【編集長コラム】「プロレスの力~プロレスラーの癒し力」

プロレスラーは強い。強い人が言うことだから、やることだからこそ説得力が増すということもある。

野球、サッカー、相撲、芸能・・・様々なジャンルにそれぞれのファンは大勢いるが、プロレスファンは特に純粋だと思うことが多々ある。

リングで闘うプロレスラーを尊敬し、神のごとく敬う人も多い。「好きな選手と嫌いな選手」ではなく「好きな選手とその他の選手」という分け方をし、全てのプロレスラーをリスペクトしている。

自分ができないことをしているからだろうか。野球やサッカーは部活などで経験する人もいるし、歌手ではないがカラオケで唄ったりもする。

しかし、普通の人がリングで闘うことはない。だからこそ特別に思うという側面もあるのだろう。

レスラーが病気や怪我した人を見舞う場合、何倍ものパワーを感じるという話をよく聞く。

医学的な根拠はないが、精神的な面で深く感じ入るからではないか。レスラーがレスラーを見舞う場合も同様。「虎ハンター」小林邦昭氏が現役時代に手術入院した時、アントニオ猪木が見舞いに訪れ、元気よく病室に入って来た。

「元気ですかー!」

「元気じゃないよ。俺、手術したばかりで入院しているんだけど・・・と思ったけど、でも急に元気になったんだよ。不思議だね」と小林氏は振り返る。

このように、レスラーによる「プロレスの力」は、大きな影響力を持っているが、心を癒した話も多く聞く。

全日本プロレス10・9後楽園ホール大会で、TAJIRIの毒霧を浴びながらも見事に防衛したアジアタッグ王者ジェイク・リーは、クリームソーダ好きで知られている。「ジェイクリームソーダ」として、ネット上でも大いに沸きあがっている。

ジェイクは洗濯洗剤・アリエールの愛用者としても有名だが、アリエールを使用するのは大人で、主婦が大半を占める。つまり使用者がある程度限られている訳だ。

一方で、クリームソーダは老若男女、年齢性別に関わらず飲むし、昔から人気のある飲み物だ。SNS映えもする。

自ら話題や情報を積極的に発信するジェイクは、小まめに返信やリツイートして、クリームソーダの話題を盛り上げ、楽しんでいるようだ。

こういうところからプロレスに興味を持ってファンになる人もいるのだから、素晴らしい。プロレスはリング上だけでないのだ。

あるファンがポツリと言った。彼女のお母さんは事情があって、彼女の世話を人に任せていたそうで、育ての親が何人もいるという。淋しい思いをして育ったようだ。

でも、たった一度だけ、母と新幹線の食堂車で一緒にクリームソーダを飲んだそうだ。お母さんの好物だと聞いて、子ども心に同じものを注文した。ところが、子供には炭酸の刺激が強すぎて、飲み干すのに大変な思いをしたという。

クリームソーダは悲しい思い出となり、それ以来、一度も飲んでいないそうだ。

クリームソーダの話題で盛り上がるジェイクに「あんなに嬉しそう楽しそうに飲むのだから、私も飲んでみようかな」と、意を決して人生で2度目のクリームソーダ。

「小さい時に一度しか飲んでいないから、どんな味か忘れちゃった」と、やや緊張気味に飲んだところ「あ、優しい味がする。おいしい。ジェイクさんのおかげでクリームソーダが飲めるようになりました」。

ちょっと涙ぐんでいるようにも見えたが「悲しい思い出が少しは払拭できました、今度はジェイクさんと一緒に飲みたい」と小さく笑った。

また「お父さんが年を取ってからの子どもだったから、私は一度も肩車してもらえなかった。肩車してもらっている子が本当に羨ましかった。今でも思い出すと悲しい」というファンもいた。

何気なく話したことを西村修が覚えていて、ある日、肩車してくれたという。

「大人だし、恥ずかしいし、そう言ってくれるだけで嬉しいと遠慮しました。でも『悲しい思い出はそのままにしないで』と言って肩車してくれたんです。感激して涙が出ました。一生の思い出です」。

その時の情景を「肩車 しても届かぬ 天の川」と、西村が詠んで、俳句コンテストに入賞したという後日談もある。

西村は、長年のファンのお母さんが病気だと聞いて、等々力渓谷の霊験あらたかな湧水を組んで「お大事に」というメモを添えて、そっと家の前に置いて帰ったこともあるそうだ。

両方とも、東京・文京区議になる前のエピソードだが西村らしい。

「もっと宣伝すればいいのに」という声には「それはその人と自分の問題です。ひと様にお伝えすることではありません」と西村はキッパリ。

いずれにせよ、ファンは一生覚えているはず。これからもずっと応援し続けてくれるだろう。

プロレスラーはリング上ではもちろんのこと、リング外でもファンに勇気を与える存在であると再認識した。

暑かった夏がようやく過ぎ、秋の気配が街を足早に染め始めた。人恋しい気持ちがレスラーの素敵なエピソードを思い出させてくれた。「プロレスの力」はやはりスゴイ。

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