【新日本】ケニー・オメガ、棚橋弘至のイデオロギー闘争!棚橋「ケニーのプロレスには“品がない”」ケニー「レジェンドが最後の最後に崩れ落ちるところを見せたい」

新日本プロレスは9日、東京・信濃町にある明治記念館にて、来年1月4日(金)東京ドームにて開催される年間最大のビッグマッチ『WRESTLE KINGDOM 13 in 東京ドーム』の記者会見を行った。

会見には、昨日に行われた両国国技館大会のメインで、IWGPヘビー級選手権にて挑戦者の飯伏幸太、Codyとの3WAYマッチを制し防衛したケニー・オメガ。そしてジェイ・ホワイトとの東京ドーム・IWGPヘビー級王座挑戦権利証争奪戦に勝利した棚橋弘至が出席した。

冒頭、新日本プロレスの菅林会長より、東京ドーム大会についての決定事項として<王者>ケニー・オメガvs<挑戦者>棚橋弘至のIWGPヘビー級選手権試合、テーマ曲がレゲエパンクバンドの『SiM』がWRESTLE KINGDOM 13の為に書き下ろした楽曲が決定した点、そしてドーム大会のキャッチフレーズが『プロレス!冬フェス!イッテンヨン!!』に決定した事が発表された。

その後に、両選手が登場し、心境や抱負などを語った。

棚橋弘至 コメント
「久しぶりに東京ドームのメインに帰って来ました棚橋です。まだあまり考えがまとまってないので、言葉足らずな部分があったら、このあとの質疑応答で聞いて下さい。プロレスに対して、盛り上がって、楽しんでもらって、最終的になんとか勝てばいいじゃんっていう風に思ってずっとやってて、それは表面的に見たら、ケニーと近い部分もあるのかなと思ったんですけど、昨日のメインを見た感想、ビジュアル、運動能力、全てにおいて、3選手とも隙がなく素晴らしかったんですけども、試合終わってから「そういえばこれ、IWGPのタイトルマッチだったね」という印象かなと。IWGPの権威、IWGPの扱い、IWGPのベルトは、アクセサリーじゃないから。それに、ずっとモヤモヤしてたことがあって、昨日の試合に関して言えば、飯伏もCodyも仲間で、シェイクハンドから始まって、で、激しい攻防があった。けど、その攻防の中で、握手で始まってるのにテーブルとか使う必要があんのかな?と。試合の中で、いくつもの「Why」、なぜ?なんで?なんで仲間同士で使う必要があんの??みたいな。俺はプロレスっていうものを広めたいと思ってずっとやって来て、それは初めてプロレスを見た人が疑問に思うところがあってはいけない。ケニーは世界的に評価されてるし、どんどんプロレスを好きになってくれる人も増えてるけど、戦い方が非常に初めて見る人には理解できない部分が多い。「Why」が多い。というのが僕の意見です。まあ、コンディションから言えば、ケニーとは雲泥の差があるのは分かってますけども、それでも俺はなんとかします。東京ドーム、今まで何回も出て来ましたが、最高のコンディションで、絶対にリングに上がって、必ずベルトをもう1度巻きます」

ケニー・オメガ コメント
「今この瞬間、この記者会見の場に立っている2人が、デジャブーのように感じられる。“既視感”がとてもある。それもそのはず、2016年、俺たち2人は歴史を作ろうとしていた。ところが、残念ながらお前がケガをしてしまった。人間というのはモロいもので、ケガというのは必ずつきものだ。しかし、そこから数年経って驚くべきことに、今年に入ってお前はまた東京ドームのメインイベントに立つというその役割を担うためにここに戻って来た。疑いなども全て押しのけて、権利証を『G1(優勝)』で獲得してみせた。IWGPヘビー級チャンピオンと対戦するために。それは素晴らしいことだと思う。しかし、大阪城ホールでこのベルトを獲って、今この団体を引っ張っているのは誰か、というのを考えて欲しい。もちろんお前は、この団体の暗黒期を乗り越えて、新日本プロレスを支えて来た張本人かもしれない。でも、現在この団体を引っ張り、使えない若手のプロレスラーたちに、しっかり給料が支払われるように尽力しているのは誰か、ということを考えてみて欲しい。それはお前じゃない。昔からの伝統を引き継ぎ、日本のプロレスというものをしっかりと牽引していたかもしれないが、それでは世界は変えられないんだ。ここで対戦が決まったが、それはお前が勝つためでもないし、ファンがいまお前に対して声援を送ってくれているのは、明らかに明るいものではない。あれは祈りにも似た声援である。みんな、お前がリングに立つと、不安で、心配で、リングの中で死にはしないかと、死なないでくれ、という応援、そして祈りのためにあの声をあげているんだ。しかし、東京ドームのメインイベントでは、俺は一切、お前に情けをかけることはしない。あの場でプロレスのイデオロギー、そしてお前の考えなどは置いておき、全力でお前を倒しに行く。ここで大切なのは、お前がメインイベントのリングに立てるのは、俺のおかげであるということ。今の新日本プロレスがあるのは、棚橋、お前のおかげかもしれないが、いま現在この団体を引っ張っているのは俺であり、そして俺にくっついて来てくれた外国人選手たち。彼らは俺に対して感謝するべきだと思う。すべては東京ドームのリングでわかること。理想論などは関係ない。もちろん2人の考えは違ったものではあるが、あのリングの上でわかるのは、どちらがより強いプロレスラーか!である。そして、もちろん俺のほうがパワーもあり、スピードもあり、強さもあり、そしてお前よりも大きな夢を持っている。だからこそ俺は、新日本プロレスを世界規模の企業にできたんだ。お前じゃダメだった。お前では小さな池の中で泳いでいるちょっと大きな魚ぐらいの規模でしか大きくなれなかっただろう。これが試練になるかもしれないが、もちろん自分の夢のほうが、これからの未来を見据えているビジョンも大きいと思っている。そして、払ってきた犠牲ももちろん大きい。棚橋、お前はドキュメンタリーでも映画でも楽しんでいればいい。俺は未来のためにここにいる」

これより記者による質疑応答

――昨日のリング上で、ケニー選手に「おまえは賞味期限切れ」という言葉については

棚橋「それも言葉が足りなかった部分があると思うんですけど、ケニーのプロレスは食傷気味なんですよね。プロレスは激しく厳しいものであっても、残酷なものではあってはならないっていう考えなんですよ。技術も良い、ビジュアルも良い、運動能力もすごい。けど、何かが違うなって感じてて、なんだろう?と思って昨日、気付きました。プロレスに‟品がない”です。そういった意味です」

――ケニー選手、この棚橋選手の発言については

ケニー「新日本プロレスの一員として闘っているということに関して、大変光栄だと思っている。そこは新日本プロレスという団体に感謝しなくてはいけないと思っている。自分のプロレスについての美しさを発揮する場を提供してくれたことに関してです。しかし、いまの‟品がない”という発言に関しては、少しどうかと思うので発言させてもらいたい。不思議なことに、その品のないプロレスを観て、大変困難な状況から克服することができたという人がたくさんいます。例えば、うつ病で悩む人、アルコール依存症で悩む人、そういった人たちが自分のプロレスを観て、辛い状況から克服できた。インスピレーションを受けたと言ってくれる。もし、今、柳橋のコメントにあったように、自分のプロレスに品も何もないのであれば、そのような人は現れないはずだ。と同時にこれだけグッズが売れているということに対しても疑問を投げかけたいと思う。自分自身がフィギュアになったり、Tシャツの売り上げが伸びたり、はたまた『ALL IN』というイベントに関しても、もし自分がやっている、信念を持ってやっているプロレスに品がないのであれば、あれだけ特別なものにはならなかったと思う。先ほどのコメントでも言ったように、我々は人間であり人間は脆いものです。しかし、相手のやってることに対してもう少し配慮を持ってコメントすることも大事だと感じている。棚橋は常にポッドキャストや、様々な公の場でのコメントで自分に対してネガティブなことを散々言ってきた。逆に俺はそのコメントに対して、できる限りポジティブなメッセージを投げて、自分の想いを伝えてきた。でも、それはなぜかと言えば棚橋がタイトル戦線にいなかったという事実が大きい。しかし、事実は変わった。もう言葉だけで何かを言い伏せられる時代は終わった。俺たちはリングに上で闘わなければならない。棚橋は勇気を持って、派手な新しいコスチュームを着て、ファンの「GO ACE」という呼びかけに対してパワーをもらって、リングに上がるのだろうけど、それに対し一切妥協せず、完膚なきまでに棚橋を破壊してやる。しかし、自分のやっているプロレスこそが品があり、そして最高に優美なものだと信じている。その優美な方法で完膚なきまで彼を倒し、そして辱めたいと思う」

――ケニー選手、飯伏選手を自由にしてあげた方がいいという発言についてはいかがですか

ケニー「今ここでのコメントもあったように、ヒールだとかベビーフェイスだとかっていう言葉もコメントの中で聞かれたが、2018年にもなってその言葉にどんな意味あるんだ!俺は飯伏との人間関係を皆さんの前で披露してきた。それは世界を変えるためだ。そういったプロレスラーとしての役割なんていうものはもう本当に意味のないものだと思っている。そして、今日最初のコメントから3回目のなるが、私たちは生身の人間です。そして、私はファンの人たちと自分自身が繋がれるような真のストーリーを語り続けている。逆に棚橋はどうだ?彼はヒーローのような顔をして、真実を偽っている。裏ではまったくヒーローといった姿ではなくポンコツです。自分自身も完璧な人間ではない。だが、ケニー・オメガとして、本名タイソン・スミスとして、自分自身を試合ごとに披露し続けている。そして、ファンのみんなと繋がっている。我々はみんな一緒です。我々はみんな一つ、そういった自分と飯伏の関係。自分とファンとの関係をも今のコメントは否定しているように感じる。それはすごい古い考え方だ。飯伏が自由になる、ならないは関係ない。彼がいま僕といることを選んでいる。そして、自分は彼が成功するためなら、いかなるサポートもいとわない。ゴールデン☆ラヴァーズはタッグとしても、そしてそれぞれがシングルで闘う時もサポートし合っていく仲なのだから。でも、いまの古い考えというものについて考察してみた。新日本プロレスは40年以上の歴史を誇る由緒ある団体だ。だったら、その古い考えをいま一度思い起こしてみよう。ヒールとベビーフェイス。じゃあ、今回の対戦に関しては、ACE棚橋にヒーローになってもらおうじゃないか。そして、会場中が棚橋に対して声援を送るところが見たい。俺は完全にヒールに徹する。棚橋を完全に破壊するまで闘い抜いてやる。そして、ファンが声援を送りながらも、あれが棚橋の最後の試合になるんじゃないかと思っている不安を現実のものにしてやる。それが実現したとして、自分が気を悪くすると思うか?いや、完全にヒールに徹するんだからそんなことはない。柳橋はベビーフェイス。俺はヒール、やろうじゃないか」

棚橋「あのさ、別に俺がベビーフェイスで、ケニーにヒールをやってほしいとかじゃないんだよ。その変わっていくことがすべて正しいみたいなところを、ちょっと待って、少し止まって考えてみて。全部が良い方向に変化していくわけないじゃん。良い変化もあれば、そうでない変化もある。変わることも大事だけど、俺はプロレスっていうものの本質は、これだけ文化として伝統して長く続いてるんだから、プロレスの本質っていうのはいまも昔も変わらない。ただ、その発信方法、伝え方、表現、表面上のものが変わってるだけだと考えてます」

――昨日、棚橋選手の救出に駆けつけたオカダ選手に関してはいかがですか

棚橋「またすごい角度から質問をぶちこんできましたね。この会見でオカダに触れるのはちょっとニュアンスが違うんですけど、俺から言えることはないですね」

――ケニー選手、昨日の試合後、棚橋選手はケニーはベストバウトマシーンなんでしょ、是非、棚橋とベストバストしてください!というコメントもありましたが、本日のコメントを伺うと、棚橋選手と壊すなどという言葉もありますが、棚橋選手とベストバウトをする気はないですか

ケニー「一回だけIWGPインターコンチネンタルのタイトルを懸けて、棚橋とは戦ったことがある。その当時の自分としては自分自身でも誇れる試合展開ができたと思う。ただ、それはその時点でのことだ。しっかりと自分に向かって来る弾丸を避けることができていたか。どのような試合ができていたか。自分で振り返ってもみるが、それから2年経って自分は進化を遂げた。プロレスというものも時を経て進化した。しかし、その2年の間に棚橋は取り残された。そんな彼にチャンスをあげたのに、彼はケガをしてしまった。そしてまた、まったく同じシチュエーションで対戦が決まった。お互いに痛んでいるし、最高の試合ができるか?と聞かれれば、それはもちろんするがそれはプロレスをどういう風に観るかという、それぞれの視点によっても変わってくるだろう。東京ドームのメインイベントは最高の試合になる。そんなことはわかっている。そして、棚橋本人がこれがIWGPヘビー級のベルトを獲るキャリア最後のチャンスだということもわかっているはずだ。そのエネルギーやここまでに払ってきた犠牲をすべてリングの中に捧げるのだろうが、俺は棚橋のすべてを吸い尽くしてやろうと思っている。そして、その最後の姿をファンは目の当たりにし、永遠に記憶することになるだろう。プロレスとしては最高の試合になるとは思っている。スポーツしてはどうか?それはわからないけども、ストーリーとしては最高のものになると思う。このプロレスのレジェンドが最後のチャンスを懸けて闘い、そこで息絶える。そんなストーリーは映画になるぐらい素晴らしいだろう。そんな映画を自分は監督したいし、プロデュースしたいと思っている。レジェンドが最後の最後に崩れ落ちるところ、それを見せたい」

――棚橋選手はいまのコメントを受けていかがですか

棚橋「2016年の長岡でのインターコンチ(インターコンチネンタル王座戦)で僕が負けて、そこからケニーがどんどん速度を速めて一気にトップに駆け上がっていったっていうのはあるので。もし時間が戻れるなら、あのインターコンチの試合で止めてればっていう想いはありますけど、あの時のケニーと、今のケニーと、どっちが俺好みのプロレスラーかって言ったら、あの時のケニーの方が俺は良かったなと思います」

――平成最後のイッテンヨン東京ドームというのは意識しますか

棚橋「むちゃくちゃ意識します。そういう節目節目で名を残したいじゃないですか。平成最後の『G1クライマックス』を優勝したので、平成最後の東京ドームでしっかりと棚橋の名を刻みます」

――ケニー選手は平成という年号は分からないかもしれませんがいかがですか

ケニー「(日本語で話しだし)まぁ、やっぱり東京ドームの最後の最後を「グッバイ&グッナイ」で締めたいですけど、普通に東京ドームの最後を締めたいですね。」※通訳を見て、日本語で話した事を謝る。

――昨日の3WAY戦に関して苦言もありましたがその点に関して詳しく伺えますか。また、怒っているという事に関しては理由も含めて言い尽くせましたでしょうか。

棚橋「特に3WAYがどうのこうのっていうことではないんですよ。プロレスラーはファンの皆さんに楽しんでもらって、盛り上がってもらってっていうのが、僕の中であります。ただ、昨日の試合だったり、ここ最近のケニーの試合を観てると、飯伏との2人の関係性だったり、バレットクラブのいざこざだったりが、ファンに伝わる前に戦ってる自分たちが気持ち良くなっちゃってる感じがするので、そういう風に感じますね。怒っているっていうのは、やっぱりベルト。ベルトっていうものは目指すべき位置に置いててほしいっていうのがあるし。チャンピオン=ケニー・オメガ=新日本プロレスって顔なので、このままじゃいけないなっていうことで、そういう言葉になりました」

写真撮影を終えた棚橋は「やっとメインに帰ってきたね」と笑顔でコメントし、ポーズを決めた。

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