【スターダム】王者・上谷沙弥の“戦慄”負傷中断、岡田太郎社長が経緯説明「全責任は団体に」ドクター、レフェリー連携の舞台裏を明かす

女子プロレス団体スターダムの岡田太郎社長は9日、2月7日の大阪大会メインイベントで発生したワールド・オブ・スターダム選手権試合における「試合中断・処置・再開」の裁定について、公式声明を発表した。  

試合は王者・上谷沙弥が挑戦者スターライト・キッドを下し防衛を果たしたが、試合途中に上谷が負傷し、レフェリーが時計を止めてドクターとトレーナーがリングインするという緊急事態が発生していた。

岡田社長は「全責任は団体にある」と明言した上で、現場での緊迫した判断プロセスを詳細に説明した。

■「脱臼」の緊急処置…レフェリーが下した“静止”の判断  

事態が動いたのは試合中盤だった。上谷の異変に気づいた村山大値レフェリーが即座に試合の時計を止めた。  

岡田社長の説明によると、上谷の負傷箇所は「脱臼」だったという。  

プロレスにおけるレフェリーの権限は絶対であり、時には選手生命、あるいは命そのものにかかわる判断を迫られる。

今回、村山レフェリーがタイムストップをかけた背景には、負傷の程度が即座に試合を終了させる(選手生命に直結する)ものではないという瞬時の判断があった。  

同時に、そこには過去の“亡霊”もちらついていた。

岡田社長は「過去の事例(2024年の両国大会での虚偽の負傷を利用した勝利)を再発させないための判断でもありました」と、かつての“三味線(フェイク)疑惑”が脳裏をよぎったことを示唆した。

■疑心暗鬼のリング上、キッドは「前もこんなことあっただろ」  

中断中、リング上は異様な空気に包まれた。  

挑戦者のスターライト・キッドは、うずくまる王者に対し「前もこんなことあっただろ」と指摘。

これが上谷の作戦である可能性を捨てきれず、一切気を抜かずに臨戦態勢を解かなかった。

実際、処置を終えた上谷は、レフェリーの再開宣言中、ゴングを待たずに奇襲攻撃を仕掛けた。

しかし、キッドはこれに見事に対応。その後も一進一退の攻防が続き、結果的に試合は成立した。

■開示された「判断プロセス」…ドクターはGOサイン  

岡田社長は透明性を高めるため、タイムストップから再開までの詳細なやり取りを開示した。

異変感知と中断: 上谷の異変に気づいた村山レフェリーが状況を確認し、タイムストップ。

医療班の招集: すぐさまドクターとトレーナーを現場に呼び込むよう、本部席とセコンドへ指示。

処置と意思確認: ドクターとトレーナーが脱臼の処置を行う。

ドクターは「選手生命に直結する事象」ではないと判断(※生命に関わる場合は本人の意思に関わらずストップさせる)。その上で本人へ意思確認を行い、試合続行可能と判断。

再開: 試合責任者である村山レフェリーが続行を決定。大会責任者の岡田社長へ共有後、観客への説明を経て再開。

今回の大阪大会では、普段から選手の状態を把握している東京のメインドクターは不在だった。

しかし、日頃からの情報共有と連携により、「判断基準が個人に依存するものではなく、組織で判断できる体制になっていた」と岡田社長は胸を張った。  

また、この迅速な連携には、先日行われた『日本プロレスリング連盟(UJPW)』での講習会の成果も大きく影響したという。

■「全責任は団体にある」  

結果として試合は続行され、上谷が勝利したが、一歩間違えば大事故につながりかねない場面だった。  

岡田社長は「レフェリーをはじめ現場にかかわる人間の負担は大きい」とスタッフを労いつつ、「改めてその責任を重く受け止め、今後も選手が安心してそのパフォーマンスを発揮し、ファンのみなさまが熱くなるようなリングをつくっていく努力を惜しまない」と結んだ。

進化する選手の技術に対し、運営側も安全管理体制のアップデートを迫られている。

今回の「大阪の夜の決断」は、業界全体にとっても大きなケーススタディとなりそうだ。

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