猫と酒をこよなく愛する“鬼武者”佐藤耕平。その男、「おじさん」にして「怪物」なり


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■「龍魂杯」制覇へ。天龍に捧ぐ、反逆の闘争心

そして今、放浪を続けた鬼武者は、一つのリングに、そのどっしりとした腰を据えている。

天龍源一郎の魂が、今もなお熱く燃え盛る場所、「天龍プロジェクト」である。

なぜ、佐藤耕平は、このリングを選んだのか。

天龍源一郎もまた、団体のエースという約束された地位を捨て、自らの信じるプロレスを求め、荒波へと漕ぎ出した、「反逆の英雄」であった。

その「天龍イズム」に、現代の「鬼武者」が共鳴するのは、必然であったのかもしれない。


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「ミスター・プロレス」と呼ばれた男が、そのキャリアの全てを懸けてファンに伝えたかったのは、小手先の技術ではない。

「怒り」「意地」「覚悟」といった、人間の剥き出しの感情であった。


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その「天龍イズム」、その「反逆の魂」に、現代において強く共鳴しているのが、天龍プロジェクトに集いしレスラー達、そして佐藤耕平なのではないだろうか。

佐藤のエルボーには、相手を倒すという技術と共に、己の魂を叩き込むかのような、重い「感情」が乗っている。

その無表情の裏には、誰よりも熱く、激しいプロレスへの情念が渦巻いている。


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天龍プロジェクトのリングにおいて、佐藤は若き挑戦者たちの、あまりにも高く、分厚い「壁」として君臨している。

その壁を打ち破らんと、若獅子たちは牙を剥く。だが、佐藤は、その全てを真正面から受け止めた上で、さらに強烈な一撃で、その挑戦を跳ね返す。


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それは、佐藤が、天龍源一郎から受け継いだ「反逆の魂」を、次の世代へと、自らの肉体を通して伝承しようとする、神聖な儀式でもあるのだ。

佐藤耕平は、まもなく50歳という年齢を迎えようとしている。しかし、その強さに、衰えは一切見えない。


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そして佐藤には新たなる戦場が目前に迫っている。11月24日、新木場1stRING。「史上最も過酷」と銘打たれた『龍魂杯2025』である。

5回目の開催にして、参加者16名全員が『龍魂杯』出場経験者。

まさに猛者揃い。優勝するためには、15分1本勝負の1回戦から始まり、1日に最大4試合を勝ち抜かなければならないという、まさに地獄の1DAYトーナメント。

5年連続5度目の出場となるベテランの佐藤にとって、その過酷さは骨身に染みているはずだ。

佐藤は会見で、 「この出場メンバーの中では1回戦では一番当たりたくないなと思う選手となってしまいまして、とても不安ですが、出るからには優勝したいと思うので、とりあえず頑張ります」

あの無表情な鬼武者が「不安」と口にする。1DAYトーナメントという形式の恐ろしさを、誰よりも知り尽くしている証拠である。

「おじさん」は、今日もリングで「鬼武者」となり、そして、家に帰れば酒を飲みながら「猫ちゃん」を愛でる。

その反逆の鬼武者が歩む道は、まだ、終わらない。我々ファンは、この稀代の武人が、その生き様を、どこまで貫き通すのか。

その覚悟を、目撃者として噛み締めていきたい。

<写真提供:伊藤ミチタカ氏>

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