかってなにが生まれるか?

「そうです。現段階では全然わからないです」

――そこが楽しみでもありますよね。

「読めないからこそメチャクチャ楽しみです。ボクはどんなカードでも試合をするときは対戦相手を考えて、どんなことしようかなとか考えるのが当たり前なんです。でも今回は考えずに。だから逆に緊張していないですね」

――今大会でおこなわれるカードの中でもっとも予測ができないカードだと思いますが。

「ああ、確かに(笑)。2分くらいで終わるかもしれないし」

――あるいは正反対の激しい攻防が展開されるかもしれない。しかも逆にカシン選手を阿部選手が翻弄する可能性もあるのかなと。

「そう思われているのであればありがたいですね。そういうふうに思われる人でありたいと思います。コイツどういうことしてくれるんだろうと思われる選手になりたいというのは、自分のひとつのテーマなので」

――阿部選手は、カシン選手を相手にそういうことができる数少ない選手かなと思います。

「やりすぎくらいがちょうどいいって、ボクにとってはあとで怒られるときの保険みたいなもの、先に謝ってるみたいなものなんです(笑)。だから今回も先に謝っておくというか(笑)。(カシンとは)これが終わってからもそんなに会うこともないでしょうし。カシンさんだったらならないでしょうけど、たとえコラー!と怒られるようなことになったとしても12月17日を終えて18日になれば、いいかなって思っちゃうと思うんで。ボクの生涯キャリアを通してあったとしても、(カシン戦は)5回はないと思います、なので、いいかなって(笑)」

――だからこそ、数少ない貴重な機会かなとも思えます。

「そうです。こういうカードはすごいありがたいです。だからこそ、ふつうのことはしたくないですよね」

――この大会で阿部選手を初めて見るファンも多いかと思います。

「そういうのメッチャ好きなんです」

――そういうところでこそ爪痕を残したいと。

「そうです。元々が愛知県のよくわからないドインディーから出てきているので、初見の人たちに見られる感覚というのがすごい気持ちよかったのをおぼえているんですよ。初めてガリガリの坊主が全日本プロレスの後楽園に上がったときとか、『なんなのコイツ!?』と言われるあの感覚って何物にも代えがたいというか。いつもやってることであったとしてもどよめきが起こったりすると、そういうときの反応がすごく楽しいんですね。初見の人たちの前でやれるというのは、すごくうれしいです」

――阿部選手は身体も特別大きいわけでもないし、髪型とかコスチュームもふつうですからね。

「ふつうですよねえ」

――そこからの衝撃ですよね。

「確かに(笑)。そう言われるとありがたいです。どこにでもいる兄ちゃんじゃないですか」

――最初はそう見えますよね。その兄ちゃんがこんなにすごい動きをするんだとのインパクトを見る者に与える。しかも阿部選手は現在、大日本のBJW認定タッグ王者ですよね。

「ハイ、タッグのチャンピオンです。船木さんとやったとき(11・9神田)なんか、次の日がBASARAのシングルのタイトルマッチだったんですけど、前日に船木さんにやられてるんで、こんなチャンピオンいるのかな?みたいな(笑)」

――BJW認定タッグ王座は野村卓矢選手と組んで、ストロングスタイルプロレスでもおなじみの関本大介選手、佐藤耕平選手から奪ったんですよね。

「ハイ、取りました。両選手とも世界に通用する人たちだと思うので、自分も世界に通用する選手になりたい、そうなるべきだと思ってます。世界で誰が見てもすごいなと思われるような選手になりたいですね。新鮮味もある上で、出て当然だよなと思われる人になりたいです」

――なるほど、12・17の3日後(12・20)には“ツインタワーズ”石川修司&佐藤耕平組との(4度目の)防衛戦もあるそうですね。カシン戦は防衛戦の直前になります。

「ハイ。でも、ボクって先のことを考えない、その日はその日のことしか考えないので、べつに次があるからとか考えてやることは一度もないので、その試合(カシン戦)に集中したいと思います」

――ストロングスタイルプロレスのリングには2大会連続の参戦になりますが、カシン戦後も継続参戦を狙いますか。

「それはもう、オファーをいただけるならもちろん。こんな経験をさせてもらえるリングってなかなかないですから。参戦できるなら参戦したい。毎試合トライアウトというか、そういうことはどの試合にでも思っていることでもあり、ひとつもスベれない。この試合(カシン戦)も、もちろん試験だと思っているし、ハズせないと思っています。でも、カシンさんとの試合に関しては、ハズしたなと思うことすらも正解みたいな感じがありますね」

――確かにそうですね。いろんな見方ができますからね。

「全部が正解になるような気がして。だから逆に気構えがないんです」

――どんな闘いになっても正解だと。

「ハイ。この前の試合(11・9神田)だったらハズレと正解はあったと思うんですよ。たとえばボクが船木さんに脅えてしまったら」

――萎縮してしまったらと。

「ハイ。そうなったらハズレじゃないですか。でもそういうのってボクは絶対にないので。それでカシンさんに対してボクは一回も打撃を出さなくてもそれは正解になるし、逆になにもしなくても正解に見えると思うので、なんか不思議な感覚ですね」

――さまざまな解釈が可能な試合なので、それぞれの楽しみ方ができますね。

「ハイ。なにが正解だかボクにもわからないですけど。だから、やってみるしかないですよね」

 阿部本人も、カシンとの初遭遇でなにが起こるのかまったく予想がつかないという。と同時に、なにかやってくれるのではないかという期待はインタビューをしてさらにアップした。

カシンvs阿部は第4試合に組まれているが、もしかしたらセミやメインを食ってしまう可能性も。

たとえその反対だとしても、相当のインパクトを残すのではなかろうか。

いずれにしても「正解」は間違いのないカシンと阿部の一騎打ち。楽しみだ!

「初代タイガーマスク 佐山サトル ストロングスタイルプロレスVol.8」
■開催日時:2020年12月17日(木)開場:17時30分/試合開始:18時30分 
■会場:東京・後楽園ホール

▼第6試合メインイベント レジェンド選手権試合
〈王者〉藤田和之(はぐれIGFインターナショナル)vs〈挑戦者〉スーパー・タイガー(ストロングスタイルプロレス)
※第14代王者2度目の防衛戦。

▼第5試合セミファイナルスペシャルシングルマッチ60分1本勝負 船木誠勝35周年記念試合/アレクサンダー大塚25周年記念試合
船木誠勝(フリー)vsアレクサンダー大塚(AO/DC)

▼第4試合シングルマッチ30分1本勝負
ケンドー・カシン(はぐれIGFインターナショナル)vs阿部史典(プロレスリングBASARA)

▼第3試合スペシャルタッグマッチ30分1本勝負
Sareee(WWE Count Down)&世志琥(SEAdLINNNG)vsジャガー横田(ディアナ)&山下りな(フリー)

▼第2試合シングルマッチ30分1本勝負
佐藤耕平(フリー)vs岩崎孝樹(ガンバレ☆プロレス)

▼第1試合タッグマッチ30分1本勝負
スーパー・ライダー(ストロングスタイルプロレス)&間下隼人(ストロングスタイルプロレス)vs日高郁人(ショーンキャプチャー)&高岩竜一(フリー)

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