【新日本H.G.メイ社長特別インタビュー】<第1弾>1.4ドーム、2019年の新日本プロレス戦略、海外展開について!

今年1.4東京ドーム大会後に新日本プロレスリングの代表取締役社長兼最高経営責任者であるハロルド・ジョージ・メイ社長に初インタビューを実施!

2019年の新日本プロレス戦略、海外展開の展望、そして新日本プロレスの可能性についてお答え頂いた。(独占インタビュー第1弾)

 

 

【1.4東京ドーム大会を振り返って】

 

山口:今日はメイ社長に新日本プロレスの今後、および経営者目線でプロレスの展望についてお伺いしたいと思います。

まずは今年のイッテンヨン、東京ドーム大会はいかがでしたでしょうか。

 

ハロルド・ジョージ・メイ社長(以下メイ社長):イッテンヨンは一言で言うと大成功だったと思います。来客者数が1年前の2018年は3万4千995人。今年が3万8千162人でプラス10%なんです。

条件は前回と同じで平日開催、多くの人達が仕事始めの日にも拘わらず昨年より3千人以上の方がお越しくださったというのが、成功したというひとつの証です。ご来場くださった方には本当に感謝を申し上げたいです。

 

山口:今年のイッテンヨンは集客はもちろんですが、非常に内容がよく、分かりやすく伝わりやすいものだったかなと思います。

 

メイ社長:そうですね、大会の内容とか構成、流れも非常によかったと思います。過去には長すぎるとか短すぎるとか、バランスを取るのが難しくて課題でもありました。

でも集客に関しては、まだまだこれからも出来ることがたくさんあるかと思います。今回もAbemaTVで「イッテンヨン」特番とか、山手線のラッピング車両とか大晦日の渋谷でゲリラでの公開調印式などでたくさんPRをしました。

でもプロレスというものに興味がある方で、例えばこのお正月の時期に東京に遊びに来た人、イッテンヨンというものがあるんだと知っていても実際には会場に観戦に来なかった方も多い。

要は認知度は高まったけど、必ずしもそこまでコンバートできていないと思うんですよね。例えば、もっとチケットを買いやすいようにしなくてはいけないのかなというような改善点はまだまだあります。

会社として出来ることは今後もたくさんあります。

 

山口:イッテンヨンというブランドが海外のお客様にも認知されてきたように思います。今回は特に海外のお客様の姿も目立ちました。

 

メイ社長:そうですね。それから特に今回変えた点のひとつとして、最初から飛ばしていったということが言えるかと思います。第1試合に飯伏vsオスプレイを持ってきたというのも今までにないような事ではありますね。

 

 

【2019年の新日本プロレス戦略】

 

山口:2019年についてはどのような戦略をお考えでしょうか?

 

メイ社長:これについては、ご存知のように2012年にブシロードのグループ会社になってから順調に売り上げを伸ばしてきました。ここがポイントなのですが、市場を広げていきましたが、一方で小さなことにも丁寧に取り組んでいきます。

長年のファンの方を大切にしながら、新しいファンの方を増やしていかないといけないと思っています。つまり、プロレスの入口を増やしたいんです。では、入口を増やすためにはどうしたらいいのか、方法はたくさんあります。

でもその中で3つあげるとしたら、1つは動画。動画の活用を増やしていきたいです。今までプロレスを目にしたことのない方々にも見てもらえるようにする。例えばyoutube、SNSだったら言葉だけではなく、動画を貼り付ける。

1分でも何秒でもいいから、百聞は一見にしかずなので。見ていただいたら、この世界が今こうなってるの?!って思いますよね。僕もそういう体験をしてるんです。

8歳のときに見たプロレスと、こんにち見るプロレスとは同じプロレスかもしれませんが、全然違う。遥かに進化してますよね。

いろんなタイプの選手も出てきたし、技なども進化したのでそれをこう1分でも何秒でも見ていただいて、今はこういうのがあるんだというように、入口の1つとしていただきたい。

 

山口:たしかに、最近はSNSで動画を貼り付けてあるのをよく見ますね。

 

メイ社長:2つ目のポイントは、ドラマ性だったり、背景などを知ってより楽しんでいただくことです。昔と今のプロレスの違いのひとつとして、ユニットが複数あるということ。

今はユニットがいろいろあってそれぞれの特徴があります。選手の特徴やタイプもいろいろあって。その選手やユニットの背景や歴史を語るのも大事だと思います。

というのはやっぱりプロレスファンの方というのは、何十年も見てこられたお客様から、今日初めて見るお客様もいるわけじゃないですか。だからご来場いただいたお客様が、必ずしも背景全てを知ってるわけではない。

だから選手の歴史というか、こういう思いで今日ここに立っているんだとか、実はこのAという選手とBという選手は仲がいいんだとか、いや逆に悪いんだとか。そういう背景が分かったほうがいわゆるドラマ性が高まると思います。

 

 

山口:それはありますね。初めて会場に来た方にはやはり背景や流れを知った上で見るほうがより入り込めるというか楽しめますよね。

 

メイ社長:そうですよね、だから僕は他のインタビューでもよく言っていることなんですけど、プロレスというのは2時間の映画だと思ってくださいと。プロレスの試合というのは、映画でいう最後の10分の決闘シーンなんですよと。

その決闘シーンだけを観てもあぁすごいと思いますよね、でも2時間のうちの最後の10分の決闘シーンの前に1時間50分の決闘にいたるまでのいろんなドラマを説明していますよね。

登場人物は誰でこういう背景があって、こういう練習を重ねただとか、こういう理由で決闘になるということだとか、いろんなことがあって決闘するわけですよね。プロレスも同じで背景を説明することによって、より試合の凄さが増すと。

初めて観る人も10年20年見ている人もいて、ファンの方の知識が全て同じわけではありません。例えばこの前「バレットクラブの歴史」というのをyoutubeでシリーズで出したんですけど、過去最高の再生数を記録しました。

今までは出してなかったんですよ、そういう歴史を語るようなものは。やっぱりみんな試合の面白さや凄さを求めるというか、背景を知りたがってるんだなと。それが2つ目のポイントです。

3つ目のポイントというのは、PRです。プロレスの魅力をもっと知っていただき、誰が見ても大丈夫なんだという認識を持っていただくために。残念なことですが、まだまだプロレスの社会的偏見というのは残っているとおもいます。

女性が一人で見に来づらいイメージは改善されてきたとはいえ、まだ残っています。でも女性が一人でも子供さんと一緒に観ても、実際の会場は明るくて安全なんです。そして何十年も新日本プロレスを観ているファンの人も、新しいファンの人を温かく受け入れる雰囲気がある。そういうことをもっと世間に知っていただけるようPRしていかなくてはならないと思います。

そしてそこに所属している選手、その背景である会社もちゃんとしている会社なんですよ、安心してご覧になってくださいというメッセージを出しています。

 

山口:メイ社長が新日本プロレスの社長に就任されてから、さらに信用度合いが増した感じがしますね。

 

メイ社長:ありがとうございます。新日本プロレスの『信用度』を上げることに貢献できればいいなと思います。

 

 

 

【海外展開の展望/新日本プロレスの可能性】

 

山口:2019年度はアメリカでの「プロレスの聖地」とも呼ばれるマディソン・スクエア・ガーデン大会の開催、『G1』の開幕戦もアメリカで行うなど、海外での興行も目立ちます。海外展開の展望といったものがあればお伺いさせてください。

 

メイ社長:ここはよく聞かれるところなんです。僕は外国人ですけど、僕が来たから海外へいくわけではありません。海外へ目を向けるという考えは最初からあったんです。

それを確実に実現するために就任したというのもありますが、そこに全てを懸けてるわけじゃありません。いろいろ仕掛けている中の一つが海外展開なわけであって、ほかにもいろいろ、例えば東京以外の興行を増やすとか、新規ファンを獲得するだとか、先ほどお話したように動画だったりで入口を増やすだとか。いろいろな戦略の中での一つが海外展開なんです。

そして2019年はプロレス界にとってはグローバルなスケールで見ても激動の時代になると思います。新日本プロレスにとってもある意味チャンスだと僕はとらえています。

間違いなく言えるのは、新しく巨大な資本が入って世界のプロレス市場がますます活発に大きくなるということです。以前自分のコラムにも書きましたが、市場が活発になって注目度が上がると、プロレスを見る人口も増える。

それは、新日本プロレスにとっても歓迎すべきことだと思います。新日本プロレスの今後の可能性という話もありましたが、やはりうちは『NEW JAPAN CUP』だとか『BEST OF THE SUPER Jr.』、『G1』、『WORLD TAG LEAGUE』とか1年中興行があります。

しかも今年の4月にはマディソン・スクエア・ガーデンだったり、8月にはロンドン大会だったり、『G1』もダラスで開幕したりだとか海外での興行もたくさん控えてます。

2019年、何かが急に変化するわけではないんですけど、一つ一つ丁寧に成長させていくのが我々の役目であると思っています。これも進化なんです。進化しようとしているのが今後の可能性だと思います。

(インタビュアー:山口義徳)

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