【独占対談】里村明衣子とウナギ・サヤカが2.16後楽園決戦を前に赤裸々対談実現「女子プロレス入門とデビュー後の葛藤」

―― Q11 プロレス界に入った時の家族や友人の反応は?

里村)反対されました。

―― 具体的にはどのような感じ?

里村)「いやー、あんたには無理でしょう」みたいな。「危ないからせめて高校には行って」って言われましたね。多分親は新潟を出て、もし耐えられなくて帰ってきた時に、多分恥ずかしいっていう思いはあったと思いますね。
いろんなことを見込んでやめた方がいいよって言われました。

ウナギ)私はお父さんには言えなかったんですけど、お母さんとかはもう自分が決めたんだったらやりなさいみたいな、いいじゃん、いいじゃんみたいな人たちだったんで頑張ってね、みたいな。で、お父さんにもずっと言わずにいたんですけど、気づいたら(お父さんも)客席でめっちゃ楽しそうにしてました。

里村)家族って反対するけど、絶対プロレスにハマる。

ウナギ)絶対ハマる。絶対ハマる。

里村)やっぱお父さんとかお母さんがハマってる?

ウナギ)なんかきちゃう。鈴木みのると戦うよみたいなことを言ったら徳島まで来て。場外でボコボコにされてるとき、パッと顔上げて、「お父さんとお母さん、大丈夫かな」って思ったら、二人はめっちゃ楽しそうに「やれやれーっ」みたいな感じで。世代的にもプロレスを見て育ってきてる世代というか、テレビでもプロレスやってた時代の人たちだから、逆になんか受け入れられるっていうか。逆に見てますよね。その親世代の方が。

里村)うちも最初は反対してたのに、今は私よりもレスラーの名前を知ってるし、すごい詳しいから、本当好きなんだなって思いますね。

―― ちなみに親の反対をどうやって説得したんです?

里村)両親の目の前で毎日スクワット1000回黙々とやってましたね。もう「プロレスラーにならなきゃ死ぬ」みたいな、そんな覚悟で毎日やってました。

―― 諦めた?

里村)両親はもう諦めたみたいですね。

―― ちなみに女の子がプロレス界に入るっていうところに対しては、嫌がってる感じとかそういうのがあった?

里村)やっぱり危険な職業というのはすごいあったと思いますね。

―― お父さんに言えなかったというのは何か理由があるんです?

ウナギ)いいにくくないですか?名をあげないと意味ないんで。自分もアイドルとかやってたけど、すごい難しい世界なんで、何もできなくて。まあもう。いいかやっちゃえみたいな感じ。特に(父親には)、毎回何も報告しないでアイドルなんかもやってきてたんで、お父さんはいいかな、みたいな感じです。でも何か今はお父さんが一番楽しそうにしてます。

―― Q12 「下積み」はあった?

里村)下積みは長かったです。雑用はもちろんですけど、長与千種さんの付き人は7年就かせていただきました。私が入門してデビューしてチャンピオンになった時も付き人に付いてました。5年目でチャンピオンになったんですけど、それからもずっと付き人をしてました。というのは、若手が入ってもすぐ辞めるんですよ。私の後輩が入っても、入っては辞め、入っては辞めで。4、50人くらい辞めちゃって。下積みが卒業できないんですよね。ひたすらやってましたね。

―― 付き人時代はどういう生活を?

里村)もう常に長与さんの近くにいました。トイレに行かれた時は、練習してても、私もトイレに行って前に立って、長与さん出てくるのを待ってました。色々失敗しましたね。10回ぐらい付き人を降ろされてますね。大失敗して。

ウナギ)何をやったら降ろされるんですか?

里村)大阪大会の時に大阪に着いたら長与さんのガウン忘れてたとか。

ウナギ)最悪それは!

里村)メイク道具忘れたりとか。長与さんのカバンや財布も持たせていただいていたんですけど、長与さんが帰られる時にそれを渡すのを忘れて。長与さんが帰ってしまって、気づいたら財布が(自分の手元に)あったみたいな。その時は携帯電話もまだないので連絡も取れないんです。長与さんが家に帰らないと連絡取れなくて、みたいな。それでもう謝りに行ったりとか、許していただくまで、家の前でずっとひたすら待ってましたね。

ウナギ)下積みって何ですかね?それを聞いたら。分かんない。何だろう。何を下積みと捉えるのか。もちろん、先輩のコスチュームを洗濯したりとかはありますけど。

里村)今はもう後輩達にもちろんカバンは持たせないですし、スーツケースで運ばせることも絶対しないですし。私、一回も洗濯させたことないんですよ、自分のコスチューム。それぞれ、自分の仕事は自分でやるっていうのが、もう今の時代当たり前じゃないですか。でもね、やっぱ(後輩たちは)全然気が利かない。

ウナギ)怖い!上(の世代)からはそんなふうに言われてるってこと?

里村)そうそうそう。私、たまに忘れ物とかして、Tシャツ脱いだのをそのままパッと置いたりしてますけど、翌日(後輩が)みんないるのにそのままですからね。いや、せめてたたもうよ。

ウナギ)これは仙女がよくない。

里村)そうなんですよ。教えてやって。

ウナギ)それは仙女が良くない。その付き人制度もなくなって、今はないですよね。

里村)20年前から廃止にしてます。

ウナギ)トイレの前で待つとか、そういうのは全くなくなりましたね。

里村)(当時は)試合のことよりも先輩に怒られないように全て準備をしておかなきゃいけないという方が、頭の中で大きくなっちゃって、いつもビクビクしてるんですよ。これ抜けがないかな。あれ抜けてないかな、みたいな。恐怖心みたいなのがずっとありましたね。常に。

ウナギ)私は全くなかった。

里村)でもそれはほら、もう今、スマホでできますから。全部自分で調べられるし。

ウナギ)でもシンクロをしてた時とかはありますよ。多分。きっとあんまり覚えてないかもしれないです。下積んでないかもしれないですね。私自身が。

―― Q13 新人・若手の頃、一番つらかったことは?

里村)一番つらかったこと。いや忘れたな。全部。つらかったこと。でも、やっぱり楽しいことは経験してなかったなと思いますね。今から考えると。10代の時に、心から友達と遊んで楽しいって思ったことが一回もなかった。友達と会えなかったので、門限も8時でしたし。外部というか、プロレス以外の人とあんまり接触するなって言われてたので。だから本当に心から楽しいと思えたことって、自分でひとり旅に行ったりとか、何か舞台を見に行って心から楽しかったとか、そういうことしかないですね。あんまり誰かと一緒にワイワイやった覚えがあんまりないので。

―― どういう暮らしを?

里村)3年間、道場の掘っ立て小屋に住んでました。8畳の部屋に2段ベッドを4台置いて、ぎゅうぎゅうで3年間住んでましたね。

ウナギ)シンクロの合宿とかそんな感じでした。そんな毎日とかではないですけど。でも私って新人ではないですけど、キャリア5-6年ってそんなまだ。自分のこと、若手とよんでもいいですか?

里村)いやいやいやいや、若手ではないから。

ウナギ)3年くらいまで?

里村)今はそういうもう数での決め事みたいのもないな。全くないです。だからもう上にいったもの、売れたもの勝ちみたいなところはありますよね。

ウナギ)そうですね。

里村)そういうのが認められる時代になったから、すごくいいかなと思います。良かったこと。

ウナギ)逆に私は本当に大人になってからデビューしちゃってるんで、ノーテンキにここまでやってきたかもしれないです。本当にやりたいことしかやってないし、プロレス界でも。

―― デビューが30歳を過ぎてからというところで、苦労したことは?

ウナギ)ないです、全然。本当に申し訳ないですけど。ふわっとやりたいことだけ。

里村)全部プラスに変える力があるんですよね。

ウナギ)本当ですか?

里村)今を全部プラスに変えているから、もう過去のことどうでもいいんですよ。

ウナギ)そうかもしれないですよね。でもスターダムをクビになった時はつらかったですよ。

里村)そこじゃん。

ウナギ)それは確かにつらかったですけど。

―― お話しいただいていいですか?

ウナギ)クビになった時ですか?本当にわからないんですけど「もうここまでだ」みたいな感じで言われて、えー!みたいな。終わった、って思って。でも逆に言ったら、今まで自分ができなかったことをもう解放する、やってみるしかないわけじゃないですか。もう明日もないし。で、やり始めたら、もう本当に今こんな感じでドンって来れたので、結果としては本当にあれがなかったら今の私がないので、結果的につらかったけど、過程でしかないというか、つらいまま落ちていったら、つらいですけど。つらかったけど結局それがあったから上がってこれたっていうことがたくさんあるから、幸せになるための過程というか。だからそんなめっちゃつらかったみたいな話にはなってないんですよ。自分の中で。

―― ちなみにクビになってから変わったことってあります?

ウナギ)何だろう。でも何か一人になるとやっぱり周りの人が助けてくれないと進めないことが本当に多くて。それこそオファーをいただいて、いろんな団体に呼ばれてるからいいですけど、呼ばれなくなったら本当に終わりなんで。そういうありがたさとか、一つの興行をやるにしても、今までだったら、「何日にここ何時入り」みたいなのしかないから、そこにいって試合さえすればプロレスラーとして全然生きていけるんですけど。やっぱり今って自分で興行をやるために、この人呼んできて、あの人をオファーして、これやってもらって、あれ作ってみたいな、全部やるようになってから、興行一つだけでこんなしんどい思いしてるんだっていうのとかを体験して本当に感謝もあるし、自分が今まで携わってきてくれた人は全員幸せにしたいと思うし、そういう気持ち、向き合い方とかは全然変わりましたね。でも根は本当に何にも変わってないです。やっちゃえ、やっちゃえっていう。やっぱもうそれが私なんで、やらかしてナンボみたいなとこあるんで、やらかして自分が思いついたことでカバーできなくなったら終わりだなって思ってます。はい。

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