映画で岩谷麻優を演じるつもりがレスラーに。さくらあや「プロレスは間違いからたどり着いた天職!」
本格派アクション女優をめざす決意を固めた彼女。しかし、こちらも現実は厳しかった。
「1年間養成所でいろいろやっていくんですけども、常にランクがついているような状態で、先生が名前を呼ぶ順番でもランクがわかってしまうんですね。しかもアクションって命にかかわることだから余計に厳しい。そんななかで周りがすごい人ばかりで、これでも真ん中よりは上だったんですけど、同期のトップに立ってやっと先輩たちと闘える。自分はやっぱり向いてないのかなと悩んだりしましたね」
1年間の成果を示す卒業公演が芸能事務所に入るためのオーディションにもなっていたというが、彼女に声はかからなかった。その結果、一度就職しようとなり、マーケティング系の会社でインターンとして働くようになった。とはいえ、芸能界の夢をあきらめたわけではない。働きながらチャンスをつかむ道を選んだのだ。
「事務所に入ることはあきらめて、単発でいいからCMでもドラマでも映画でもやっていこうと思いました。でもやっぱり、無所属で実績もないとなるとなかなか難しくて。なので、一日10件オーディションに応募すると決めて、いろいろ送っていたんですよね。そんななかで偶然見つけたのが『家出レスラー』のオーディションでした」
プロレスラー岩谷麻優の半生を描く映画『家出レスラー』。その岩谷を演じる女優のオーディションに彼女は応募した。プロレスに詳しいわけでもなく、岩谷の存在も知らないままで…。
「プロレスの映画? ってことは、アクションがあるから自分にもできるかなと思ったんですよね」
どうせやるなら主役の“家出レスラー”を演じたい。が、主演でなくてもいい。こうなったらどんな役でもいいからチャンスがほしい、と心境に変化が――。
そして彼女は、オーディション会場に足を運んだ。その場にいたのが、のちに同日デビューをすることになるHANAKO。「こんな大きい子も受けるんだな」というのが第一印象。2人だけの受験者を不思議と思うこともなく、言われたメニューをこなしていった。それはなぜか運動ばかりで、セリフを読むこともない。
「腕立て、腹筋、背筋、ライオン、スクワット、回転運動もやりました。適正テストなのかなと思いながらやってました」
結果は、2人とも合格。「2年ぶりの合格でうれしくなっちゃって」舞い上がった。すると、このあと試合があるから見てほしいと言われ、HANAKOとともに時間までカフェで待つことに。そのときHANAKOといろいろ話をしたのだが、なぜか、どうしても嚙み合わない。そこで気づいた。これは映画ではなく、プロレスラーのオーディションだったのだと!
「ホームページを見て『シンデレラ・オーディション』という方に応募したらしいんです。こっちはレスラーの方で、映画じゃなかった。終わってから気づいて、どうしようとパニックになりました」