【編集長コラム】「荒武者・後藤洋央紀の大勝負を刮目」

新日本プロレスの「荒武者」後藤洋央紀が正念場を迎えている。

4・29熊本大会で前IWGPヘビー級王者ジェイ・ホワイトとの一騎打ちに臨むが、後藤にとっては「ラストチャンス」と言ってもいい大一番である。

今年6月、40歳になる後藤。若き戦士が続々と力をつけている現在の新日マットでは「40歳」は一つの指標。もちろん後藤の言う通り「今が漢盛り、真っただ中」なのだが、本人の手ごたえとは裏腹に「オーバー40」というレッテルがついて回るのも事実なのだ。

かつて「プロレスはキャリアのスポーツ」と言われ、レスラーの全盛期は「35歳から45歳」というのが定説だったが、今では、若き才能はいち早く発掘され、チャンスを一発でモノにする選手も多い。20代で頂点を極めるのも珍しくない時代になっている。

後藤は棚橋弘至、中邑真輔らとトップ戦線を争う一角を占めていた。G1を制覇(2008年)、NJP杯を3回(09年、10年、12年)獲得し「春男」とも呼ばれた。IWGPインターコンチネンタル王座を2回、NEVER王座を4回、戴冠するなど、実績も積み重ねている。

だが、IWGP王座には手が届いていない。天下取りを直前にして、何度も涙を飲まされてきたのだ。

しかも現状では、IWGP王者オカダ・カズチカの挑戦者リストに、後藤の名前が浮かぶ人は少ないのが現実。後藤に残された唯一の道は、4・6MSG大会で、オカダに敗れたばかりのジェイを蹴散らすことだろう。

野武士のごとき風貌の後藤。05年ヤングライオン杯に優勝したころの殺気、いち早くトップ戦線に躍り出た同期・中邑に「ヤングライオン杯に出ろ!」と、噛みついた憤怒の激情を思い出してほしい。このところの後藤は優しい目つきになってしまった気がする。

「ゴトウ」の名前の付いた技シリーズ始め、GTR、昇天、村正などオリジナルの決め技もたくさん開発してきた。「昭和のプロレス」の残り香を感じさせてくれる数少ない選手であることも間違いない。

「昭和」どころか「平成」が幕を下ろそうという4・29熊本決戦で「漢盛り、真っただ中」を証明し「新日マットのど真ん中」に戻って来られるのか? 後藤の奮起に期待し「令和」の大暴れを楽しみにしたい。

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