“特攻隊長”本間多恵が感じた世界のプロレス、異国のリングへの挑戦


(写真提供:CMLL


(写真提供:CMLL

 その後、世界が新型コロナウイルス禍に見舞われ、海外での活動は休止せざるを得なくなった。それでも22年10月、ようやく2度目のメキシコ遠征が実現した。こんどは前回の2会場に加えアレナ・コリセオ、プエブラを含む7大会、さらにローカルプロモーションの2大会にも参戦した。アレナ・メヒコでは「グランプリ」という女子のビッグマッチにも登場。メキシコvs多国籍軍の図式で、本間、清水、駿河メイが日本代表だ。

「グランプリはお祭りというか、オリンピックみたいな感じがありました。多国籍軍にはアメリカ人やチリ人もいて、すごく華やかでしたね。そのぶん、自分が埋もれてしまう危機感もあったりして、すごく楽しかったけど、すごく悔しい思いもしました。たとえば、やり切りたいと思ったところで自分を出し切れなかったり、思うようにいかなくて悔し泣きしましたね。勝ちたい気持ちが前回よりも明らかに大きくなっていました。そのぶん、以前より気持ちに余裕があったのかもしれませんけど。いずれにしても、うれしかったり悲しかったり、感情が鮮明に出た遠征でした」


(写真提供:KitsuneWomen’sWrestling)

 2度目のメキシコ遠征から一年後の昨年10月、こんどはアメリカで試合をするチャンスを得た。日本の女子プロレスをモチーフにした“キツネ”がロサンゼルスで旗揚げされ、日本人選手が大挙渡米。そのなかには本間も含まれており、彼女はウナギ・サヤカとともにメインのキツネ世界王座決定3WAYマッチに抜てきされた。タイトル奪取には至らなかったとはいえ、現地プロモーターの本間に対する期待の高さがうかがえたのだ。

「メキシコの次はアメリカで試合をしたいと強く思っていたので、オファーをいただいてとてもうれしかったです。しかも、新しい団体の新しいベルトでメイン。選んでいただけてすごく光栄でした。試合では日本人が多かったせいか、メキシコにくらべればあまりアウェー感はなかったですね。ただ、アメリカ人の選手からは自己主張の強さを感じました。自己プロデュース力がうまいというか、『私はこういう唯一無二のレスラーです!』という主張がすごい。自分を前に出す力が乏しいと(アメリカでは)生き残っていけないんだろうなと感じました」


(写真提供:ProWrestlingEVE)

 そして今年3月にはイギリスのEVEに遠征、ロンドンで2試合をおこなった。EVEはイギリスで唯一の女子プロモーション。現在WWEで活躍する多くの女子選手がこのリングを経由して世界のスーパースターとなった。ヨーロッパの女子選手にとって登竜門的リングと言っていいだろう。

「イギリスでは2試合して、両方とも第1試合のシングルマッチでした。プロモーターからは『第1試合とメインが大事だから』って言われたんですよ。それって日本でもよく言われますよね。『大事だから頼むよ』みたいに言われて、めちゃめちゃプレッシャーでした(笑)」

Pages 1 2 3 4

◆プロレスTODAY(LINEで友達追加)
友だち追加