【新日本】ザックがモロニーとの16年越しの師弟対決が実現!最後は非情の関節地獄「お前ら全員、俺を超える日が来る。だが、今ではない」

新日本プロレスは8月8日、神奈川・横浜武道館にて“真夏の最強戦士決定戦”『G1 CLIMAX 35』第14戦を開催した。

『G1 CLIMAX 35』
日時:2025年8月8日 (金) 17:30開場18:30開始
会場:神奈川・横浜武道館
観衆:2,448人

セミファイナルのBブロック公式戦で、IWGP世界ヘビー級王者ザック・セイバーJr.とドリラ・モロニーによる、G1屈指のグラップリング名勝負が繰り広げられた。

16年越しの師弟対決というドラマチックな背景を持つ一戦は、壮絶な技術戦の末、師であるザックが非情のサブミッションで勝利を収めた。

13歳の少年だったモロニーが、当時すでに英国で名を馳せていたザックに教えを乞うた日から16年。ついにG1という最高の舞台で実現した初シングルは、その長い歴史を確かめ合うかのような、緻密でハイレベルなレスリングの攻防で幕を開けた。

序盤からリング上は、まるで人間チェスのような空間と化した。リストの奪い合い、ヘッドシザースの切り返し、そして互いに倒立して相手の技から脱出するなど、一瞬も目が離せないグラウンドの応酬が続く。それは、互いの動きを知り尽くした者同士にしか描けない、芸術の域に達したレスリングであった。

中盤、戦いは打撃とパワーの応酬へと移行。モロニーが払い腰や強烈な逆水平チョップで攻め立てれば、ザックも的確なエルボースマッシュで応戦。モロニーが必殺のドリル・ア・ホール・パイルドライバーやザ・ゴアで王者を追い詰め、成長の証を見せつける。

しかし、王者の牙城はあまりにも高く、厚かった。モロニーの猛攻を驚異的な技術で切り抜けたザックは、ザックドライバーで反撃。最後は、モロニーの必殺のザ・ゴアを空中で捕獲するという離れ業を見せると、そこからオモプラッタ、三角絞め、そして腕ひしぎ逆十字固めという変幻自在のサブミッションで、愛弟子の夢を打ち砕いた。

<試合結果>

▼第7試合 30分1本勝負 
『G1 CLIMAX 35』Bブロック公式戦
ザック・セイバーJr. 〇(6勝2敗=12点)
vs
ドリラ・モロニー ×(4勝4敗=8点)
14分01秒 腕ひしぎ逆十字固め

 

■試合後バックステージコメント

この一戦の背景には、知られざる物語があった。

モロニー「これまでの試合でダメになってなかったとしても、この試合で確実にやられたな。……ザック、俺が13歳の時、お前に会った。自宅から車で20分のところだった。母さんに『誕生日には何がほしい?』って聞かれて、『1人いるんだ、20代前半の男で、国で一番強いヤツが。車なんていらない。ケーキなんていらない。だから2時間だけそこへ連れて行ってくれ。その男が俺に何を教えてくれるか、見てみようじゃないか』って言ったのさ。
そいつはたった2時間で、人によっては一生かけて習う以上のことを教えてくれた。今の俺より何歳か年下の男がさ。それから1度もそいつとは対戦できなかった。俺がどんなふうに成長したか、見せられなかった。その代わり、俺はイングランドに戻り、厳しい時も良い時もあったが、ブリティッシュ・レスリングの重みを肩に背負った。
一方でザックはここにいて、次のレベル、次のレベル、さらにその次のレベルへと進んでいった。ザック、そして今、俺はここにいるんだ、クソッタレ。俺から2ポイント取ったな。欲しかったものを奪い取ったってわけだ。俺の残された力もな。だが、お前にひとつだけ絶対にわかってほしいことがある。お前ともう1度、2度、いや10度やり合うことになろうとも、俺が始めたことを認めろ……!」

だが、この日の物語は、まだ終わらない。バックステージで、師への想いを語るモロニーの元へ、ザック本人が姿を現したのである。

ザック「(※どうやらコメントスペースのパーテーションの向こう側でモロニーのコメントを聞いていたようで、遠くから)聞こえてるよ」

モロニー「は? アイツ聞き耳立てやがって」

ザック「聞こえてるよ」

モロニー「地獄耳か?」

ザック「俺はシャワーを浴びたいんだ。(※と言いながらコメントスペースに入って来る。モロニーの正面に立ちはだかって)お前がどんな経験をしてきたか、俺はわかってる。俺はお前の腕を壊そうとしたんだ。俺たちは技巧派のよきライバル関係を築いていたというのに、誰が誰を頭から落としたんだか……」

モロニー「へへ(※と笑いながら自身を指す)」

ザック「そうだな。素晴らしきフェアプレーだ。俺は何人かを戦線離脱させた」

モロニー「いや、それは違うだろ」

ザック「ああ、その表現はやめる。これはプロフェッショナル・レスリングだからな。今ここで起きているのがプロフェッショナル・レスリングで、お前はチャンピオンをあと少しで倒すところだった。お前の頭の中がどうなってるのかわからんが、俺はお前を認めない。お前が13歳のときから知っている。この4、5年、俺がここにいた間、お前はブリティッシュ・レスリングを引っ張ってきた。感謝を示すよ。お前がやってきたことすべてを認める。
だが今は、むしろその日を楽しみにしているんだ。いつか近いうちに、お前ら全員、俺を超える日が来る。その日が来ることは避けられない。だが、それは今ではない。だがその日が来ることを俺は楽しみにしてる。近いうちに再戦だ。で、それでもまだ言い足りないか? (※モロニーがニヤリとするのを見て)ちょっとビールでもどうだ?」

モロニー「ああ。(※ザックの腕を軽く叩いて)シャワーに行ってきな。(※ザックが差し出した手を握って握手。ザックは先に控室へ)……(※無言でザックの後ろ姿を見送って、なにやら納得したように軽くうなずきながら)フム……」

その言葉は、勝者から敗者へ、そして師から弟子へと送られる、最大限のリスペクトと愛に満ちていた。

この勝利で6勝目を挙げ、Bブロック単独首位に立ったザック。しかし、この日の横浜のリングで生まれたのは、単なる勝ち点2以上の、プロレスという名の美しくも過酷な、師弟の物語であった。

<写真提供:新日本プロレス>

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