【新日本】王者・辻陽太の親会社への“直訴”マイクが波紋…後藤洋央紀の苦言やオーカーンの辛辣反論でSNSは議論百出、賛否の嵐に

新日本プロレスの激動を象徴する夜となった。2月11日、大阪府立体育会館(エディオンアリーナ大阪)で開催された『THE NEW BEGINNING in OSAKA』のメインイベント。

IWGPヘビー級王者の辻陽太が、難敵ジェイク・リーを退け初防衛に成功した。

試合後の熱気冷めやらぬリング上で、王者の口から飛び出したのは会社に対する痛烈な叫び、そして新天地へ旅立つ高橋ヒロムへの熱いエールであった。

■「このリングは自分の人生を表現する場所」

挑戦者を完全に沈め、ヤングライオンに引きずられて退場するジェイク・リーに「お前がこの後どうなっていくのか、楽しみに見守っててやるよ」と言葉を投げかけた辻陽太は、真剣な眼差しでマイクを握り直した。その矛先は、対戦相手ではなく、新日本プロレスの親会社であるブシロードへと向けられた。

「正直言うと、ここで言うべきことではないかもしれない。俺はこの団体を守る責任がある。俺がチャンピオンだから、今ここで俺は覚悟を決める。オイ、ブシロード!俺たちレスラーはな、カードゲームのカードじゃねぇんだよ。俺たちはな、このリングで命を懸けて闘ってるんだ。このベルトの重みが分かるか?このベルトはな、ここで闘う全レスラーの覚悟と命の代償なんだ。このリングは、俺たちレスラーが自分の人生を表現する場所なんだ」

会場に響き渡ったのは、リング上で命を削る者としての誇りと、新日本プロレスという場所に対する並々ならぬ愛情ゆえの言葉だ。

「俺はこの団体が好きだ。新日本が好きなんだ。ライオンマークを堂々と掲げていたいんだよ。俺が守るこのベルトも、このリングも、そしてこの新日本プロレスも。だから、だから、同じ方向を向いてくれ。この団体をもっと強く、もっとデカくするために一緒に歩いてこうぜ」

さらに辻陽太は、ファンと全レスラーに向けて「この先の未来は俺が作るんじゃない。“俺たち”で作るんだ。今日ここにいるみんな、そしてこの新日本プロレスのレスラーみんな全員で、この新日本プロレスを作っていくんだ。覚悟は…いいか?」と呼びかけ、会場から割れんばかりの大歓声を浴びた。

 

■波紋を呼ぶ王者の直訴、ベテラン後藤洋央紀の苦言とファンの賛否

会場のファンはこの王者の魂の叫びに熱狂し、SNS上でもただちに「よく言ってくれた」「王者の覚悟を感じた」と賛同する声が多数上がった。

しかし一方で、ビッグマッチのメインイベント勝利後という、本来であれば大会の余韻をファンと分かち合い、綺麗に締めるべきタイミングでの「会社への異議申し立て」とも取れる発言には、波紋も広がっている。

本隊のベテランであり、この日の第3試合でNEVER無差別級6人タッグ王座の防衛を果たした後藤洋央紀は、大会後に自身のX(旧Twitter)を更新。辻の異例のマイクアピールに対し、「最後を締めるべき人間がリング上で言うべき事ではない」と投稿した。長年、リングの尊厳を重んじてきたベテランの立場から、「発言の場所とタイミング」について真っ向から苦言を呈した形だ。

この後藤の苦言をめぐり、ファンの間でも大激論が巻き起こっている。

後藤の意見に同意するファンからは「メディア取材等ではなくリング上マイクだったのは残念」「僕が見たいのはプロレスラー同士のイデオロギー闘争であり、会社との闘争ではない」「せっかくの激闘の興奮が半減した」「公の場で言わなくてはいけないほどの状況なのかと心配になる。後藤さんたちベテランが支えてあげて」と、リング上でのビジネス的な発言を危惧する声が挙がった。また、「もうIWGPにふさわしいのは後藤さんしかおりません。取り返して下さい」と、後藤への期待を寄せる声も見られた。

一方で、辻を擁護し、後藤の苦言に厳しい指摘を返すファンも少なくない。

「リング上で発言するからこそプロレスは面白い」「覚悟を決めた発言。締める締めないは関係ない」「内藤選手に薫陶を受けている辻選手だからこそ言える発言」とマイクを肯定する意見や、「Xではなく直接伝えてください」「後藤さんを含めたベテランが、裏で若手にこの発言をする必要がないようにしておくべき」と、ベテラン側の責任を問う声も上がった。

 

■オーカーンが辛辣な反論「命を安売りするな」

さらに、UNITED EMPIREを牽引するグレート-O-カーンも自身のXで、辻の発言の根本的な部分に噛み付いた。

「プロレスがカードゲームより利益になってない…『愛してる』『背負う』とたぶらかし同じプロレスオタクから金を騙し取らにゃ稼げぬ事業よりよっぽど優秀なコンテンツと親会社じゃぞ」

親会社であるブシロードの本業(カードゲーム事業)がもたらす利益というシビアな現実を突きつけ、王者の“カードゲーム発言”をチクリと刺すと、さらに語気を強めて連続でポストした。

「『命かけて闘ってる』類の言葉が嫌いじゃ 命削っても金にならんから契約保留したり、退団したり、耳障りの良い言葉に頼って目先の人気を得ようとする奴らがおる 命を安売りするな」

「命を懸けている」という言葉を美辞麗句として使い、ファンの歓心を買うような姿勢を痛烈に批判。プロとして稼ぐことの重要性と、選手の相次ぐ退団といったシビアな状況を直視した、オーカーンならではの冷徹かつ重い反論であった。

 

■エンタメへの昇華か、イデオロギー闘争か

このオーカーンの発言に対しても、「親会社を背負ってチャンピオンに挑んでほしい」「シンプルにカードゲームの方が何倍も売上があるのだから、デカい顔をしていい話ではない」と賛同する声がある一方で、「カードゲームを貶めているのではなく、将棋の駒のように扱われることへの例えだ」「社畜になるより余程いい」「AEWなどと比べての待遇への危機感からの新日愛」と辻を擁護する声や、現状の経営体制に疑問を呈する声など、ファンの意見は真っ二つに割れている。

「対立軸にして利用し、エンタメとして壮大なオペラを演出してほしい」「選手とスタッフと観客がある種の共犯者になって、大きなムーブメントを起こせればいい」と、このリング外での騒動すらもプロレスというエンターテインメントの一部として昇華されることを期待するファンもいる。

IWGPヘビー級王者としての強い責任感と愛情ゆえに発せられた、辻陽太の劇薬とも言える直訴マイク。

それは親会社だけでなく、同じリングで闘うレスラーたち、そして新日本プロレスを愛し、憂うファンの間にも、巨大な波紋を広げ続けている。

この主義主張のぶつかり合いが、今後リング上でどのような闘いへと繋がっていくのか。新日本プロレスの熱は、試合が終わった後も冷める気配はない。

<写真提供:新日本プロレス>

◆プロレスTODAY(LINEで友達追加)
友だち追加