【優宇選手インタビュー】東京プリンセスカップに挑む。価値ある一敗を糧に、理想のチャンピオンを目指す!

デビュー以来無敗のまま、第三回東京プリンセスカップを優勝し、TOKYOプリンセス・オブ・プリンセス第二代王者に輝いた、東京女子プロレスの「ドラマティック・ドリーム・ファイター」優宇選手。彼女が喫した最初の敗北は、チャンピオンとしてのあるべき姿を考える、またとない機会となった。
プロレスとの出会いから故・木村浩一郎選手への思い、そして東京プリンセスカップへの思いについて、優宇選手からお話を伺った。

<価値ある一敗を乗り越えて>

――7月2日から始まる東京プリンセスカップについて、前年度チャンピオンとしての意気込みをお願いします!

優宇:トーナメントなので、目指すところは一番ですけど、去年と違うのは、去年はデビューしてはじめて迎える夏、はじめて迎えるトーナメントだったんですけど、今回は二度目ということ。そして大きく違うのは、6月4日まで持っていたベルトを坂崎(ユカ)さんに取られて、そこではじめて負けたことです。

――坂崎さんは不思議な動きをしますよね。

優宇:私には絶対できないような、坂崎さんにしかできない動きをするので。

――気迫を感じましたか?

優宇:感じました。修行から帰ってきて、「勝ちたい」というのもあるんですけど、「勝たなくちゃいけない」という覚悟を強く感じました。

――見ているほうも、覚悟を決めているということがわかります。ただ、優宇さんも連勝街道を突っ走ってきて、覚悟を決めたチャレンジャーをことごとく打ち払ってきた。そこがすごいと思うんです。優宇さんはハートも強いんですか?

優宇:強いとか、あまり思ったことがなかったです。

――プレッシャーも感じませんか?

優宇:プレッシャーは、逆になくなったと思います。今までは負けてなかったけど、これからの方がプレッシャーがあるじゃないかと思います。

――一回負けたことによって、どうやって立て直してゆくか……

優宇:今までは「負けなしだよね」、「無敗のチャンピオンだよね」「無敗だからプレッシャーが大変でしょ」と言われていたけど、周りの方が思っているほど、私は無敗にこだわっていなかったんです。負けられないというより、この試合に勝ちたいから、一個ずつ勝っている。勝ちたいと思っていたことが、偶然無敗につながっていただけなんです。一度負けたことは、私の中でも一番の分岐点になりました。

――堂々とリングに立っていて、一発の破壊力が凄い。説得力がありますよね。

優宇:ありがとうございます。そう言われてうれしいですね。

――リング上の姿が絵になっています。センダイガールズプロレスリングの橋本千紘選手と同じようなポテンシャルを持った人だなと思いました。彼女はアマレスから上がってきて、もちろん最初は負けていたけど、あっという間にチャンピオンになりました。

優宇:私は東京女子プロレスの中では体格が大きい方です。背は大きくなくても、柔道をやっていたので厚みがあって、体格がいいんです。あとは脂肪が多いのもあると思うんですけど、大きいだけというのは嫌で、坂口道場さんに通って、総合格闘技や柔術の練習をしながら、自分の動きやすい体重を整えたり、体づくりも一緒にやっています。ただ大きいだけじゃなくて、筋肉もちゃんとつけて、トレーニングをして大きくなって、技の切れも磨く。それが自分の中では必要なんだなと感じています。

<ビアガーデンの出会い。DDTに一目惚れ>

――プロレスラーになるきっかけは、強さを求めていた?

優宇:強くなりたかったです。

――そのきっかけは?

優宇:小学校の頃は、人前に出るのが恥ずかしすぎて、国語の教科書を音読するのもできなかった。自分の番が来ても、恥ずかしくて立って話せない子だったんです。今は、小学校の同級生と話すと「変わったよね」といわれます。根本的なものは変わらないんですけど、人前に出る時の自信が変わりました。

――プロレスを始めて変わったんですね。

優宇:もともとは、人と争うのが好きじゃなかったんです。木村浩一郎さんからも「お前は人との争いごとには向いていない」と言われていました。

――優宇さんは笑顔も素敵ですし、人がよさそうなイメージを感じます。勝負になると途端に顔が変わりますね。

優宇:負けず嫌いなんです。総合格闘技で絞められても、落ちるぎりぎりまではタップしたくないんです。「どうせ逃げられないからタップしろ」と言われるけど、できるだけ、どこか抜け道ないかなと思いながら耐えています。意識が飛びそうになって、一回死にそうになりました。その時の帰り道に、「私、意外と負けず嫌いなのかもしれない」と思いました。最近のことです。

――はじめてプロレスを見たのはいつごろですか?

優宇:小学校のころに、DDTプロレスが、家の近くでビアガーデンプロレスをやっていて、そこでいろんな選手の試合を見ていました。その頃は柔道もやってなくて、習っていたのはピアノと公文。初めて言うかもしれませんけど、私ピアノ弾けるんですよ(笑)

――これはDDTでネタにされるかもしれません(笑)

優宇:オフレコでお願いします(笑)

――ビアガーデンプロレスは両親に連れられて?

優宇:小学生は無料で入れたので、夏休み中に妹が、同級生の家族についていって見てきたんです。帰ってきて、「お姉ちゃん、凄い面白かったよ」と言われて、自分でも見に行きました。父も母もプロレス世代で、小さいころからプロレスを見ていて、もともとプロレスが大好きだったんですよ。特にお母さんは、女子プロレスが大好きでした。

――女子プロレス選手は、お母さんが女子プロレス好きだった人が多いですね。プロレスラーになるって言ったときの反応は?

優宇:それはまた別の話で(笑)

――確かに娘さんが言うとなると……。

優宇:そんなこと言うようなタイプの子ではなかったと、父も母も思っていましたから。

――何歳のころですか?

優宇:小学五年生の時にDDTを見て「私、このリングに上がりたい」って思って、高木さんに「私、DDTのレスラーになりたいので、プロレスラーになるために入団させてください、練習生にさせてください」って伝えたんです。そのころは(マッスル)坂井さんや石川修司さんが練習生で、私もいっしょにやりたかった。自分が小さかったこともあったんですけど、ビアガーデンプロレスはリングにだけスポットライトが当たっていて、その中で戦っているプロレスラーがキラキラして見えて、全然知らない世界がこんなところにあったんだ、めちゃくちゃかっこいいと思ったら、自分を投影してしまって。プロレスラーになりたいと思って高木さんに言ったら、近くにいたお母さんも笑って、高木さんも「でもねー、まだ未成年だから、お母さんもだけど、お父さんのご了承が必要だからね……」って。

――やんわりと。

優宇:親の承諾が必要でしょ?って、今思うと、笑って流すかのように言ったんだと思うんですが、私の中では、「お母さんはたぶんOKだから、お父さんにOKしてもらえたらプロレスラーになる一歩が踏み出せるんだ」だと、何の疑いもなく思いました。そのまま家に帰って、カレーを食べながら、お父さんに「私、プロレスラーになることに決めたから。高木さんが、パパのOKもらったら、プロレスラーになっていいって」って話したら、もうめちゃくちゃ怒られました(笑)

――小学校五年生で(笑)

優宇:小学生だからやっちゃいけないとか、なれないとか、そういうことは考えませんでした。

――憧れの存在を目の当たりにして、なりたい自分が勝った。

優宇:なりたいし、なってる自分をいっぱい想像してしまったんです。それに、近所にプロレスが来ていたから、周りがプロレスブームだったんです。学校でも、プロレスごっこを男子とやっているのを見たり、HARASHIMAさんがヒーローだったので、ヒーローポーズをクラスで流行らせたりしました。

――当時好きな選手は?

優宇:この選手が好きというのは特になくて、プロレスそのものが大好きでした。小学生が見に来ているのは私と妹くらいだったので、選手たちが遊んでくれたんです。漢字ドリルと計算ドリルを持ってきて、プロレスが始まるまで勉強していたんですよ。終わらないとプロレスに行っちゃだめと言われてたので。リング調整をしている大家(健)さんに、わからないところを教えてもらったりもしました。そういうのがあったので、DDTが本当に大好きだったんです。

――ほかの団体は?

優宇:DDTだけはずっと見ていたんですが、そのあとはインディーを。大日本プロレスさん、ゼロワンさん、666さんとか……

――コアなところを。

優宇:あとは、上総一ノ宮で猪熊さんがやっていた団体(SPWF・スーパープロレスリング連盟)とか……

――新日・全日・ノアは見ていましたか?

優宇:基本的にサムライTVしか見ていないんです。でも、中邑真輔さんがベルトを獲ったときの試合は、「え、最年少でベルト獲ってる!」って、あの試合は何回も見ました。

――プロレスに対して、ものすごくキラキラ感じるものがあった。

優宇:それしかなかったんだと思います。ピアノもすぐ辞めました(笑) そこでお父さんに怒られて、「プロレスラーになるくらいなら親子の縁を切る」って言われました。今でも覚えてます。それで、「じゃあ、わかった、今までありがとうございました」って、私は小学五年生で親子の縁を切ることを決めたんです。それくらいプロレスラーになりたくて、許してくれないなら縁を切るしかないんだな思って、悲しいけどしょうがない。

<次ページ:柔道との出会い。チャンピオンとして、負けたからこそ学んだこと>

山口 義徳(プロレスTODAY総監督)
『プロレスTODAY』総監督。
その素顔は運営会社(株)リアルクロス代表取締役社長。
プロレスTODAYの企画・進行・管理を行い、会場ではカメラマンも兼務。
またプロレスとビジネスの融合を行い、会場でのクライアントとのタイアップも実施。

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